なぜ今、共同利用施設の整備支援なのか?

地域の共同利用施設(カントリーエレベーター、共同選果場、乾燥調製施設、倉庫など)の老朽化が進む一方、担い手減少に伴い「拠点に集約して維持コストを下げたい」という声が産地から上がっています。国は、共同利用施設の再編集約・合理化と、食料システム構築に必要な施設整備を一体的に支援する予算を組んでいます。

この制度の要点(対象者・何を・いつまでに・予算)

要点を表にまとめました。

対象者拠点事業者・連携者(農業法人、食品企業等、農業者、農業団体、輸出事業者等)、都道府県、市町村、農業者の組織する団体等、卸売市場開設者等。
何を①食料システム構築支援(拠点と産地の連携で生産〜流通の課題を解決)、②産地基幹施設等支援(集出荷・加工貯蔵施設等の整備)、③卸売市場等支援(ストックポイント等の整備)、④共同利用施設の再編集約・合理化、⑤その加速化支援。各事業の内容は以下で解説します。
いつまでに事業目標は、業務用野菜国産切替量32万t(令和12年度まで)、園芸施設の脱化石(2050年まで)、卸売業の経費比率10%削減(2030年度まで)などです。公募・申請期限は年度ごとに告示されます。
予算令和8年度予算概算決定額は33,752百万円(約338億円。前年度19,952百万円)。内訳は、①強い農業づくり総合支援交付金 12,013百万円(約120億円)、②新基本計画実装・農業構造転換支援事業 21,739百万円(約217億円)です。令和7年度補正予算額は61,683百万円(約617億円)。内訳の詳細は後述を参照してください。

国が押し出す二つの柱

事業の全体像・事業イメージ
【図】共同利用施設の整備支援・事業の全体像

① 強い農業づくり総合支援交付金(約120億円・令和8年度概算)

農業の高齢化や人手不足、国際競争への対応を背景に、産地の収益力を高め、持続可能な農業をつくるための交付金です。令和8年度は約120億円が計上され、次の三つのタイプで支援が行われています。

食料システム構築支援タイプは、産地と実需(卸・加工・小売など)を「つなぐ」取り組みを後押しするタイプです。食料システム構築計画(3年計画)を立て、拠点となる事業者(農業法人や食品企業など)と、農業者・産地が連携して、生産から出荷・流通まで一貫して課題を解決するソフト(実証や研修、計画策定など)とハード(施設・設備)の両方を支援します。産地基幹施設や卸売市場・共同物流拠点の整備もこの中に含まれます。

産地基幹施設等支援タイプは、産地の「要」となる施設の整備に特化したタイプです。農業法人や農業者団体などがつくる、集出荷貯蔵施設(産地で野菜や果物を集め、選別・出荷する施設)や、冷凍野菜の加工・貯蔵施設などが対象です。産地がまとまって出荷・加工する拠点を整えることで、効率と競争力を高めることがねらいです。

卸売市場等支援タイプは、物流の効率化と品質・衛生管理の強化、産地と消費地をつなぐ共同配送などに必要なストックポイント(荷物を一時集約する拠点)などの整備を支援するタイプです。卸売市場や共同物流拠点の施設が主な対象で、食品の流れをスムーズにし、経費を抑えることが目的です。

補助率はタイプによって異なりますが、おおむね定額または費用の2分の1以内、卸売市場等は4/10(10分の4)以内などとされています。1事業あたりの上限は、整備事業で年間おおむね20億円、ソフト支援で5,000万円程度です。公募は年度ごとに行われるため、申請を検討する際は農林水産省の公募要領で対象要件・補助率・期限を確認してください。

② 新基本計画実装・農業構造転換支援事業(約217億円・令和8年度概算)

地域の農業を支えてきた共同利用施設(カントリーエレベーター、共同選果場、乾燥調製施設、倉庫など)の多くは、建設から30〜40年が経過し、老朽化が進んでいます。一方で、担い手の減少や作付の変化により、施設が分散したままでは維持コストが重く、「まとめて効率化したい」という声が産地から上がっています。

この事業は、そうした共同利用施設の再編集約・合理化に取り組む産地を支援するものです。「再編集約」とは、複数の施設の機能を一つの拠点に統合する取り組みです。例えば、複数の集出荷施設を廃止し、一つの大規模な施設に集約してコストと人手を削減します。「合理化」とは、老朽化した一つの施設を改修・増強し、性能を高めて再び活用する取り組みです。既存施設の撤去費用も補助対象に含まれます。

さらに、こうした再編集約・合理化に取り組む産地に対して、都道府県などが「加速化」のための支援(計画づくりや技術指導など)を行う場合、その費用の一部も国が補助します(再編集約・合理化に対する国庫補助額の6分の1以内)。補助率は費用の2分の1以内など、上限は20億円/年×3年です。地域計画で将来像が示されている産地が対象となるため、まずは都道府県や市町村の窓口に相談するとよいでしょう。

キーワード解説

  • 食料システム構築計画:新たな食料システムを実践・実装するため、生産から流通に至るまでの課題を一体的に解決するための3年計画です。
  • 共同利用施設の再編集約・合理化:地域計画に基づく老朽化した共同利用施設について、複数施設の廃止・合理化・新規設置や既存施設の設備増強による合理的活用を行う取組です。既存施設の撤去費用を含みます。

まとめ

「共同利用施設の整備支援」は、食料システム構築(拠点・産地基幹・卸売市場等)と共同利用施設の再編集約・合理化を、二つの予算で支える施策です。令和8年度概算約338億円・令和7年度補正約617億円規模です。該当事業を絞り込み、公募案内時に一次情報と窓口で確認してください。

【出典】農林水産省 令和8年度農林水産関係予算概算決定等に係る説明資料「共同利用施設の整備支援」(令和8年度農林水産関係予算概算決定等に係る説明資料の該当ページ)。本記事の数値は令和8年度概算・令和7年度補正時点の情報です。公募の詳細は農林水産省 予算関連補助金公募情報から各事業を検索してご確認ください。