農地を効率的な担い手へ集約する計画を進める地域では、農地集約化促進事業により、農地バンクを通じた団地化や貸付に応じた支援金を受け取れます。旧「地域集積協力金」「集約化奨励金」に相当する2つのタイプと、基本・大規模・誘致の3区分の違いを、交付単価と要件の観点で整理します。

概要

本事業の対象は、全域が同一の地域計画(目標地図)に含まれる「地域」です。農地バンクを活用して農地の集約化等に取り組む地域が、新たに団地化した面積や、農地バンクへの新規貸付面積に応じて支援金を受け取ります。支援金の使途は話合いにより地域で決められ、農業機械の購入、鳥獣害対策、賃料の先払い、農道の維持管理など、地域の実情に合わせた活用が想定されています。

項目内容
誰が 対象は同一の地域計画に含まれる地域です。市町村・農業委員会が主体となり、農地バンク・担い手・地域の関係者が集約化の設計と話合いに関わります。個別農家が単独で申請する制度ではなく、地域単位の取組です。
何を 集約化加速タイプ(団地化した面積)と地域集約化実現タイプ(農地バンクへの新規貸付面積)の2系統があります。加速タイプは基本・大規模集約・誘致団地創出の3区分に分かれます。
いつまでに 集約化加速タイプの要件充足期限は集約化目標年度(事業実施年度から起算して5年目の年度)です。地域集約化実現タイプ事業実施年度に貸付・要件を満たす必要があります。いずれも集約化目標年度までの耕作者への転貸が前提です。
いくら 加速タイプは1万〜5万円/10a、実現タイプは2万〜2.6万円/10aです。両タイプの組み合わせで最大7.6万円/10aまでとなります(該当条件は要綱・案内で整理されます)。
農地集約化促進事業の全体像。集約化加速タイプと地域集約化実現タイプの交付単価、基本・大規模・誘致の区分、最大7.6万円/10a、団地の定義、集約化目標年度。
農林水産省「農地中間管理機構(農地バンク)」関連資料(PDF):農地集約化促進事業(旧機構集積協力金)

2つの事業タイプ

農地集約化促進事業は、次の2タイプに大別されます。

  • 集約化加速タイプ(旧集約化奨励金):地域の農地面積に占める1ha以上の団地(中山間・樹園地は0.5ha以上、北海道は6ha)の割合を、集約化目標年度までに増やす取組。新たに団地化した面積が交付対象です。
  • 地域集約化実現タイプ(旧地域集積協力金):集約化された目標地図を策定できている地域で、農地バンクへの貸付が一定割合に達していることなどを要件とし、事業実施年度に新たに貸し付けた面積が交付対象です。

加速タイプと実現タイプを併用すると、交付単価は最大7.6万円/10aまでとなります。中山間地域で加速タイプの大規模・誘致区分と実現タイプの区分2が重なる農地など、重複適用の整理は要綱・脚注(※4)に従います。

集約化加速タイプ

集約化加速タイプは、まとまった農地の団地化を進め、生産性向上につなげるための支援です。次の3区分があります。

集約化加速タイプの取組イメージ。担い手の団地数減少の事例、基本・大規模集約・誘致団地創出の3区分。
集約化加速タイプの取組イメージ(農林水産省資料)

①基本タイプ

地域の農地面積に占める1ha以上の団地面積の割合が、集約化目標年度までに10ポイント以上増加することを要件とします(区分1は10ポイント増、区分2は20ポイント増)。交付対象は、要件を満たす新たに団地化した面積です。

交付単価は、団地面積割合の増加幅に応じ1.0万円/10a(区分1)または3.0万円/10a(区分2)です。農地バンクを通じた農作業受託の農地面積、目標地図で担い手が位置付けられていない農地(受け手不在農地)については、単価が1/2となります。受け手不在農地を4haまでまとめる受け皿準備タイプは、必ず1ha以上の団地面積の増加と併せて実施します。

基本タイプの取組前後の面積イメージ、団地の定義、10ポイント増加と交付額81万円の算例。
基本タイプの交付要件と算例(農林水産省資料)

②大規模集約タイプ

基本タイプの交付要件を満たしたうえで、次の面積規模要件を満たす団地が対象です。

  • 当該団地を耕作する者の経営規模が15ha以上(中山間7.5ha、樹園地2ha、北海道35ha)
  • 当該団地を耕作する者の1団地の面積が5ha以上(中山間2.5ha、樹園地1ha、北海道10ha)

交付単価は5万円/10aです。新たに団地化した面積(例:16ha)に単価を乗じて交付額が算定されます。

大規模集約タイプの算例。16haの団地化、経営規模15ha以上・1団地5ha以上、交付額800万円。
大規模集約タイプの交付要件と算例(農林水産省資料)

③誘致団地創出タイプ

目標地図で農業を担う者が位置付けられていない農地を団地化し、4ha以上の誘致団地を形成する取組です。集約化目標年度までに、地域計画で位置付けられていなかった新たな受け手(外部からの受け手や新規就農者を含む)へ転貸する必要があります(③の場合、事業実施年度の前年度2月末時点で位置付けられていない耕作者への転貸が要件となります)。

交付単価は5万円/10aで、誘致団地の面積(例:4ha)に乗じて算定されます。誘致団地をまとめる機会に、地域全体の団地化を進めると、基本タイプや大規模集約タイプとの併用も検討しやすくなります。

誘致団地創出タイプ。受け手不在農地4haの団地化、新たな受け手への転貸、交付額200万円の算例。
誘致団地創出タイプの交付要件と算例(農林水産省資料)

地域集約化実現タイプ

集約化された目標地図に基づき、まとまった農地を農地バンクに貸し付ける取組に対する支援です。次の①・②のすべてを満たす必要があります。

  • ①農地バンクの活用率:地域の農地面積に占める農地バンクへの貸付総面積の割合が、一般地域で80%超、中山間地域で60%超(区分2は一般80%超で2.6万円/10a)
  • ②目標地図上の団地:目標地図内の農地面積に占める、同一の耕作者が耕作する1ha以上の団地(中山間0.5ha以上)の割合が5割以上(実際の現況ではなく目標地図で判断)

交付対象は事業実施年度に新たに農地バンクに貸し付けた面積です。交付単価は、活用率の区分に応じ2.0万円/10aまたは2.6万円/10aです。

地域集約化実現タイプの算例。農地バンク活用率81.6%、目標地図の団地割合67.3%、新規貸付7.2ha、交付額144万円。
地域集約化実現タイプの交付要件と算例(農林水産省資料)

団地・集約化目標年度

団地とは、一連の農作業の継続に支障が生じない2筆以上の隣接する農地を指します。具体的には、畦畔で接続する農地、農道・水路等を挟んで接続する農地、各々一隅で接続する農地、段状に接続する農地、借受希望者の宅地に接続している2筆以上の農地などが該当します。

集約化目標年度は、事業実施年度から起算して5年目の年度です(令和8年度に事業を実施した場合、集約化目標年度は令和12年度)。加速タイプの団地化要件や、全タイプ共通の耕作者への転貸期限の基準になります。

要件・単価の一覧

タイプ別の期限・要件・交付単価は次のとおりです。

事業タイプ 区分 主な要件 交付単価/10a
集約化加速タイプ 基本 1ha以上団地の割合を10ポイント以上増加(区分2は20ポイント) 1万円 or 3万円
大規模集約 基本要件+経営15ha以上・1団地5ha以上 5万円
誘致団地創出 受け手不在農地を4ha以上の団地化、新受け手へ転貸 5万円
地域集約化実現タイプ 区分1・2 目標地図で団地5割以上、バンク活用率80%超(中山間60%超) 2万円 or 2.6万円
農地集約化促進事業の要件等一覧表。各タイプの期限、要件、交付対象、10aあたりの交付単価。
要件等一覧表(農林水産省資料)

転貸・支援金の使途

いずれのタイプも、集約化目標年度までに耕作者への転貸が必要です(誘致団地創出タイプでは、事業実施前に地域計画に位置付けられていない新たな耕作者・受け手への転貸)。支援金の使途は話合いにより地域で決めることができ、機械購入、鳥獣害対策、賃料の先払い、農道維持など、集約化の実効を高める用途が想定されています。

検討の進め方

地域で本事業を検討するときは、次の順で整理すると進めやすくなります。

  • 目標地図と地域計画の範囲(同一「地域」か)を確認する
  • 加速タイプか実現タイプか、または両方の要件を満たせるかを見極める
  • 団地化の見込み面積、農地バンクへの貸付計画、集約化目標年度までの転貸先(担い手・新規受け手)を具体化する
  • 交付単価の組み合わせ(最大7.6万円/10aまで)と、支援金の使途案を地域の話合いに載せる

年度ごとの取扱い・様式・算定の細目は、都道府県・市町村・農業委員会、農地バンク、地方農政局の案内が正本です。農林水産省の農地中間管理機構(農地バンク)のページもあわせてご覧ください。

キーワード解説

農地集約化促進事業

農地バンクを活用して農地の集約化等に取り組む地域を支援する事業です。旧機構集積協力金(地域集積協力金と集約化奨励金)に相当します。

農地中間管理機構(農地バンク)

地域の農用地利用集積等促進計画に沿い、農地の権利移動や貸付を仲介・管理する機構です。本事業では貸付面積や団地化の前提として位置づけられます。

集約化加速タイプ

団地面積の割合増加や大規模・誘致団地の形成に応じて支援金を交付するタイプです。旧集約化奨励金に相当し、基本・大規模集約・誘致団地創出の3区分があります。

地域集約化実現タイプ

目標地図と農地バンクの活用率を満たし、事業実施年度の新規貸付面積に支援金を付すタイプです。旧地域集積協力金に相当します。

団地

2筆以上の隣接農地で、農作業の継続に支障が生じないまとまりです。畦畔・農道・水路・段・宅地接続など、接続の形態が定められています。

集約化目標年度

事業実施年度から5年目の年度です。加速タイプの団地化要件や、耕作者への転貸期限の基準となります。

地域計画(目標地図)

農用地利用集積等促進計画に基づく地域の計画と、担い手・農地の位置付けを示す目標地図です。対象地域の範囲と、団地・受け手不在農地の判断に用いられます。

まとめ

農地集約化促進事業は、農地バンクを活用する地域の集約化を、団地化面積と新規貸付面積に応じて支援する制度です。加速タイプ(1万〜5万円/10a)と実現タイプ(2万〜2.6万円/10a)を組み合わせると最大7.6万円/10aまでとなり、集約化目標年度までの転貸と地域での使途決定が共通の前提です。

集約化計画を具体化する段階では、団地のまとまり方・バンク貸付の見通し・担い手への転貸スケジュールをセットで設計すると、どの区分が使えるかが判断しやすくなります。