野菜の生育状況及び価格見通し(令和8年5月)は、東京都中央卸売市場への出荷を念頭に、主産地・卸売会社等への聞き取りをもとに公表されたものです。ここでは2.主要な野菜の生育、出荷及び価格の見通しを中心に、品目別の生育・出荷の見通しと、5月の価格が平年(直近5か年平均)に対してどう動くかを整理します。
公表の位置づけ
天候不順で価格変動が大きくなりやすい野菜について、産地の出荷判断と消費者の購買行動の参考にし、供給と価格の安定に資することを目的として、平成23年以降、定期的に聞き取りが行われています。令和8年5月分は、令和8年4月28日付の公表に基づきます。
なお、2020年基準の消費者物価指数では令和8年3月時点で総合・食料とも上昇傾向が示されていますが、本見通しの「平年」は主産地・卸売会社等の聞き取りをもとにした過去5か年平均であり、CPIの動きとは必ずしも一致しません。
主要な野菜の生育、出荷及び価格の見通し
公表内容を品目ごとに整理しました。括弧内の割合は令和7年5月の入荷シェア(東京都中央卸売市場への入荷)です。各品目は主産地・生育・出荷・価格の2列表なので、狭い画面でも横に長い表を追わずに済みます。
だいこん
| 主産地(シェア) | 千葉(79%)、茨城(12%) |
| 生育・出荷 | 生育は概ね順調。5月の出荷数量・価格は平年並みの見込み。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年並み |
にんじん
| 主産地(シェア) | 徳島(59%)、千葉(27%) |
| 生育・出荷 | 徳島は降雨・気温で生育順調、平年並み出荷。千葉は1月の低温・少雨でやや遅延も肥大は順調で、5月中下旬から本格出荷。全体では5月前半は平年並み、千葉増で後半は数量やや多め・価格は平年下回り。 |
| 5月の価格(平年比) | 前半:平年並み/後半:平年を下回る |
はくさい
| 主産地(シェア) | 茨城(91%) |
| 生育・出荷 | 茨城主体。2月下旬以降の降雨・升温で順調、5月中下旬まで安定出荷、下旬から後段本格化。数量はやや平年上回り。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年を下回る |
キャベツ
| 主産地(シェア) | 千葉(37%)、神奈川(25%)、愛知(23%) |
| 生育・出荷 | 1月の少雨・低温で遅延があったが足元で数量は回復傾向。一部歩留まり低下も生育は順調。5月は数量やや多め。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年を下回る |
ほうれんそう
| 主産地(シェア) | 群馬(50%)、茨城(35%) |
| 生育・出荷 | 主産地は概ね順調。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年並み |
ねぎ
| 主産地(シェア) | 千葉(53%)、茨城(21%)、埼玉(6%) |
| 生育・出荷 | 茨城・千葉主体。適度な降雨・升温で順調、潤沢な出荷が続き数量はやや多め。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年を下回る |
ブロッコリー
| 主産地(シェア) | 熊本(22%)、香川(21%)、長崎(12%)、埼玉(12%) |
| 生育・出荷 | 熊本・香川は平年を上回る気温で生育前進。各産地とも月内の出荷は平年並みを見込むが、升温に伴い5月中旬から数量減。月全体では数量やや少なめ。 |
| 5月の価格(平年比) | やや平年を上回る |
レタス
| 主産地(シェア) | 長野(39%)、群馬(33%)、茨城(20%) |
| 生育・出荷 | 茨城は減少し長野・群馬中心に。茨城は升温で前進・平年より早く切り上げ。長野・群馬も升温で前進し増量が平年より早く、5月は数量やや多め。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年を下回る |
きゅうり
| 主産地(シェア) | 埼玉(28%)、群馬(25%)、宮崎(12%) |
| 生育・出荷 | 主産地は概ね順調。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年並み |
なす
| 主産地(シェア) | 高知(46%)、福岡(19%)、群馬(13%) |
| 生育・出荷 | 主産地は概ね順調。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年並み |
トマト
| 主産地(シェア) | 熊本(31%)、栃木(23%)、愛知(12%) |
| 生育・出荷 | 主産地は概ね順調。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年並み |
ピーマン
| 主産地(シェア) | 茨城(62%)、宮崎(15%)、高知(11%) |
| 生育・出荷 | 主産地は概ね順調。 |
| 5月の価格(平年比) | 平年並み |
ばれいしょ
| 主産地(シェア) | 長崎(45%)、鹿児島(37%) |
| 生育・出荷 | 長崎は順調。鹿児島は冬季降雪の影響で生育遅れ。5月前半は数量やや少なめ・価格やや高め、後半は数量・価格とも平年並みの見込み。 |
| 5月の価格(平年比) | 前半:やや平年を上回る/後半:平年並み |
さといも
| 主産地(シェア) | 千葉(47%)、埼玉(27%) |
| 生育・出荷 | 埼玉・千葉は概ね順調だが次期作作業と並行出荷。生産者・作付減で数量はやや少なめ。 |
| 5月の価格(平年比) | やや平年を上回る |
たまねぎ
| 主産地(シェア) | 佐賀(54%)、北海道(16%)、兵庫(12%) |
| 生育・出荷 | 佐賀・兵庫は順調。北海道は夏季の高温・干ばつで出荷減。5月前半は数量やや少なめ・価格やや高め、後半は平年並みの見込み。 |
| 5月の価格(平年比) | 前半:やや平年を上回る/後半:平年並み |
「平年並み」は、平年(過去5か年平均)に対する比率がおおむね90%以上110%以下であることを指します。
価格見通しの読み方(整理)
- 平年を下回る見込み:はくさい、キャベツ、ねぎ、レタス。いずれも出荷が順調〜やや多めで、相場が抑え気味になる公表です。
- やや平年を上回る見込み:ブロッコリー(出荷やや少なめ)、さといも(出荷やや少なめ)。
- 月内で前後半が分かれる:にんじん(後半安)、ばれいしょ・たまねぎ(前半やや高、後半並み)。
- 平年並みが中心:だいこん、ほうれんそう、きゅうり、なす、トマト、ピーマン。
まとめ
令和8年5月の見通しでは、葉物・ねぎ・レタスなど供給が厚くなりやすい品目で価格が平年を下回る公表が目立ちます。一方、夏季の天候要因が尾を引くたまねぎや、産地事情で前半が引き締まるばれいしょ、作付動向が数量を押し下げるさといも、気温と出荷ピークのズレが効くブロッコリーでは、やや高めの読みが出ています。小売価格や地域の相場は市場・店頭で変動するため、最終的な購買判断は各地の動向もあわせて確認してください。