六次産業化に取り組みたい、農村で起業して新しい事業を立ち上げたい。そうした事業者が使える国のソフト支援が、農山漁村振興交付金の地域資源活用価値創出推進事業(創出支援型)です。新商品開発や販路開拓への補助、経営課題に応じた専門家派遣を、計画づくりの段階から後押しします。この記事では、対象になるのは誰か、何にどれだけ補助が出るか、専門家の支援をどう受けるかを、これから申請を考える事業者向けに解説します。施設・設備の整備が中心の方は地域資源活用価値創出整備事業の解説を、交付金全体の枠組みは地域資源活用価値創出対策の解説をご覧ください。
概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が | ①推進支援は農林漁業者、市町村、民間事業者等。②中央サポートは中央サポートセンター経由で高度課題の事業者等へ専門家を派遣し、中間支援組織が官民マッチング・伴走を担う区分もあります。③都道府県サポートは都道府県サポートセンター等が、経営改善等の課題を抱える事業者へ専門家を派遣します。 |
| 何を | 新商品開発・直売所の売上向上、ビジネスアイデア創出、研究開発・実証、プランナー・デジタル人材の派遣・育成、施設給食の地産地消コーディネーター派遣・育成などです。施設整備は整備事業側の区分をご覧ください。 |
| 補助率・補助額 | ①は交付率1/2等・事業期間上限2年・上限500万円/事業期間。②③は定額・事業期間1年です。「等」は区分・経費目で変わります。 |
| 関連記事 | 六次産業の考え方は地域資源活用価値創出の解説、交付金の枠組みは対策の解説、施設整備は整備事業の要点をご覧ください。 |
| 詳細はどこで | 農林水産省「農山漁村振興交付金のうち地域資源活用価値創出対策」、「地域資源活用価値創出推進事業」、説明資料(創出支援型の概要(PDF))、都道府県・地方農政局の公募案内をご覧ください。 |
地域資源活用価値創出推進事業(創出支援型)とは
地域資源活用価値創出推進事業(創出支援型)は、農林水産物に限らず文化・景観・森林なども含めた地域資源を活かし、付加価値を生み出す取組を支援する事業です。六次産業化や農村での新事業を、施設・設備ではなくソフト面、つまり計画づくり・新商品・販路・人材・専門家といった面から後押しします。この支援は、対策の旧称である農山漁村発イノベーション対策のころから続く農山漁村発イノベーションの考え方を引き継いでいます。
支援は次の3つの事業区分で構成します。①推進支援事業が事業者の取組そのものへの補助、②中央サポート事業と③都道府県サポート事業が専門家派遣や官民マッチングの支援です。自社が補助を受けて取り組む側か、専門家の支援を受ける側かで、開く要領と窓口が変わります。
自分(自社)は対象になるか
次に当てはまるなら、創出支援型の対象になりやすい事業者です。
- 農林漁業者・市町村・民間事業者等で、地域資源を活かした新商品開発・販路開拓に取り組みたい
- 料理講習会等のイベントや直売所の売上向上、地域資源の掘り起こしによるビジネスアイデア創出を進めたい
- 付加価値創出に向けた研究開発・実証に取り組みたい
- 経営改善などの課題があり、専門家やプランナーの派遣を受けたい
加工施設や交流拠点の建物・設備づくりが中心の場合は、本事業ではなく整備事業が該当しやすくなります。詳しくは地域資源活用価値創出整備事業の解説をご覧ください。六次産業化そのものの考え方は地域資源を活かした価値創出の解説で整理しています。
3つの事業区分
1.地域資源活用・地域連携推進支援事業
地域資源を活用した付加価値創出に必要な、新商品開発・販路開拓、経営戦略策定・ビジネスアイデア創出、研究開発・実証事業等の取組を支援します。主な支援例は次のとおりです。
- 多様な地域資源を活用した新商品開発・販路開拓
- 料理講習会等のイベント、直売所の売上向上に向けた取組
- 地域資源の掘り起こし、ワークショップによるビジネスアイデア創出
- 多様な地域資源を活用した研究開発・成果利用
事業期間は上限2年、交付率は1/2等(上限500万円/事業期間)です。竹林の景観を活かしたキャンプ事業の創出や、地域の農林水産物による新商品開発などが取組例にあたります。
2.地域資源活用・地域連携中央サポート事業
事業期間は1年、交付率は定額です。主な取組は次のとおりです。
- 中央サポートセンターを設置し、付加価値創出に係る高度な課題解決に取り組む事業者等へ中央プランナー等の専門家派遣
- 地域金融機関等の中間支援組織による、農業・農村の仕事にこれまで携わっていなかった企業等の参加促進、地域課題の把握・翻訳、地域と企業のマッチング、マッチング後の伴走支援など(官民共創の促進)
- 施設給食における地産地消を促進するコーディネーターの派遣・育成
3.地域資源活用・地域連携都道府県サポート事業
付加価値創出に係る経営改善等の課題解決に取り組む事業者に対し、都道府県サポートセンター等から専門家を派遣する取組等を支援します。事業期間は1年、交付率は定額です。
事業の流れ
まず、課題を抱える地域が地域課題の把握を行い、中間支援組織が地域と民間をつなぐ機能としてマッチング・伴走支援を担います。事業化前は、都道府県サポートセンターからの支援要請を受け、中央サポートセンターがプランナー等・デジタル人材の派遣・育成や問合せ・相談に応じます。
事業化後は、病院・企業・学校等への地産地消コーディネーター派遣など、現場での実装フェーズへ移ります。自社が「推進支援の申請者」になるのか、「サポート事業を通じて専門家支援を受ける側」になるのかで、開く要領と窓口が変わります。
対策のポイントと事業目標
この事業は、農山漁村の所得向上と雇用機会の確保をねらいます。そのために、官民共創による地域課題の解決、事業者等の経営改善に向けた専門家派遣、農林水産物や関連する多様な地域資源を活用した新商品開発などの取組を支援します。
事業目標は、地域資源を活用して付加価値額向上に取り組む事業体の割合を68%から78%(令和11年度まで)へ増やすことです。
予算規模
農山漁村振興交付金(地域資源活用価値創出対策)全体の令和8年度予算額は7,045百万円(前年度7,389百万円)で、創出支援型はこの内数です。創出支援型単独の枠ではなく、整備事業などと共有する予算の目安として把握してください。
よくある質問
対象になるのはどんな事業者ですか
推進支援事業の対象は、農林漁業者・市町村・民間事業者等です。地域資源を活かした新商品開発・販路開拓、ビジネスアイデア創出、研究開発・実証などに取り組む事業者が当てはまります。経営改善などの課題を抱える事業者は、中央・都道府県のサポート事業を通じて専門家派遣を受ける側になります。
補助率や補助額はどれくらいですか
推進支援事業は交付率1/2等、事業期間は上限2年、補助額は事業期間あたり上限500万円です。中央サポート事業と都道府県サポート事業は定額交付で、事業期間は1年です。「等」は区分や対象経費で変わるため、最終的な補助率は最新の公募要領をご覧ください。
六次産業化や農村での起業にも使えますか
使えます。この事業は、農林水産物に加えて文化・景観・森林などの地域資源を活かした付加価値創出を幅広く支援します。新商品開発や直売所の売上向上、ビジネスアイデア創出など、六次産業化や農村での新事業の立ち上げに必要なソフト面の取組が対象です。六次産業化の考え方は地域資源を活かした価値創出の解説で整理しています。
専門家派遣はどう受けられますか
高度な課題には中央サポートセンターから中央プランナー等が、経営改善などの課題には都道府県サポートセンター等から専門家が派遣されます。事業化前は、都道府県サポートセンターからの支援要請を受けて中央サポートセンターがプランナー等・デジタル人材を派遣し、相談に応じる流れです。まずは都道府県や地方農政局の窓口に相談してください。
どこに申し込みますか
公募は年度ごとに行われ、窓口は都道府県・地方農政局です。最新の公示・実施要領・交付要領と公募案内をご覧のうえ、対象区分と申請者の名義を確かめて準備します。交付金全体の枠組みは地域資源活用価値創出対策の解説で確認できます。
次の一歩
まず、加工施設や交流拠点の建物・設備が中心か、計画づくり・新商品・販路・専門家といったソフト面が中心かを切り分けてください。ソフト面が中心なら本事業の創出支援型が該当しやすく、建物・設備が中心なら地域資源活用価値創出整備事業の解説を確認します。次に、申請者の名義が自治体・団体か民間単独かを資金の流れに沿って決め、都道府県・地方農政局の窓口へ相談します。経営課題があるときは、サポート事業による専門家派遣の利用もあわせて相談してください。
キーワード解説
地域資源活用価値創出対策
農山漁村振興交付金の対策のひとつで、農林水産物以外の文化・景観・森林なども含めた地域資源の活用と、多様な主体による付加価値創出を支援します。
地域資源活用価値創出推進事業
計画・人材・専門家派遣・商品開発・官民連携など、現場の能力づくりと需要づくりを支援する「推進」側の事業群です。創出支援型はその類型のひとつです。
創出支援型
推進事業の類型名で、新商品・販路・ビジネスアイデア・研究開発と、中央・都道府県のサポート体制を一体で示した区分です。
官民共創
地域課題を民間企業等とともに解決する枠組みで、中間支援組織によるマッチングと伴走支援が創出支援型の柱のひとつです。
中央サポートセンター
都道府県サポートセンター等を全国的な視点で支援する拠点で、高度な課題に中央プランナー等を派遣する取組と結び付きます。