認定新規就農者とは、新たに農業経営を始める青年等が青年等就農計画を作成し、就農予定地の市町村から認定を受けた人のことです。名前が似ている認定農業者とよく混同されますが、認定新規就農者は「これから農業を始める人」、認定農業者は「すでに経営している農業者」が対象の別制度で、作る計画も使える支援も異なります。認定新規就農者になると、経営開始資金(年最大165万円)や青年等就農資金(無利子・最大3,700万円)など、就農初期の経営を支える補助金・資金が集中します。この記事では、まず認定農業者との違いを比較表で整理し、続いて対象になる人の要件・年齢、使える補助金・資金、認定までの流れを、就農を考える人の目線でまとめます。
概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰に | その市町村の区域内で新たに農業経営を始める青年等(個人または該当する法人)が対象です。原則18〜45歳未満、または知識・技能のある65歳未満で、就農5年以内が目安です。認定農業者は対象になりません。 |
| 何を | 青年等就農計画を市町村に申請して認定を受け、認定新規就農者として各種の支援を受けるための制度です。この記事では、対象の要件・メリット(補助金・融資)・認定農業者との違い・計画の書き方と認定の流れを整理します。 |
| 主なメリット | 経営開始資金(最長3年・年最大165万円)、青年等就農資金(無利子・最大3,700万円)、経営発展支援事業(補助対象事業費の上限1,000万円)などの支援につながります。 |
| 詳細・申請先 | 一次情報は認定新規就農者制度について(農林水産省)のほか、青年等就農計画の認定の仕組み(農林水産省)をご覧ください。申請は就農予定地の市町村です。 |
認定新規就農者とは
認定新規就農者は、農業経営基盤強化促進法に基づく制度です。新たに農業経営を始める青年等が、就農後の経営目標・規模・生産方式などを記した青年等就農計画を作成し、就農予定地の市町村に申請します。市町村がこの計画を認定すると、その人が認定新規就農者になります。
青年等就農計画は、認定を受けた日から5年間を計画期間とします。この計画に沿って経営を進める認定新規就農者へ、無利子資金や交付金などの支援が重点的に届きます。認定新規就農者は、いわば新規就農の入口で各種支援を受け取るための位置づけにあたり、就農初期の経営を早く軌道に乗せることをねらいとしています。
認定新規就農者と認定農業者の違い
認定新規就農者と認定農業者は名前が似ていますが、対象も作成する計画も使える支援も異なる別の制度です。ひとことで言えば、認定新規就農者はこれから農業を始める人、認定農業者はすでに農業を営み経営改善を目指す人が対象です。どちらも市町村が計画を認定し、計画期間は5年という共通点があります。主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 認定新規就農者 | 認定農業者 |
|---|---|---|
| 主な対象 | これから農業経営を始める青年等(新規就農者) | すでに農業経営を営み、経営改善を目指す農業者 |
| 作成する計画 | 青年等就農計画 | 農業経営改善計画 |
| 年齢・就農歴 | 原則18〜45歳未満(知識・技能があれば65歳未満)/就農5年以内が目安 | 年齢・就農歴の要件は基本的になし |
| 認定する人・期間 | 市町村/計画期間は5年 | 市町村/計画期間は5年 |
| 主な支援 | 経営開始資金(年最大165万円)・青年等就農資金(無利子・最大3,700万円)・経営発展支援事業(上限1,000万円)など | スーパーL資金・経営所得安定対策・農地の集積・税制の特例など |
| めざす段階 | 就農の入口で経営を早く軌道に乗せる | 地域農業の担い手として経営を発展させる |
| 併用 | 認定農業者になったことがある人は認定新規就農者の対象外(両制度は併用できません)。就農から年数が経ち計画期間が終わったら、認定農業者へ移行するのが一般的な流れです。 | |
「どちらを目指すべきか」は迷う必要はありません。これから就農する人はまず認定新規就農者をめざし、経営が育って計画期間が終わったら認定農業者へ移行するのが基本の流れです。認定農業者の要件やメリットは認定農業者とは?要件・メリットの解説記事で詳しく紹介しています。
対象になる人
次のいずれかに当てはまる人(または該当する法人)が、青年等就農計画を申請できます。まず自分が対象かどうかを確かめましょう。
- 青年:原則として18歳以上45歳未満の人。
- 知識・技能を有する人:効率的かつ安定的な農業経営に活用できる知識・技能があり、65歳未満の人。
- 該当する法人:上記の人が役員の過半数を占め、その法人が営む農業に主として従事すると認められる法人。
あわせて、農業経営を始めてから一定期間(おおむね5年)以内であることが目安です。すでに認定農業者である人や、過去に認定農業者であった人は、認定新規就農者の対象になりません。
認定を受けるメリット(使える補助金・資金)
認定新規就農者になると、就農初期の資金繰りや設備投資を支える複数の補助金・資金につながります。代表的なものは次のとおりです。経営開始資金・就農準備資金など給付型の資金の詳しい要件・申請は新規就農の資金(就農準備資金・経営開始資金)の解説記事でまとめています。
- 経営開始資金:経営開始直後(独立・自営就農から3年以内)の認定新規就農者に、最長3年間・1年あたり最大165万円(月額13.75万円)を交付します(新規就農者育成総合対策)。原則、就農時49歳以下が対象です。
- 就農準備資金:就農前の研修期間中に、最長2年間・1年あたり最大165万円(月額13.75万円)を交付します。経営開始資金とあわせて就農初期を支えます。
- 青年等就農資金:機械・施設や家畜の購入などに使える無利子の融資で、限度額は最大3,700万円(特認で1億円まで)。償還期間は17年以内(うち据置期間5年以内)で、借入の全期間にわたり無利子です。
- 経営発展支援事業:機械・施設などの導入に、補助対象事業費の上限1,000万円(経営開始資金とあわせて受ける場合は上限500万円)を、都道府県の支援分に国が上乗せして支援します。担い手への農業用機械・施設の導入支援もあわせてご覧ください。
- 担い手確保・経営強化支援事業:経営発展に必要な機械・施設の導入を後押しします。
- 農地利用効率化等支援交付金:規模拡大に向けた機械・施設の導入を支援します(農地利用効率化等支援事業)。
- 経営所得安定対策(ゲタ・ナラシ対策):対象品目の収入・所得の安定を図ります。
- 農地集積の促進:認定新規就農者へ農地を集めやすくする仕組みです(農地バンクを通じた農地の確保)。
- 農業者年金保険料の国庫補助:青色申告を行う認定新規就農者などに、保険料の一部を国が補助します。
このほか、雇われて経験を積みながら独立をめざす場合は雇用就農資金やトライアル雇用就農促進事業、経営が育ってきた段階では農業改良資金など、就農のステージに応じた支援も用意されています。
青年等就農計画の書き方と認定までの流れ
青年等就農計画には、就農後の経営の姿を具体的な数字で書きます。主な記載事項は次のとおりです。
- 農業経営の開始日と、就農する農地の場所・面積
- 栽培する作物や飼養する家畜などの種類と生産規模
- 生産方式や経営管理の方法(機械・施設の導入計画を含む)
- 目標とする所得と、その達成に必要な作業時間
- 機械・施設などにかかる費用の見込みと資金計画
市町村は、申請された青年等就農計画が次の要件を満たすときに認定します。
- 計画が市町村の基本構想に照らして適切であること。
- 計画の達成される見込みが確実であること。
相談から認定までの流れは、おおむね次のとおりです。
- 就農予定地の市町村の新規就農担当に相談する。
- 青年等就農計画認定申請書を作成し、市町村に提出する。
- 市町村との面談で計画の内容を説明する。
- 市町村が関係機関の意見を聞き、計画の実現性・妥当性を確かめる。
- 認定を受け、認定新規就農者として各種支援の対象になる(計画期間は認定の日から5年)。
申請書の様式は、農林水産省や市町村の案内から入手できます。記入のしかたに迷うときは、提出前に市町村の新規就農担当に相談しましょう。
制度の位置づけ
新規就農者を地域農業の担い手に育てるには、就農の段階から経営の発展段階まで、切れ目のない支援が欠かせません。そこで認定新規就農者制度は、農業経営基盤強化促進法のなかで、認定農業者制度と同じく市町村が計画を認定する仕組みとして設けられています。市町村は、都道府県の基本方針と整合させた基本構想に照らして計画を見極めます。身近な市町村が地域の実情に合わせて認定し、その人へ支援を集中することで、就農初期の経営を早く安定させるねらいがあります。
よくある質問
認定新規就農者と認定農業者はどちらを目指すべきですか
これから就農する人は、まず認定新規就農者を目指すのが基本です。経営開始資金や青年等就農資金など、就農初期向けの支援を受けやすくなります。経営が育ち計画期間(5年)が終わったら、農業経営改善計画を作って認定農業者へ移行し、スーパーL資金や税制の特例などにつなげるのが一般的な流れです。両制度は同時に持てません。
認定新規就農者になるともらえる補助金にはどんなものがありますか
代表的なものは、経営開始資金(最長3年・年最大165万円の給付)、青年等就農資金(無利子・最大3,700万円の融資)、経営発展支援事業(機械・施設の導入に補助対象事業費の上限1,000万円)です。いずれも認定が入口で、各支援はそれぞれ別に申請・審査します。給付型の資金の詳細は新規就農の資金の解説記事もご覧ください。
認定新規就農者と認定農業者は併用できますか
併用できません。認定新規就農者はこれから就農する人が対象で、すでに認定農業者である人や過去に認定農業者だった人は対象になりません。就農から年数が経ち計画期間が終わったら、農業経営改善計画を作って認定農業者へ移行するのが一般的な流れです。
認定新規就農者になるには何歳まで申請できますか
青年は原則18歳以上45歳未満です。これに加えて、効率的かつ安定的な農業経営に活用できる知識・技能がある人は、65歳未満まで対象になります。年齢の取扱いは市町村の運用で細部が異なるため、就農予定地の市町村の案内をご覧ください。
農業経営を始めてから何年まで対象ですか
おおむね就農5年以内が目安です。すでに経営が確立している人や認定農業者は対象になりません。具体的な期間の扱いは市町村ごとに運用が異なります。
青年等就農計画はどこに申請しますか
就農予定地の市町村に申請します。まずは市町村の新規就農担当に相談し、申請書を作成して提出します。市町村との面談と関係機関の意見聴取を経て認定されます。
認定されるとすぐに補助金をもらえますか
認定は支援を受けるための入口で、補助金や資金はそれぞれ別に申請・審査します。経営開始資金や経営発展支援事業などは、年度ごとの募集や予算の範囲、要件があります。気になる支援は、早めに市町村・都道府県の窓口で対象や受付時期を相談しておくと安心です。
法人でも認定を受けられますか
受けられます。青年や知識・技能を有する人が役員の過半数を占め、その法人が営む農業に主として従事すると認められる法人が対象です。
認定新規就農者にデメリットはありますか
制度そのものに費用はかかりませんが、青年等就農計画の作成には経営の数値目標や資金計画を具体的に詰める手間があります。認定後は計画に沿った経営状況の報告を求められることがあり、無利子融資など借入を使う場合は返済の計画も必要です。とはいえ、これらは経営を軌道に乗せるための準備としても役立ちます。
まず相談する先
認定新規就農者をめざすなら、最初の一歩は就農予定地の市町村への相談です。
- 就農予定地の市町村の新規就農担当:青年等就農計画の様式や認定の進め方、地域で使える支援を相談できます。
- 都道府県の就農相談窓口・農業改良普及センター:就農計画づくりや技術・経営の相談に対応します。
- 全国新規就農相談センター(各都道府県の青年農業者等育成センター):就農先探しや研修先の情報を得られます。
補助金・資金は年度ごとに募集や要件が変わります。気になる支援があれば、計画づくりと並行して早めに窓口へ相談しておきましょう。
キーワード解説
青年等
原則18歳以上45歳未満の青年、効率的かつ安定的な農業経営に活用できる知識・技能を有する65歳未満の人、またはこれらに該当する役員構成の法人を指します。認定新規就農者の対象になる人の範囲です。
青年等就農計画
新たに農業を始める青年等が作成し、市町村に提出する計画です。就農する農地・作物・経営規模・所得目標・資金計画などを記し、基本構想との整合や達成見込みが審査されます。認定を経て、各種のメリット措置と接続されます。
基本構想
市町村が策定し、青年等が目標とすべき農業経営の指標を示す計画です。青年等就農計画が適切かどうかは、この基本構想に照らして判断されます。
基本方針
都道府県が策定し、青年等が目標とすべき農業経営の基本的指標を示します。市町村の基本構想は、この基本方針と整合させて定められます。