日本で育成された果樹や花き、野菜の品種は、輸出拡大の武器になる一方で、無断栽培や海外流出のリスクも抱えます。植物品種等海外流出防止・活用推進総合対策事業は、育成者権を守るだけでなく、海外での登録・許諾・商業栽培へつなげるための支援策です。制度の詳細や募集条件は、年度ごとの公募・要領など一次情報をご覧ください。

概要

項目 内容
誰が 育成者権者、育成者権管理機関、民間団体等、植物品種等海外流出防止対策コンソーシアムなどが関わる事業です。
何を 海外での品種登録、国内外の育成者権侵害対策、海外ライセンス、厳格な国内管理、種苗資源保護、流通品種データベース、品種識別技術を支援します。
いくら 令和8年度予算概算決定額は199百万円(前年度152百万円)です。内訳は、育成者権の保護・活用支援等が113百万円、育成者権保護のための環境整備が86百万円です。
補助率等 支援方式は、定額、2/3以内、1/2以内などです。どのメニューに該当するかは、公募単位の要件で確認してください。
植物品種等海外流出防止・活用推進総合対策事業の概要。予算額、支援メニュー、事業の流れ、海外ライセンス、国内管理、DNA品種識別技術が一覧されている。
植物品種等海外流出防止・活用推進総合対策事業の全体像(出典:農林水産省・令和8年度農林水産関係予算概算決定の概要

品種を守りながら海外で稼ぐための事業

本事業の狙いは、優良品種の海外流出を防ぎつつ、海外からの収益につなげることです。海外で品種登録をして権利を確保し、無断栽培や侵害疑義品への対応を進め、相手国での検疫や試験栽培を経て、戦略的な海外ライセンスへつなげます。

事業目標は、輸出重点品目の海外での1品種あたり平均品種登録国数を令和9年度までに2か国へ高めること、戦略的な海外ライセンスモデルとしてライセンス先による商業栽培を令和12年度までに1件以上開始することです。

育成者権の保護・活用支援で見る主なメニュー

予算のうち113百万円は、育成者権の保護・活用支援等に充てられます。中心になるのは、海外での権利取得と、侵害を見つけたときに対応できる体制づくりです。

  • 海外出願促進対策:海外での品種登録、つまり育成者権取得に向けた出願を支援します。
  • 育成者権侵害対策:侵害調査、専門家への相談、オンライン取引の巡回・監視、出品取下げ要請、警告、訴訟対応などを支援します。
  • 海外ライセンスの環境整備:検疫への対応、現地での試験栽培、我が国品種の導入推進に向けたプロモーションを支援します。
  • 防衛的許諾モデル:高侵害リスク国で、パートナー企業による監視・侵害対応を通じて無断栽培を抑えるモデルを構築します。
  • 国内管理モデル:苗木のリース方式、契約書作成、説明会、剪定枝の適切な処分など、産地外流出を防ぐ管理を支援します。
  • 種苗資源の保護:種苗生産の維持が難しい在来種などの保存活動を支援します。
  • 流通品種データベース:流通名から品種情報を検索できるデータベースの運用を支援します。

DNA品種識別技術で侵害立証を早める

残る86百万円は、育成者権保護のための環境整備です。グローバルな品種展開を進めるには、権利を取るだけでなく、侵害疑義品が本当に保護対象の品種なのかを迅速に判定する技術が欠かせません。

DNA技術や画像解析技術を活用した品種識別技術の開発・高度化により、品種登録審査や侵害立証の対応を加速することが狙いです。東アジア地域における品種保護の環境整備も対象に含まれます。

資金の流れと確認ポイント

事業の流れは、メニューによって異なります。育成者権者、育成者権管理機関、民間団体等への支援は、植物品種等海外流出防止対策コンソーシアムを介します。育成者権保護のための環境整備は、国から民間団体等への委託です。流通品種データベースの運用も、国から民間団体等への定額支援として位置づけられます。

実際に応募や活用を検討する場合は、自分の取組が「海外出願」「侵害対策」「海外ライセンス」「国内管理」「種苗資源保護」「技術開発」のどれに近いかを先に分けると、確認すべき公募や要領を探しやすくなります。補助率、対象経費、採択条件、提出書類は公募ごとに変わるため、最新の一次情報をご覧ください。

キーワード解説

育成者権

新しい植物品種を育成した人などに認められる権利です。品種登録により、登録品種の種苗や収穫物の利用を一定範囲で管理できます。

海外ライセンス

海外の事業者に対し、品種の増殖・栽培・販売などを契約に基づいて許諾する仕組みです。無断利用を抑えながら、海外での商業栽培や収益化につなげる考え方です。

品種識別技術

DNA情報や画像解析などを使い、品種を見分ける技術です。侵害疑義品への対応や品種登録審査の迅速化に関わります。