加工用米・新市場開拓用米・米粉用米を集荷して販売する事業者は、豊作の年に集めた米を翌年に持ち越して売るための保管経費の補助を受けられるようになりました。農林水産省が令和8年度に新設した「米穀需給変化対応事業」で、公募は2026年7月7日から8月21日(金)16時までです。この記事では、公募要領に基づき、応募できる事業者の要件、補助の対象と金額、申請の流れを整理します。応募の詳細は農林水産省の一次情報をご覧ください。
制度の全体像
公募中の内容を、誰が・何を・いつまでに・補助額の順にまとめます。
応募できる事業者は
応募できるのは集荷業者・団体で、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 事業実施年度の前年産または前々年産の集荷数量が、加工用米800トン以上、新市場開拓用米100トン以上、米粉用米100トン以上のいずれかであること。要件を満たした米穀は、実施要領に定める支援対象米穀として位置づけます。
- 「需要に応じた米の生産・販売の推進に関する要領」に定める取組主体であること。
- 代表者の定めと、組織運営についての規約の定めがあること。
- 事業の実施と会計手続きを適正に行える体制があること。
- みどりチェックシートに環境負荷低減の取組を記入して提出すること。
JAグループの集荷団体だけでなく、集荷実績の要件を満たす民間の集荷業者も応募できます。個々の生産者が直接応募する仕組みではないため、生産者の方は、出荷先の集荷業者・団体がこの事業に取り組むかを確かめるとよい制度です。
どれだけ受けられるか
補助は2つの取組に分かれます。保管の取組だけの応募はできますが、連携体制の取組の補助を受ける場合は、保管の取組もあわせて行う必要があります。
保管の取組で対象になるのは、令和8年産の加工用米等のうち、生産年の翌年11月1日以降に販売するものとして事業実施計画と需給安定計画に位置づけた米穀です。金利倉敷料は事業実施年度の11月から翌年3月までの分が対象で、保管計画数量のうち、翌年3月末時点の保管数量か各月の月初在庫数量のいずれか小さい数量までの支援を受けられます。
米穀需給変化対応事業とは
米穀需給変化対応事業は、令和8年度予算で新設された「米穀等安定生産・需要開拓総合対策事業」の一部で、予算概算決定額は5億5,000万円です。米粉製品の需要拡大や米の輸出拡大には米粉用米・新市場開拓用米などの安定供給が欠かせない一方、主食用米の需給状況を踏まえた作付転換などにより、これらの米の供給は不安定になっています。
そこで、豊作の年に集荷した加工用米等をすぐに売り切らず、翌年以降の販売分として保管しておくことで、生産量が変動しても実需者(加工・外食・中食などの買い手)へ安定的に供給できる体制をつくる、というのがこの事業の狙いです。保管には金利や倉庫料の負担が生じるため、その負担を国が補助します。
申請の流れと締切
応募書類は公募要領の別紙様式で作成し、電子メールまたは郵送などで提出します。提出先は事業実施主体の所在地によって異なり、全国生産出荷団体は農産局、北海道は北海道農政事務所、沖縄県は内閣府沖縄総合事務局、その他の都府県は所在地を管轄する地方農政局です。
- 提出期間:2026年(令和8年)7月7日(火)〜8月21日(金)16時。期間内に到着しなかった書類は無効になります。
- 電子メール:添付ファイルは圧縮せず1通7メガバイト以下にします。送付後は提出先へ電話で受信確認の連絡をしましょう。
- 郵送・持参:封筒に「米穀需給変化対応事業実施主体応募書類在中」と朱書きして提出します。FAXでは受け付けられません。
提出後は、農政局等による事前審査で応募要件を満たしているかが確かめられ、外部有識者が参画する選定審査委員会が審査基準に基づくポイント付けで補助金交付候補者を選びます。審査結果は最終審査の終了後に通知されます。交付決定前に事業に着手する必要がある場合は、着手届を応募書類とあわせて提出します。着手分は交付決定を受けられなかった場合に自己負担になる点に注意しましょう。
注意点
- 建物の建設や機械・不動産の取得、パソコンなど事業終了後も使える汎用品の購入、飲食費は補助の対象になりません。
- 補助対象経費のうち、消費税の仕入税額控除ができる部分は所要額に含められません。
- 同一の提案内容で他の補助事業に申請している場合、選定の結果によっては審査から除外されたり交付決定が取り消されたりすることがあります。
- 実際に交付される補助金の額は事業実施計画の審査結果に基づいて決まるため、応募時の所要額と一致しない場合があります。
キーワード解説
加工用米等
この事業では、加工用米(味噌・米菓・清酒などの原料に使う米)、新市場開拓用米(輸出用など新たな需要先向けの米)、米粉用米(米粉の原料に使う米)の3つをまとめて「加工用米等」と呼びます。いずれも主食用とは別の用途で生産・販売される米です。
需給安定計画
流通事業者が策定する、加工用米・新市場開拓用米・米粉用米について需給状況の変化に即した供給を行うために必要な取組内容や目標を盛り込んだ計画です。この事業の補助対象となる米穀は、需給安定計画に位置づける必要があります。
金利倉敷料
米を保管する間にかかる資金の金利と倉庫の保管料(倉敷料)をあわせた経費です。この事業では月別の助成単価を用いて算出し、適用金利は年1.875%が上限です。
みどりチェックシート
みどりの食料システム法に基づき、補助事業の応募時に環境負荷低減の取組を申告するチェックシートです。この事業でも、事業実施期間中に実施する取組をチェックして提出する必要があります。