国内肥料資源利用拡大対策事業は、畜産堆肥や下水汚泥などの国内資源を肥料として活かす取組を、国がお金の面で支援する事業です。堆肥の高品質化・ペレット化のための施設整備、ほ場での効果検証や試作、散布機・分析機などの機械導入が補助の対象になり、令和7年度補正では当該事業に7,000百万円が計上されています。実際の公募は「国内肥料資源活用総合支援事業」などの名称で、令和7年度補正予算により複数次にわたって実施されています。この記事では、対象になる事業者・取組から、補助上限額・補助率、令和7年度補正での公募・申請の流れまでを順に整理します。

こんな事業者・取組が対象になります

次のような取組を計画する事業者・団体が、この事業の支援対象に含まれます。自分の取組がどの柱に当たるかを、まず切り分けてみましょう。

  • 堆肥の高品質化・ペレット化をしたい畜産農家・堆肥センター・JA:強制発酵・乾燥・臭気対策などの施設整備が対象です。温室効果ガスの排出削減に向けた家畜排せつ物の管理方法の変更は、令和7年度補正の畜産枠とあわせて検討できます。
  • 国産肥料を製造・供給したい肥料メーカー・原料供給事業者:ペレット化・乾燥などの肥料製造施設や、下水汚泥資源などの原料供給に関わる取組が対象です。
  • 国産肥料を使ってみたい耕種農家・産地:ほ場での効果検証、成分分析、試作、散布機・土壌分析機の導入などが対象です。
  • 関係者をつなぐ協議会・団体:原料供給・製造・利用の各主体が連携計画をつくり、マッチングや理解醸成を進める取組も支援されます。

支援の早見

項目 内容
誰が 事業の流れでは、国から都道府県協議会等民間団体等へ支援が届きます。原料供給・製造・利用の各主体が連携計画を作成した者も、支援対象に含める設計です。
何を 施設整備、ほ場での検証・試作・分析・機械導入、マッチング・理解醸成、全国の土壌養分等の調査(土地生産力の把握)の三つの柱です。
いくら(目安) ①広域流通向け施設整備は補助上限20億円(畜産局所管の区分は上限なし)。②ほ場等は肥料の試作200万円、それ以外3,000万円(いずれも機械導入費を除く)。事業全体の令和7年度補正の内数は7,000百万円です。
詳細はどこで 農林水産省「国内肥料資源利用拡大対策事業」を起点に、地方農政局・都道府県の募集要項・要綱をご覧ください。個別公募は省ページの関連リンクや、事業名と「要綱」「募集」での検索からたどれます。

数値・区分について:本文の補助上限、定額、1/2以内は、農林水産省が公表している概要に基づく整理です。局所管の別枠や年度で変わり得ます。

事業の内容

1.施設整備等への支援

  1. 広域流通等に資する施設整備:堆肥等の高品質化・ペレット化など、広域流通等に必要な施設整備等を支援します。補助上限額は20億円です(畜産局事業は補助上限額なし)。
  2. 排出削減に資する排せつ物管理の変更:温室効果ガスの排出削減に資する家畜排せつ物の管理方法への変更を行うための施設整備等を支援します。

2.国内資源の肥料利用拡大等の取組への支援

  1. ほ場・製造・分析・機械導入等:ほ場での効果検証、成分分析、検討会の開催、機械導入等を支援します。補助上限額は、肥料の試作が200万円、それ以外が3,000万円(いずれも機械導入費を除く)です。畜産局事業は補助上限額なしとなります。
  2. マッチング・理解醸成:関係事業者間のマッチングや理解醸成等の取組を支援します。

3.国内資源の肥料利用拡大に向けた調査

国内資源の肥料利用の効率化に必要な全国の土壌養分等の状況を調査し、土地生産力を明らかにする取組です。

補助率・補助上限額の目安

区分ごとの補助率・補助上限額の目安は次のとおりです(支援は国から都道府県協議会等・民間団体等へ届きます)。

区分 補助のイメージ
1の①、2の① 都道府県協議会等へ定額、または1/2以内の補助です。
3の事業 都道府県協議会等へ定額、または1/2以内です。
2の② 民間団体へ定額です。

支援の具体例には、堆肥化・乾燥・臭気・強制発酵など堆肥の高品質化に必要な施設、ペレット化・乾燥・臭気など肥料製造施設、散布機・土壌分析機など利用機械、資材購入・成分分析・土壌分析に基づく試作・効果検証・供給実証などがあります。原料供給事業者・肥料製造事業者・肥料利用者の間で連携計画を作成した者も、支援の対象に含まれます。

国内肥料資源利用拡大対策事業とは

肥料の原料供給事業者肥料製造事業者肥料利用者が連携し、堆肥の高品質化・ペレット化、ほ場での効果検証、製造施設や散布機などの導入を通じて、国内資源ベースの肥料利用へ切り替えていく仕組みです。国は都道府県協議会等民間団体等(農業者が組織する団体を含みます)を支援の受け皿とし、その下で施設整備・ほ場支援・調査がつながります。輸入原料に頼り切らない国産肥料づくりと、家畜排せつ物の適正な管理を同時に進められる点が特徴です。

対策のポイント

肥料の国産化に向け、畜産業由来の堆肥や下水汚泥資源などの国内資源の肥料利用を進めるため、肥料の原料供給事業者肥料製造事業者肥料利用者の連携づくりや施設整備等を支援する対策です。堆肥の高品質化・ペレット化、肥料向け供給の実証、製造施設・試作・利用機械・効果検証に加え、原料供給・製造・利用の各主体が連携計画を作成した者への支援も、同じ事業イメージのなかに含まれます。

事業内容・イメージ、対策のポイント・目標、国と都道府県協議会等・民間団体等の関係、令和7年度補正予算額が1枚にまとめられた図。
農林水産省の説明図(1枚)。左に事業内容・イメージ・ポイント・目標、右下に事業の流れ、左下に令和7年度補正の内数があります。

政策目標

  • 国内資源の利用割合:肥料の使用量(リンベース)に占める国内資源の利用割合を拡大し、40%(令和12年度まで)を目標とします。
  • 温室効果ガス排出削減(畜産分野)29万t-CO₂(令和7年度→令和12年度まで)。対象は「1.施設整備等への支援」の②(温室効果ガスの排出削減に資する家畜排せつ物の管理の変更に関する施設整備)に対応します。

令和7年度補正予算額

当該事業に係る令和7年度補正予算額は7,000百万円です。

公募の状況と申請スケジュール(令和7年度補正)

この事業の予算は、令和7年度補正予算で「国内肥料資源活用総合支援事業」などの名称により複数次にわたって公募されています。募集には、大きく二つのルートがあります。

  • 全国を対象とする区分:都道府県域を超える事業実施計画を提出する事業者や、原料供給・製造・利用の連携体などが対象です。施設整備を中心とする「国内肥料資源活用施設総合整備支援」と、実証・推進を中心とする「国内肥料資源活用総合推進支援」の二類型で整理されます。
  • 都道府県の協議会を通じる区分:都道府県の農業再生協議会等が窓口になり、地域の農業者団体(例として5人以上・年間150日以上従事する農業者が参加する団体など)が、栽培実証・土壌分析・調査・情報発信・機械導入(1/2以内)・施設整備(1/2以内)に取り組みます。

公募は第2次・第3次と回を重ねており、申請期間は区分・地域で異なります(例として、全国向けの区分は令和8年初頭に、都道府県協議会を通じる区分は令和8年春ごろまでに募集が行われた地域があります)。事業の実施期間は令和9年3月までを目安とする案内が多く、着手できる時期は支援内容(ソフト/ハード)により前後します。

公募回次・締切は流動的です:最新の公募回次・申請期間・必着時刻・着手可能時期は年度や地域で変わります。下記の農林水産省ページと、お住まいの都道府県・地方農政局の最新の募集要項で必ずご確認ください。

よくある質問

これは補助金ですか

都道府県協議会等や民間団体等に対し、国が定額経費の1/2以内で支援する、という補助に近いイメージで説明されています。現場では「補助金が出る」と受け止められることもあります。

一方で、法律上の「補助金」(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の対象となるもの)に当たるか、交付金・委託費など別の形かは、公募ごとの要綱・様式の表題と根拠法令で決まります。ご自身の区分は、該当する公募の募集要項や様式でご確認いただけます。

堆肥のペレット化施設は対象になりますか

堆肥等の高品質化やペレット化など、広域流通に必要な施設整備は「1.施設整備等への支援」の対象です。広域流通向けの区分では補助上限額20億円が目安で、畜産局所管の区分では上限額を設けない扱いもあります。対象となる設備の範囲や要件は、区分ごとの募集要項でご覧いただけます。

下水汚泥由来の肥料も対象ですか

下水汚泥資源などの国内資源を肥料に活かす取組は、この事業が想定する国内資源の一つです。原料の供給や肥料化のための施設整備・効果検証などが、支援の対象に含まれます。利用できる原料の範囲や安全性に関わる要件は、所管課の案内や募集要項をご覧ください。

申請はどこに出せばよいですか

窓口は公募・区分ごとに異なります。農林水産省「国内肥料資源利用拡大対策事業」のページから関連リンクをたどり、募集要項に記載の問い合わせ先、所管の地方農政局、都道府県の農政ページをご覧ください。

最新の上限額や申請期限はどこで分かりますか

補助上限や申請締切は、年度・区分ごとに変わります。農林水産省の最新公表、地方農政局・都道府県の案内、実施要領の改正版など、公的に更新された資料を優先してご覧ください。制度の骨子をつかむには、農林水産省の上記事業ページが役立ちます。

個人農家が国に直接、補助金として申請できますか

国の公表している事業の流れでは、国から都道府県協議会等民間団体等へ支援が届くイメージが中心です。原料供給事業者・肥料製造事業者・肥料利用者の連携や連携計画の文脈で、団体単位で設計される取組が多くなります。申請主体や参加のしかたは区分ごとに異なるため、該当しそうな公募の募集要項をご覧ください。

補助率は必ず半額(1/2)ですか

説明資料上は定額1/2以内などの表現があり、局所管の別枠では上限の置き方が異なる場合があります。実際の率や上限額は、年度の要綱・別表で確定します。

採択後の支払いは、自己立替えから後で精算という形ですか

区分や会計処理の形態によって、必要な請求手続・検査・報告のタイミングは異なります。いつどの単位で国費相当分が還付・交付されるかは、募集要項、交付決定通知、様式類に示された運用に従います。運用が読み取りにくい場合は、募集要項の問い合わせ先へお尋ねください。

他の補助事業と対象経費が重なる場合、併給は可能ですか

国の複数制度で同一の経費に重ねて支援を受けられない場合があります。重複の禁止や必要な誓約の有無は、申請する区分の募集要項に明示されることが多いです。併用を検討する際は、条文・留意事項をご覧ください。

機械や肥料の購入は、すべて補助の対象経費になりますか

一部の区分では、補助上限額の算定から機械導入費を除くといった扱いがあります。対象となる経費の範囲・除外や、見積書の要件は、要綱の別表や説明資料に記載があります。申請前にあわせてご覧ください。

堆肥づくりや堆肥の散布に使える補助金は、ほかにもありますか

あります。本事業も堆肥の高品質化・ペレット化や散布機の導入を対象にしていますが、対象は「国内資源の肥料利用拡大」という枠組みに沿うものが中心です。家畜排せつ物の管理・堆肥舎の整備や土づくり全般に使える支援は、畜産枠や環境負荷低減の事業など複数にまたがります。目的別の探し方は農業の補助金一覧でも整理しています。

国産肥料づくりや環境負荷の低減に関わる支援は、ほかの事業ともつながります。あわせて読むと、自団体・自社に合う制度を選びやすくなります。

公表・手続の確認先:本記事の数値・区分は読みやすさのための整理です。事業名、補助率・上限、採択要件、申請様式、交付の運用、所管課など、確定して進めるべき情報の正本は、農林水産省「国内肥料資源利用拡大対策事業」、地方農政局、都道府県の募集要項・要綱・交付決定通知・様式です。

まとめ

国内肥料資源利用拡大対策事業は、国産肥料の原料・製造・利用をつなぐ連携と施設整備を後押ししながら、全国規模の土壌・養分の把握で肥料利用の効率化も支えます。政策目標はリンベースの国内資源比率40%(令和12年度まで)と、畜産分野のGHG削減29万t-CO₂(令和7→12年度、「1.施設整備等」の②に対応)の二本柱です。まずは自団体・自社の取組がどの柱に当たるかを切り分け、農林水産省・地方農政局・都道府県の要綱で具体的な手続を詰めていきましょう。

出典:農林水産省「国内肥料資源利用拡大対策事業」(事業の概要・関連情報)。本記事の数値・区分は読みやすさのための整理です。最終的な判断は、同ページおよび募集要項・実施要領、都道府県の案内をご覧ください。