農村の施設整備に使える補助金を探している事業者や自治体に向けて、農山漁村振興交付金の「地域資源活用価値創出整備事業」を解説します。農産物の加工・販売施設や直売所、廃校を活用した交流施設、再生可能エネルギー設備などのハード整備が対象です。まず誰が・何を整備できるかと補助率・上限額の早見を確認し、続いて二つの類型の違い、手続きの流れ、よくある質問へ進みます。新商品開発や専門家派遣などのソフト支援は地域資源活用価値創出の推進事業(ソフト支援)の解説を、交付金全体の枠組みは地域資源活用価値創出対策の全体像の解説をご覧ください。
概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が | 定住促進・交流対策型の計画主体は都道府県・市町村(活性化計画が必要)。実施主体の例は都道府県・市町村・農林漁業者団体等。産業支援型の実施主体は農林漁業者団体・中小企業者等で、融資・出資を活用したネットワーク構築が前提です。 |
| 何を | 農林水産物の加工・販売施設、地域間交流拠点、農作業体験施設、農家レストラン、廃校活用の交流施設、直売所、発電・蓄電・EV給電設備などの整備です。 |
| 補助率・上限額 | 定住促進・交流対策型は交付率1/2等・事業期間上限3年・上限4億円。産業支援型は交付率3/10等・事業期間1年・上限1億円等です。 |
| 関連記事 | 六次産業の考え方は地域資源活用価値創出の解説、交付金の全体枠は地域資源活用価値創出対策の解説、ソフト支援は推進事業(創出支援型)の解説をご覧ください。 |
| 詳細はどこで | 農林水産省「地域資源活用価値創出整備事業(定住促進・交流対策型)」、「農山漁村振興交付金のうち地域資源活用価値創出対策」、説明資料(整備事業の概要(PDF)、seibi-55.pdf)、実施要領・都道府県の募集案内をご覧ください。 |
手続き・要件について:交付率の「1/2等」「3/10等」、事業期間の上限、対象経費、必要な計画書類は、概要レベルの情報だけでは判断できません。実施要領・交付要領、都道府県の募集・説明資料を正本としてください。
地域資源活用価値創出整備事業とは
地域資源活用価値創出整備事業は、農山漁村振興交付金の「地域資源活用価値創出対策」のうち、ハード(施設・設備投資)を支援する事業です。農山漁村の自立と維持発展に向けて、多様な地域資源を活用しながら、定住・交流の促進、農林漁業者の所得向上、雇用の増大を図るために必要な、農林水産物の加工・販売施設や地域間交流拠点などの整備を支援します。実施の設計が異なる定住促進・交流対策型と産業支援型の二つの類型に分かれます。
整備できる施設と対象になる人
農産物の加工・販売施設、地域間交流拠点、農作業体験施設、農家レストラン、廃校を利用した交流施設、直売所、太陽光発電・蓄電・EV給電設備などが整備の対象です。自治体が主導して活性化計画に沿って整備するなら定住促進・交流対策型、農林漁業者の団体や中小企業者が六次産業化等の計画と融資・出資を組み合わせて整備するなら産業支援型が窓口になります。直売所や農産物加工施設の整備を検討している事業者は、まず自社がどちらの類型の実施主体に当てはまるかを整理してください。
定住促進・交流対策型
都道府県や市町村が計画主体となり、農山漁村の活性化に必要な施設整備を進める類型です。事業期間は上限3年、交付率は1/2等で、事業費の上限は4億円です。
計画主体が都道府県・市町村の場合、農山漁村活性化法に基づく活性化計画の作成が必要です。整備の例には、農作業体験施設、農林水産物処理加工施設、農家レストラン、廃校を利用した交流施設、直売所、太陽光発電・蓄電・EV給電設備などが含まれます。実施主体の例は都道府県・市町村・農林漁業者団体等です。
産業支援型
農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築し、制度資金等の融資又は出資を活用して、付加価値創出に必要な加工・販売施設等を整備する類型です。事業期間は1年、交付率は3/10等で、上限は1億円等です。実施主体は農林漁業者団体・中小企業者等です。
次のいずれかに基づく整備事業計画が必要です。
- 六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画
- 農商工等連携促進法に基づく農商工等連携事業計画
- 都道府県又は市町村が策定する戦略
再生可能エネルギー設備
再生可能エネルギーの発電・蓄電・給電設備は、定住促進・交流対策型または産業支援型の施設整備と同時に設置する場合に加え、既存の活性化・六次産業化施設に追加して設置する場合も支援の対象になり得ます。設備種別・接続・対象経費は実施要領でご覧ください。再エネで地域内のエネルギーを循環させる発想は地域内エネルギー循環システムの解説もあわせてご覧ください。
自社がどちらの類型に当てはまるか
類型ごとに計画主体・実施主体が異なるため、自社が「計画の作成に関与する側」か「実施主体として工事・調達を行う側」かを先に整理してください。専門家派遣・新商品開発・官民マッチングが先決なら推進事業(ソフト支援)の解説を、建物・設備・再エネへの投資が先決なら本記事の整備事業が出発点になります。六次産業化や農商工連携の計画を既にお持ちなら、産業支援型の要件との整合を早めに確認するのが近道です。農家民泊や農村滞在型の交流施設を考えている場合は、農村滞在・農泊の推進策の解説もご覧ください。
手続き・申請の流れ
国から地方公共団体や農林漁業者の組織する団体等へ交付が行われ、交付率の例として3/10・1/2等が設定されます。定住促進・交流対策型は、活性化計画や事業実施計画の作成、都道府県・市町村の役割分担など、手続きのステップが多い制度です。産業支援型は、融資・出資を含む事業設計と、六次産業化・農商工連携・地域戦略との整合が問われやすい類型です。いずれも、ガイドブック・実施要領に加え、地方農政局への相談が推奨されています。
事業目標
- 農山漁村における施設整備による雇用者数の増加:130人(令和11年度まで)
- 地域資源を活用して付加価値額向上に取り組む事業体の割合:68%から78%(令和11年度まで)
予算の内数
地域資源活用価値創出対策全体の令和8年度予算額は7,045百万円(前年度7,389百万円)の内数です。整備事業単独の配分ではなく、推進事業などと共有する予算箱の目安です。
よくある質問
対象になるのはどんな施設ですか
農産物の加工・販売施設、地域間交流拠点、農作業体験施設、農家レストラン、廃校を利用した交流施設、直売所、太陽光発電・蓄電・EV給電設備などが整備の対象です。地域資源を活用して定住・交流の促進や所得向上、雇用増大を図るためのハード整備が中心です。
誰が申請できますか
定住促進・交流対策型は都道府県・市町村が計画主体となり、実施主体には都道府県・市町村・農林漁業者団体等が含まれます。産業支援型は農林漁業者団体・中小企業者等が実施主体で、融資・出資を活用したネットワーク構築が前提です。直売所や農産物加工施設を自ら整備する民間事業者は、産業支援型が窓口になることが多い類型です。
補助率はどれくらいですか
定住促進・交流対策型は交付率1/2等で、事業期間は上限3年、上限は4億円です。産業支援型は交付率3/10等で、事業期間は1年、上限は1億円等です。交付率の「等」の範囲や対象経費は実施要領・交付要領で確認が必要です。
廃校を活用した交流施設も対象になりますか
廃校を利用した交流施設は、定住促進・交流対策型の整備の例に含まれます。この類型は都道府県・市町村が計画主体となり、農山漁村活性化法に基づく活性化計画の作成が必要です。具体の対象範囲は自治体の募集案内でご覧ください。
どんな計画書類が必要ですか
定住促進・交流対策型では農山漁村活性化法に基づく活性化計画が必要です。産業支援型では、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画、農商工等連携促進法に基づく農商工等連携事業計画、または都道府県・市町村が策定する戦略のいずれかに基づく整備事業計画が必要です。
再エネ設備だけを後から追加できますか
再生可能エネルギーの発電・蓄電・給電設備は、施設整備と同時に設置する場合に加え、既存の活性化・六次産業化施設へ追加して設置する場合も支援の対象になり得ます。設備種別・接続・対象経費は実施要領でご覧ください。
次の一歩
まず自社が定住促進・交流対策型と産業支援型のどちらの実施主体に当てはまるかを整理し、対象施設と補助率・上限額を本記事の早見で確認してください。次に、活性化計画や整備事業計画など必要な計画書類を確認し、地方農政局や都道府県・市町村の担当窓口に早めに相談します。交付金全体の枠組みは地域資源活用価値創出対策の全体像の解説、ソフト支援との組み合わせは推進事業(ソフト支援)の解説をご覧ください。
キーワード解説
地域資源活用価値創出対策
農山漁村振興交付金の対策のひとつで、推進(ソフト)と整備(ハード)の二本柱で地域の付加価値創出を支援します。
地域資源活用価値創出整備事業
加工・販売・交流拠点・再エネ設備など、施設・設備投資を支援する事業群です。
定住促進・交流対策型
自治体主導で活性化計画に沿った施設整備を進める類型で、事業期間・上限額が産業支援型より長く・大きい整理例です。
産業支援型
農林漁業者団体・中小企業者等が、六次産業化等の計画と融資・出資を組み合わせて施設を整備する類型です。
六次産業化
生産・加工・販売の連携で付加価値を高める取組で、産業支援型では総合化事業計画等が整備の前提となります。
再生可能エネルギー
太陽光発電・蓄電・給電設備などで、新規整備と既存の活性化・六次産業化施設への追加設置が整理例に含まれます。