雇用就農資金は、農業法人や農家が49歳以下の就農希望者を正社員として新たに雇い、農業の仕事や独立就農に必要な研修を行うときに、国から定額で受け取れる助成です。さらに、独立して新しい農業法人を立ち上げたい人を育てるときや、職員を次世代の経営者として育てるときにも使えます。支援のタイプによって助成額や期間が変わり、雇用して研修する取組では年間最大60万円を最長4年間、独立に向けて新法人を設立する取組では年間最大120万円を受け取れます。この記事では、対象者と要件、三つの支援タイプごとの助成額と期間、申請の流れまでをわかりやすく整理します。
雇用就農資金の早見表
従業員を雇いたい農業法人と、就農したい人それぞれの視点で、制度の骨子をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| どんな制度か | 農業法人等が就農希望者を正社員として新規雇用し研修する取組や、独立就農・次世代経営者の育成を支援する、国の助成制度です。 |
| 誰が使えるか | 就農希望者を雇って育てたい農業法人・農家(農業法人等)です。雇われて働きながら独立を目指す人も、雇用する法人を通じて支援の対象になります。 |
| 助成額・期間 | 雇用して研修する取組は年間最大60万円・最長4年間、新法人設立を目指す取組は年間最大120万円・最長4年間、次世代経営者の派遣研修は月最大10万円・最短3か月から最長2年間です。 |
| 主な要件 | 雇う相手が49歳以下で就農・独立への強い意欲があること、法人側が営農技術の指導や休憩・休日の確保、雇用保険・労災保険への加入など労働環境の改善に取り組んでいることなどです。 |
| 申請先・相談先 | 国から全国農業委員会ネットワーク機構を通じて農業法人等へ交付されます。要件や募集区分は農林水産省「雇用就農資金」でご覧ください。 |
雇用就農資金とは
雇用就農資金は、農業法人や農家が就農希望者を正社員として雇い、農業の仕事や独立就農に必要な研修を行うときに、国から定額で受け取れる助成です。農業の働き手を増やし、地域の雇用を生み出す農業経営体を育てることを目的としています。
背景には、農業で働く人の高齢化があります。農業分野の生産年齢人口のうち49歳以下の割合を全産業並みに引き上げることが政策目標に掲げられ、若い世代が農業に就いて定着できるよう、雇う側の負担を助成で支える仕組みになっています。
この制度の特徴は、雇って研修するだけでなく、独立して新しい農業法人を立ち上げたい人を育てる場合や、職員を次世代の経営者として育てる場合もカバーしている点です。雇用から独立、そして経営者の育成までを一つの制度で後押しします。
支援のタイプ
雇用就農資金には、目的に応じて三つの支援タイプがあります。雇って育てるのか、独立を目指すのか、次世代の経営者を育てるのかで、助成額と期間が変わります。加算や人数の上限など細かい条件は、年度ごとの募集要領をご覧ください。
雇用就農者育成・独立支援タイプ
農業法人等が就農希望者を新たに雇い、農業の仕事や独立就農に必要な研修を行う場合に助成します。年間最大60万円を最長4年間受け取れます。障がい者、生活困窮者、刑務所出所者など多様な人材を雇う場合は、年間最大15万円が加算されます。一つの経営体が新たに採択される人数は年間5人までで、3人目以降は年間最大20万円となります。
新法人設立支援タイプ
農業法人等が、新しい農業法人を設立して独立就農することを目指す人を一定期間雇い、独立就農に必要な研修を行う場合に助成します。年間最大120万円を最長4年間で、3年目以降は年間最大60万円となります。多様な人材への加算は、雇用就農者育成・独立支援タイプと同じです。
次世代経営者育成支援タイプ
農業法人等が職員を次世代の経営者として育てるため、異業種の法人や先進的な農業法人へ派遣して研修するときの経費を助成します。月最大10万円で、期間は最短3か月から最長2年間です。派遣に伴って農業法人等が受け取る支援は、最大120万円を2年間(実費相当)という形でも整理されています。
対象者・要件
雇う相手や派遣する職員、そして法人側に求められる主な要件は、おおむね次のとおりです。
- 雇う就農希望者:採用後1年以内の人も含みます。49歳以下であること、就農を続ける、または独立する強い意欲があることなどが求められます。
- 農業法人等側の取組:営農技術などの指導を行うこと、休憩・休日の確保や雇用保険・労働者災害補償保険への加入など、労働環境の改善に取り組んでいることが求められます。
- 派遣する職員(次世代経営者育成):派遣先は、先進的な農業経営体や加工・流通業者などの異業種の法人です。職員側は55歳未満で、次世代の経営者や役員になる強い意欲があることなどが求められます。
助成額・期間
資金は、国から全国農業委員会ネットワーク機構を通じて、農業法人等へ定額で交付されます。就農希望者を正社員として雇ったうえで、その後に法人で就農を続けるのか、独立して新しい農業法人を設立するのかといった進み方に応じて、助成額の上限が次のように整理されています。
- 法人で就農を続ける、または独立に向けて進む場合は、最大60万円を4年間受け取れます。
- 独立して新法人を設立する場合は、最大120万円を2年間に加えて最大60万円を2年間という組み合わせになります。
- 次世代経営者を育てる派遣研修では、農業法人等が受け取る支援として最大120万円を2年間(実費相当)が、月額の上限・助成期間とあわせて整理されています。
制度全体の予算は、令和8年度の本事業に係る内数が2,816百万円(前年度は3,038百万円)、令和7年度補正予算の内数が1,275百万円です。年度ごとの予算の枠内で交付されるため、最新の募集状況は申請先でご確認ください。
申請の流れ
雇用就農資金は、農業法人等が申請し、国から全国農業委員会ネットワーク機構を通じて受け取ります。おおまかな流れは次のとおりです。
- 就農希望者を正社員として雇用し、農業の仕事や独立就農に向けた研修の計画を立てます。
- 使いたい支援タイプ(雇用就農者育成・独立支援、新法人設立支援、次世代経営者育成支援)を選び、要件に合うかを確認します。
- 年度ごとの募集区分・募集要領に沿って申請します。窓口は全国農業委員会ネットワーク機構です。
- 採択されると、研修の実施に応じて定額の資金が交付されます。
交付の要件、申請手続、必要書類、年度ごとの募集区分は変わることがあります。最新の一次情報をご覧ください。
よくある質問
雇用就農資金とは何ですか
農業法人や農家が、就農希望者を正社員として雇い、農業の仕事や独立就農に必要な研修を行うときに、国から定額で受け取れる助成です。独立して新法人を設立したい人を育てる場合や、職員を次世代の経営者として育てる場合にも使えます。
助成額はどのくらいですか
支援のタイプによって変わります。雇って研修する取組は年間最大60万円を最長4年間、新法人設立を目指す取組は年間最大120万円を最長4年間、次世代経営者の派遣研修は月最大10万円を最短3か月から最長2年間です。多様な人材を雇う場合は年間最大15万円が加算されます。
誰が申請できますか
就農希望者を雇って育てたい農業法人や農家(農業法人等)です。資金は国から全国農業委員会ネットワーク機構を通じて、要件を満たす農業法人等へ交付されます。雇われて働く就農希望者本人は、雇用する法人を通じて支援の対象になります。
独立を目指す場合も使えますか
使えます。独立就農に必要な研修を行う雇用就農者育成・独立支援タイプや、新しい農業法人を設立して独立することを目指す人を育てる新法人設立支援タイプがあります。新法人設立を目指す場合は年間最大120万円を受け取れます。
次の一歩
従業員を雇って育てたい農業法人や、雇われて働きながら就農・独立を目指す人は、まずどの支援タイプが自分の取組に合うかを確認しましょう。そのうえで、年度ごとの募集要領を見て、申請先である全国農業委員会ネットワーク機構に相談するのが第一歩です。雇用や独立支援の他の選択肢とあわせて検討すると、自分に合う進み方が見えてきます。
農業のトライアル雇用を活用して、まず短期間お試しで働いてもらう方法は農業のトライアル雇用就農の解説で、就農にあたって使える資金は新規就農で使える資金の解説で整理しています。女性が活躍できる職場づくりへの支援は女性の活躍推進の解説もあわせてご覧ください。
キーワード解説
雇用就農資金
農業法人等が就農希望者を正社員として雇い研修する取組や、独立就農・次世代経営者の育成を支援する、国の助成制度です。国から全国農業委員会ネットワーク機構を通じて、要件を満たす農業法人等へ定額で交付されます。
全国農業委員会ネットワーク機構
全国の農業委員会をつなぐ機構で、雇用就農資金の交付や手続の窓口を担います。国からの資金は、この機構を通じて農業法人等へ届きます。
次世代経営者育成
農業法人等が職員を将来の経営者や役員として育てる取組です。異業種の法人や先進的な農業法人へ派遣して研修を行う場合に、月最大10万円が助成されます。