農業改良資金とは、新しい作物の導入や新たな販売方式への挑戦など、これまでと違う取組を始める農業者が無利子で借りられる制度資金です。借りられるのは、六次産業化法やみどりの食料システム法などの認定を受け、農業改良措置の計画について都道府県知事の貸付資格認定を得た農業者等で、限度額は個人5,000万円・法人および団体1億5,000万円、償還期間は12年以内です。この記事では、誰が・どんな取組に・どこまで・無利子で使えるのか、申請の流れや他の制度資金との違いまで整理します。
農業改良資金の概要
新しい取組に踏み出したい農業者にとって、農業改良資金は「無利子」という点が最大の特徴です。まず全体像を表で押さえます。
農業改良資金とは
農業改良資金は、農業改良資金融通法に基づき、新作物や新技術の導入、農畜産物の加工開始といったチャレンジ性のある農業改良措置に取り組む農業者を後押しする制度資金です。必要な長期資金を無利子で融資する点が、ほかの制度資金との大きな違いになります。
融資を担うのは日本政策金融公庫で、沖縄県内の取扱は沖縄振興開発金融公庫が担います。国又は都道府県の各種計画の認定を受けた農業者等が、新しい取組のための資金を低い負担で調達できるよう設けられた仕組みです。
対象者・対象となる取組
農業改良資金を借りるには、まず次のいずれかの認定を受けていることが起点になります。
- 六次産業化法に基づく認定(農業者等。促進事業者は中小企業者に限る)
- みどりの食料システム法に基づく認定(農業者等)
- 米穀新用途利用促進法に基づく認定(農業者、製造事業者等)
- 農林漁業バイオ燃料法に基づく認定
旧持続農業法の認定で、経過措置によりなお効力を有する場合も対象に含まれます。
これらの認定に加えて、農業改良措置に関する計画を作成し、都道府県知事による貸付資格認定を受ける必要があります(農業改良資金融通法第6条)。みどりの食料システム法の認定に限り、都道府県知事による貸付資格認定を一体的に受けられます。
対象となる取組
農業改良措置を実施するために必要な資金が対象です。具体的には次のような取組に使えます。
- 農地等の改良
- 農業経営用施設・機械等の改良、造成、取得
- 農産物の加工処理・流通販売施設・観光農業施設等の改良、造成、取得
- 借地権、機械等の利用権その他の無形固定資産の取得
- 家畜・果樹等の導入、農地賃借料の支払いその他、農業経営の改善に必要な長期資金
限度額・償還期間・無利子の条件
借入条件の骨子は次のとおりです。新しい取組にどこまで資金を充てられるか、返済をどう組むかの目安になります。
- 限度額:個人は5,000万円、法人・団体は1億5,000万円
- 金利:無利子
- 償還期間:12年以内(うち据置期間は3〜5年以内)
無利子で借りられる前提は、農業改良措置の計画について都道府県知事の貸付資格認定を受けていることです。担保・保証の取扱いや、認定ごとの細目・様式は、公庫の商品案内と都道府県の説明資料に整理され、年度替わりで更新されます。最新の条件は、申込先の窓口でご確認ください。
申請の流れ
借りたい人は、最寄りの窓口機関(日本政策金融公庫・農協・銀行など)又は都道府県へ必要書類を提出します。おおまかな流れは次のとおりです。
- 六次産業化法・みどりの食料システム法などの認定を受けます。
- 農業改良措置に関する計画を作成し、都道府県知事の貸付資格認定を受けます(みどりの食料システム法の認定は一体的に受けられます)。
- 公庫・農協・銀行などの窓口機関、又は都道府県へ必要書類を提出します。
- 審査を経て、無利子で融資を受けます。
窓口が分からないときは、都道府県の農業制度資金担当課又は普及指導センターへお問い合わせください。必要書類のそろえ方は、窓口ごとの案内に従います。
他の制度資金との違い
農業向けの制度資金には、農業改良資金のほかにも目的の異なる融資があります。新しい取組には農業改良資金、経営規模の拡大や施設整備には別の資金、と使い分けると分かりやすくなります。
- 農業近代化資金:施設や機械の整備など、経営の近代化に使う資金です。利子助成によって低利で借りられる点が特徴で、農業改良資金のように全額無利子ではありません。
- スーパーL資金(農業経営基盤強化資金):認定農業者向けの長期・大型の融資で、規模拡大や経営改善を幅広く支えます。融資限度額が大きく、農地取得から施設整備まで使途が広いのが特徴です。
農業改良資金は、これらと違って「新たな取組への無利子融資」という位置づけです。経営の規模拡大や設備更新を主目的とする場合は近代化資金やスーパーL資金、新作物・加工・新しい販売方式などチャレンジ性のある取組には農業改良資金、と目的に合わせて選びます。近年は民間資金の活用も進んでおり、制度資金とあわせて検討する選択肢が広がっています。
よくある質問
農業改良資金とは何ですか
新作物の導入や農畜産物の加工開始など、チャレンジ性のある新しい取組に必要な長期資金を、無利子で借りられる制度資金です。農業改良資金融通法に基づき、日本政策金融公庫(沖縄県内は沖縄振興開発金融公庫)が融資します。
本当に無利子ですか
無利子です。六次産業化法やみどりの食料システム法などの認定を受け、農業改良措置の計画について都道府県知事の貸付資格認定を受けていることが前提になります。担保・保証の取扱いは窓口でご確認ください。
限度額はどのくらいですか
個人は5,000万円、法人・団体は1億5,000万円です。償還期間は12年以内で、そのうち据置期間を3〜5年以内に設定できます。
誰が借りられますか
六次産業化法・みどりの食料システム法・米穀新用途利用促進法・農林漁業バイオ燃料法などの認定を受けた農業者等で、農業改良措置の計画について都道府県知事の貸付資格認定を受けた人です。旧持続農業法の認定が経過措置で効力を有する場合も対象に含まれます。
何に使えますか
農地の改良、施設・機械の取得、加工・流通・観光農業施設の整備、借地権など無形固定資産の取得、家畜・果樹の導入や農地賃借料の支払いなど、農業改良措置に必要な長期資金に使えます。
次の一歩
新しい作物や販売方式に挑戦したいと考えたら、まずは日本政策金融公庫の農林水産事業窓口、又は所有農地のある都道府県の農業制度資金担当課に相談してください。沖縄県内であれば沖縄振興開発金融公庫が窓口です。どの認定が必要か、貸付資格認定の進め方、必要書類のそろえ方は窓口ごとに案内が変わるため、計画の早い段階で相談すると進めやすくなります。
キーワード解説
農業改良資金
農業改良資金融通法に基づき、チャレンジ性のある農業改良措置に必要な長期資金を無利子で融資する制度資金です。日本政策金融公庫(沖縄県内は沖縄振興開発金融公庫)が取り扱います。
農業改良措置
新作物・新技術の導入、農畜産物の加工開始、新しい販売方式の導入など、農業経営の改善に向けたチャレンジ性のある取組です。農業改良資金の融資対象になります。
貸付資格認定
農業改良措置に関する計画を作成した農業者等が、都道府県知事から受ける認定です(農業改良資金融通法第6条)。融資を受ける前提となり、みどりの食料システム法の認定に限り一体的に受けられます。