鳥獣害対策で「捕獲だけ」「柵だけ」に偏ると、効果が限定的になりやすい——政策が示すのは3本柱の組み合わせです。被害額の現状、獣種別内訳、各柱の具体策、捕獲頭数の推移を、現場の計画づくりに使える形で整理します。

概要

項目 内容
誰に 鳥獣害に悩む農家、捕獲・防護を組織する自治体・猟友会、被害調査の担当者です。
何を 被害額・獣種別内訳、3本柱の内容、捕獲頭数、被害額の推移です。
詳細はどこで 農林水産省「鳥獣被害対策」、都道府県・市町村の鳥獣害窓口をご覧ください。
農作物被害164億円、シカ70・イノシシ36の内訳、3本柱、シカ72万頭・イノシシ52万頭の捕獲、被害額推移グラフ。
鳥獣被害対策の3本柱(出典:農林水産省「令和6年度 食料・農業・農村白書」

被害の現状

令和5年度の野生鳥獣による農作物被害額は164億円です。そのうち約7割がシカ・イノシシ・クマ・サルによるものです。

獣種(例) 被害額(億円)
シカ70
イノシシ36
その他獣類16
サル7
クマ7
カラス13
その他鳥類13

被害額は平成22年度239億円をピークに推移し、令和5年度は164億円です。減少傾向にある一方、依然として農家経営に大きな影響を与える規模です。

鳥獣対策の3本柱

鳥獣被害対策の鉄則は、次の3本柱を組み合わせることです。

キーワード 主な施策
第1の柱 個体群管理(とる 農地周辺等での鳥獣の捕獲
第2の柱 侵入防止(まもる 侵入防止柵の設置・管理、追払い
第3の柱 生息環境管理(よせつけない 農作物残さの管理、放任果樹の伐採、緩衝帯の整備

山林に面した水田・果樹園ではまもる+とる、集落周辺のイノシシ出没ではよせつけない+とる——被害の出方に応じて柱の比重を変えるのが現場の定石です。

捕獲の状況

令和5年度の捕獲頭数は、シカ72万頭、イノシシ52万頭です。シカは平成26年度59万頭から増加し、令和3〜5年度は72万頭前後で推移しています。イノシシは令和3年度53万頭から令和5年度52万頭です。

捕獲だけでは個体数がゼロにならない地域も多く、侵入防止食べ物・隠れ場所の管理を並行しないと、捕獲後も被害が続くケースがあります。

現場で計画するとき

  1. 自分の圃場の害獣種・時間帯・侵入経路を記録する
  2. 3柱のうち、短期で効く侵入防止と、中長期の生息環境管理を分けて予算化する
  3. 捕獲は自治体・猟友会・有害鳥獣捕獲等の体制と連携する
  4. 補助・技術支援は都道府県・市町村の鳥獣害窓口で確認する

キーワード解説

鳥獣被害対策の3本柱

とる(個体群管理)・まもる(侵入防止)・よせつけない(生息環境管理)の組み合わせが基本です。