使われていない農地を、市町村や農地バンクが手を入れて耕作可能な状態に戻し、担い手へ長期貸付するのが遊休農地解消対策事業です。対象農地の条件、10年以上の貸付要件、補助単価と整備内容を整理します。

概要

本事業は、地域の農地利用のなかで残る遊休農地について、市町村や農地バンクが簡易な整備を行い、解消したうえで農業者等へ貸し付ける流れを支援します。大規模な基盤整備ではなく、草刈りや除礫など比較的軽い工事で「使える農地」に戻すイメージです。

項目内容
誰が 整備と解消の主体は市町村または農地バンクです。遊休農地の所有者から農地を受け、整備後に農業者等(担い手)10年以上貸し付けます。地域計画を進める市町村担当や、集約化を担う農地バンク・受け手候補の農業者が検討の中心になります。
何を 草刈り除礫抜根(※)、耕起・整地、その他必要と認められる経費など、遊休農地の解消に要する簡易な整備が対象です。※ 農業生産を目的に新植・改植された樹木の抜根は対象外です。
いつまでに 農地バンクが農業者等へ農地を貸し付ける期間は10年以上が交付要件です。地域計画上、受け手がまだ位置づけられていない農地を、整備と貸付のタイミングで担い手に接続する流れになります。
いくら 交付単価は10アール当たり最大43,000円です。補助は、上記の簡易整備に係る経費を支援する形で位置づけられます。
遊休農地解消対策事業の概要。対象農地、交付要件と補助単価、整備内容、事業の流れ、解消事例のBefore/After。
農林水産省「農地中間管理機構(農地バンク)」関連資料(PDF):遊休農地解消対策事業(市町村・農地バンクによる簡易整備)

対象となる遊休農地

対象は、地域計画において受け手が位置づけられていない農地のうち、簡易な整備で解消可能な遊休農地です。すでに計画上の受け手が決まっている農地は、本事業の「受け手未配置」の前提とはずれます。

草刈りや除礫などで現場の状態を戻せる規模・条件かどうかが、採用可否の実務上の論点になります。大規模な暗渠排水や区画整理が必要な場合は、別枠の農地整備事業などとの住み分けを検討します。

交付要件・補助単価・対象経費

交付要件として、農地バンクが農地を10年以上貸し付ける必要があります。単発の短期貸付だけでは、交付の前提を満たしません。

交付単価10アール当たり最大43,000円です。補助対象経費は、遊休農地の解消に要する次の簡易な整備に係る経費です。

  • 草刈り
  • 除礫
  • 抜根(農業生産を目的に新植・改植された樹木の抜根は除く)
  • 耕起・整地
  • ⑤ その他、必要と認められる経費

整備の内容ごとに単価や採否が決まるため、見積・設計の段階で「①〜⑤のどれに当たるか」を整理しておくと、申請・実施の説明がしやすくなります。

事業の流れ

おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 遊休農地の所有者が、市町村または農地バンクへ農地を貸し付ける(または権利関係を整理する)。
  2. 市町村または農地バンクが、草刈り・除礫などの簡易整備を行い、遊休農地を解消する。
  3. 整備後の農地を、農地バンク農業者等10年以上貸し付ける。

所有者→行政・農地バンク→担い手、という三段の関係で、遊休状態から集約化の受け皿へつなぐ設計です。事例では、雑草や石が残る状態(Before)から、耕作しやすい区画(After)へ変わったケースが示されています。

解消事例で押さえるポイント

整備前は、草が茂り石が残り、機械作業や定植が難しい状態です。整備後は、耕起・整地が済み、担い手が継続利用できる農地に近づきます。写真事例は「どの程度の整備で解消とみなせるか」の目安になります。

同じ10アールでも、草刈り中心か、除礫・抜根まで必要かで経費構成が変わります。所有者の協力、近隣農地との境界、既存の樹木の有無も、③抜根の扱いに直結します。

検討の進め方

市町村・農地バンク・担い手候補では、次の順で整理すると、本事業の当てはまりが見えやすくなります。

  • 対象農地が地域計画で受け手未配置の遊休農地か、簡易整備で解消できるか
  • 整備後、農地バンクから10年以上の貸付が可能か(担い手の受け入れ見通し)
  • ①草刈り〜⑤その他のどの工事が必要か、10a当たり最大43,000円の範囲で収まるか
  • 新植・改植樹木の抜根が含まれないか(含まれる場合は対象外)

年度ごとの公募・様式・単価の取扱いは、都道府県・市町村の農政担当、地方農政局、農地バンクの窓口で案内があります。農林水産省の農地中間管理機構(農地バンク)のページもあわせてご覧ください。

キーワード解説

遊休農地解消対策事業

市町村や農地バンクが簡易な整備で遊休農地を解消し、担い手へ長期貸付する取組を支援する事業です。基盤整備のような大規模工事ではなく、草刈りや除礫など比較的軽い整備が中心です。

農地中間管理機構(農地バンク)

地域の農用地利用集積等促進計画に沿い、農地の権利移動や貸付を仲介・管理する機構です。遊休農地の受け皿として整備し、農業者等へ転貸する役割を担います。

地域計画

市町村が策定する農用地利用集積等促進計画など、地域の農地利用の枠組みです。本事業では、計画上まだ受け手が位置づけられていない農地が対象の前提になります。

担い手

地域で農業を担う農業者・農業法人などを指します。遊休農地を解消したあと、農地バンクから10年以上借り受けて経営する主体が、集約化の中心になります。

交付要件(10年以上の貸付)

補助を受けるための条件として、農地バンクが農地を10年以上貸し付けることが求められます。短期の一時利用では、交付の前提を満たしません。

まとめ

遊休農地解消対策事業は、地域計画で受け手がいない遊休農地を、市町村や農地バンクが簡易整備で解消し、農地バンク経由で担い手へ10年以上貸し付ける制度です。補助は10アール当たり最大43,000円が目安で、草刈り・除礫・抜根・耕起・整地などが対象経費です。

集約化を進める地域では、「受け手未配置の遊休農地か」「10年貸付の見通しがあるか」「簡易整備で足りるか」をセットで見ると、機構関連農地整備事業や農地集約化促進事業との使い分けが判断しやすくなります。