第5次公募の説明整理として、賃上げ要件(2)補助対象経費(3)事業スキーム(4)審査基準(5)加点措置(6)を中心に扱う。数値・日程は説明時点の例であり、採否・要件の正本は公募要領と事務局の最新情報に委ねる。

項目 内容
誰に 常時使用する従業員数が2,000人以下の中堅・中小・スタートアップ企業(単体ベース)。一定要件を満たす共同申請(コンソーシアム、最大10社)も対象になりうる。みなし大企業、または農作物の生産自体など1次産業を主たる事業としている場合は対象外。
何を 補助事業完了後の賃上げの目標・測定期間建物・機械・ソフト・外注・専門家の対象経費の枠組み、申請からプレゼン審査・フォローアップまでのスキーム審査の観点加点の要点。農食関連では加工・販売・検査・倉庫等の拠点投資フードテック加点の観点を補足する。
詳細はどこで 中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局の「公募・手続きの案内(野村総合研究所)」、公募要領・FAQ・採択者向け手引きで確認する。
農業・農産物と制度の関係:制度は「農作物の生産自体を主業とする」形態を対象外と明記している。一方、対象経費の建物例には生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、倉庫などが含まれるため、法人としての主たる事業が製造・加工・流通・食品開発(フードテック等)に置かれ、大規模投資が賃上げ・労働生産性向上に直結する設計であれば、農産原料を扱う事業でも制度の趣旨に沿いうる。該当可否は個別の事業計画と公募要領の解釈による。

2.賃上げ要件

賃上げ要件の図。補助事業完了を含む基準年度から最終年度までの1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が5.0%以上であること、申請時の目標掲げと従業員等への表明、未達成時の返還、コンソーシアムでは各社の目標公表が示されている。
中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局(公募案内ページ)

補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)における、補助事業に関わる従業員の1人当たり給与支給総額と、基準年度の3事業年度後(最終年度)の同額を比較し、年平均上昇率が5.0%以上(100億宣言企業は4.5%以上)であることが必要になる。スタートアップのうち産業競争力強化法上の中小企業者で、公募開始日から3年以内に100億宣言を実施する見込みがある場合は、基準率を4.5%とする特例がある。

手続上は、申請時に基準率以上の目標を掲げ、交付決定までにその目標を従業員等に表明したうえで達成することが要件となる。目標を表明しなかった場合、基準年度の1人当たり給与支給総額が申請時直近年度を下回っている場合、掲げた目標を達成できなかった場合などには、未達成率に応じた補助金の返還が生じうる(天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く。返還となった場合も事業者名は公表しない)。コンソーシアムでは、幹事企業に加え、参画各社がそれぞれ目標水準を公表する。

3.補助対象経費

補助対象経費の一覧表。建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費の区分と単価100万円以上の目安、対象外の例が整理されている。
中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局(公募案内ページ)

対象となるのは、建物費(拠点新設・増築等。専ら補助事業のために用いる事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠な建物の建設・増築・改修・中古取得など。単価100万円(税抜)以上のものに限る)、機械装置費(同単価以上)、ソフトウェア費(専用ソフト・情報システムの購入・構築・クラウド利用等。単価100万円以上)、外注費専門家経費である。

農食関連で実務上効く論点として、建物区分に加工・販売・検査・倉庫が明示されていること、外注費に土壌汚染対策を計上できる旨が示されていること、機械・ソフトの単価下限があることが挙げられる。一方で、土地の取得、建物の単なる購入・賃貸、車両及び運搬具や船舶・航空機などは原則対象外とされる。外注費と専門家経費の合計は、建物・機械装置・ソフトウェアの合計経費を下回る必要がある(1~3より4・5が上回らない)。税制上の他制度との併用不可など、経費ごとの制約は公募要領で確認する。

4.事業スキーム

事業スキーム図。基金設置法人・事務局、経済産業省の審査会、申請から採択・補助、確定検査、賃上げフォローアップまでの流れと、プレゼン審査・GビズIDの注意書きが示されている。
中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局(公募案内ページ)

基金設置法人および事務局が、公募から書面審査、採択、確定検査、補助事業終了後の実施状況確認や賃上げ要件の達成状況のフォローアップまでを担う。書面の1次審査を通過した申請者は、外部有識者によるプレゼンテーション審査(対話形式)に進む。申請は電子申請が原則で、GビズIDプライムアカウントが必要になる。金融機関による確認書の提出や、担当者がプレゼン審査に同席した場合には加点がありうる。

5.審査基準

審査基準の一覧。先進性・成長性、地域への波及効果、大規模投資・費用対効果、実現可能性、経営力の各観点で箇条書きの審査項目が並んでいる。
中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局(公募案内ページ)

採択は、先進性・成長性(市場・差別化・労働生産性の抜本的向上と人手不足の改善)、地域への波及効果(賃上げ・雇用、取引先・パートナーへの波及、コンソーシアムの相乗効果)、大規模投資・費用対効果(リスクを伴う大規模投資、補助金額に対する付加価値、行動変容)、実現可能性(体制・財務・課題解決のスケジュール、金融機関等のコミットメント)、経営力(補助事業の経営戦略上の位置づけ、長期ビジョン・資金計画等)を、定量的・定性的に審査して決まる。

農食分野の事業計画では、原料調達の安定化やトレーサビリティ、季節変動への対応などを語るだけでなく、賃上げと労働生産性にどう結びつくか、地域の雇用・取引への波及をどう測るかが審査観点と整合しやすい。

6.加点措置

加点措置の一覧。中小から中堅への移行宣言、J-Startup、本社の地方移転、工場跡地活用と土壌汚染対策、えるぼし・くるみん、健康経営、地域未来牽引企業等、金融機関確認書、17の戦略分野などが列挙されている。
中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局(公募案内ページ)
4次公募における各種指標の中央値(採択者・申請者全体)の参考表と脚注。
中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局(公募案内ページ)

加点の例として、産業競争力強化法上の中小企業が令和10年12月末までに中堅の定義を超えることを宣言するケース、J-Startup選定事業者、本社機能の地方移転を伴う大規模投資、既存工場跡地の活用に伴う土壌汚染対策、えるぼし・くるみん認定、健康経営優良法人、地域未来牽引企業等、金融機関・ファンドの確認書、地域企業経営人材マッチング活用などが挙げられる。

とりわけ農食・六次産業化と接点が大きいのは、危機管理投資・成長投資の戦略分野のうち「⑧フードテック」に該当する事業への加点である。また、工場跡地+土壌対策の加点は、都市近郊の再開発や物流・加工拠点の集約と組み合わさった大型投資で評価されやすい。参考として、過去公募における各種指標の中央値が掲載されているが、これはあくまで申請の厚みを把握するための参考であり、5次公募の合否を保証するものではない。

7.スケジュール(説明スライド時点の目安)

第5次公募のスケジュール目安。開始日、締切予定、プレゼンテーション審査の期間、採択発表の時期と、最新情報は事務局ホームページで確認する旨の注意書き。
中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局(公募案内ページ)

第5次公募の例として、2月27日開始3月27日締切予定、4月下旬のプレゼン審査、5月中下旬の採択発表などが目安として示されている。実際の日程・様式は変更されうるため、事務局の公式ページで必ず最新版を確認する。

出典:中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 第5次公募について(令和8年2月27日時点、中堅・中小・スタートアップ成長投資補助金事務局)/最新情報:https://www.nri.com/jp/news/public_offer/growth_subsidies_2026.html