鳥獣捕獲を「処分」で終わらせず、地域資源としての食肉利用へつなげるのがジビエ政策です。利用量の推移、4,000トン目標、認証制度、流通割合、大臣賞事例まで、捕獲者・加工事業者・販売事業者が連携を組むときの地図として整理します。
概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰に | ジビエの処理・販売事業者、狩猟者・ジビエハンター、鳥獣害対策とセットで流通を検討する自治体・農協です。 |
| 何を | 利用量・KPI、流通割合、認証制度、用途内訳、ART CUBE事例です。 |
| 詳細はどこで | 農林水産省「ジビエ利用の推進」をご覧ください。 |
国家目標と政策の方向
令和7年4月閣議決定の食料・農業・農村基本計画では、令和12年のKPIとしてジビエ利用量4,000トンが掲げられています。
目標達成に向け、捕獲鳥獣を地域資源として有効利用する取組を全国に広げるため、捕獲から消費まで各段階での対策を重点的に講じています。捕獲頭数だけ増やしても、処理能力・販路・衛生管理が追いつかなければ利用量は伸びません。
利用の実態(令和5年度)
全国772処理加工施設において、ジビエとして解体された野生鳥獣は182,627頭・羽、ジビエ利用量は2,729トンです。
捕獲されたシカ・イノシシのうち、ジビエとして食肉加工・流通された割合は約1割(捕獲者による自家消費を除く)です。残りは未利用・別用途等に流れており、4,000トンまでには処理・販路・需要開拓の伸びしろがあります。
利用量の推移
| 年度 | 利用量(トン) |
|---|---|
| 平成28年度 | 1,283 |
| 令和元年度 | 1,629 |
| 令和3年度 | 2,085 |
| 令和5年度 | 2,729 |
用途は食用が中心で、ペットフード等も含まれます(令和5年度)。
国産ジビエ認証制度
安全なジビエの提供と消費者の安心のため、平成30年5月に認証の仕組みを公表しました。令和7年6月末時点の認証施設数は31件です。
レストラン・百貨店・直販で「安全な国産ジビエ」を訴求するなら、認証施設での処理か、認証基準に沿った衛生管理が前提になります。施設認証と捕獲側のジビエハンター確保はセットで設計してください。
優良事例——株式会社ART CUBE
ART CUBEは平成30年に第1号の国産ジビエ認証を取得し、令和6年度鳥獣被害対策優良活動表彰で農林水産大臣賞を受賞しました。
- 国の指針を上回る厳格な独自ルール、捕獲は社員または契約ジビエハンターのみ
- 新鮮な肉の確保・処理・加工の徹底
- ジビエハンターガイドブックの普及、講習会・視察受入れ
- 百貨店等での販売
「捕獲→短時間で処理→コールドチェーン→販路」までを一社で握るモデルと、地域で捕獲・処理・販売を分担するモデルがあります。自社の強み(捕獲網・施設・販路)に合わせて役割分担を決めるとよいです。
捕獲から消費まで——設計のポイント
- 捕獲——ジビエハンター等、衛生管理知識を持つ捕獲者の確保
- 搬送・処理——認証施設または基準を満たす処理場、時間管理
- 販路——食用・ペットフード等、需要に応じた商品化
- 情報——認証・トレーサビリティによる消費者への説明
キーワード解説
国産ジビエ認証
安全なジビエ提供のための認証制度。処理施設等が基準を満たすと認証されます。
ジビエハンター
ジビエに必要な衛生管理の知識を持つ捕獲者。ART CUBE事例では契約ハンターのみが捕獲を担当しています。