野菜の卸売価格や小売価格、輸入量、産地の作柄は、独立行政法人農畜産業振興機構(alic)が運営する「ベジ探」(野菜情報総合把握システム)で無料で調べられます。この記事では、ベジ探で調べられるデータの種類と基本の検索手順、出荷判断や価格交渉など経営への活用方法を整理します。

概要

項目 内容
何ができる 野菜の卸売価格・入荷量、小売価格、輸出入、生産・出荷、消費、気象、産地・作柄の各データを検索・閲覧できます。
誰向け 出荷時期や値付けを判断したい野菜農家・農業法人、産地をまとめるJA・自治体、仕入れの相場を知りたい実需者(加工・外食・小売などの買い手)に役立ちます。
費用 情報の閲覧・検索はすべて無料です。
運営 独立行政法人農畜産業振興機構(alic)です。産地が需給動向を的確に把握し、計画的な生産・出荷を進められるよう支援することなどを目的に運営されています。
詳しくは ベジ探トップページベジ探マニュアルをご覧ください。

ベジ探で調べられるデータ

ベジ探には、価格・数量に関する統計が分類ごとにまとまっています。トップページのカテゴリーから、次のデータにたどり着けます。

分類 調べられる内容 特徴・出典
卸売価格動向 東京・名古屋・大阪・福岡の中央卸売市場における入荷量と価格の推移(直近1か月・グラフあり)、主要都市(10都市)の日別・卸売価格と入荷量 対象はキャベツ・トマト・だいこんなど15品目。価格は消費税込みで、過去5カ年の旬別平均価格も参照できます
小売価格動向 野菜小売価格動向調査(月別調査報告書)、総務省「小売物価統計調査報告」による主要な野菜の小売価格 調査は全国主要9都市の店頭で毎月第2金曜日に実施。キャベツ・トマトなど16品目が対象です
輸出入動向 野菜の輸入動向の月次速報レポート、主要野菜の輸入量・輸入価格の動向、主要輸入国の輸入量 DB検索では品目別の輸入先国・数量・単価や、輸出先国の上位も調べられます
生産・出荷動向 野菜の作付面積、収穫量、出荷量など DB検索で品目別・都道府県別の作付面積・出荷量や年推移、生産量の都道府県ベスト5を出せます
消費動向 品目別の消費数量・購入金額 総務省「家計調査」に基づき、任意の2期間と直近年の比較もできます
産地・作柄情報 各県・品目ごとの産地の作柄 都道府県別・作型別(夏秋なす、秋冬ねぎなど)の情報が随時掲載されます
気象情報 野菜主産地の気象情報 気象庁の公表に合わせてリアルタイムで更新されます

このほか、統計をまとめた「野菜統計要覧」、需給の解説を読める「やさいレポート」「野菜の需給・価格動向レポート」、産地を地図で見る「野菜マップ」などのメニューもあります。卸売価格・輸出入・生産動向・消費動向の主要データはExcelファイルで提供され、ダウンロードして自分の経営資料に加工できます。

基本の調べ方

データ検索の流れは共通で、次の手順で進めます。

  1. ベジ探トップページの「野菜のデータ検索」から、卸売市場入荷量・価格、消費動向、輸出入数量・金額、気象情報、生産動向のうち調べたい分類をクリックします。
  2. 情報一覧が表示されるので、検索したい帳票名をクリックして検索画面を開きます。
  3. 期間・市場・品目などの検索条件を選択します。
  4. 「検索」ボタンをクリックすると、結果を閲覧できます。

検索例で流れをつかむ

公式マニュアルには、東京都中央卸売市場へ入荷したキャベツの入荷量と単価の推移を調べる操作例が載っています。帳票「入荷量・単価(年推移)」を開いたあとの流れは次のとおりです。

  1. 期間を指定します。最大で5年まで指定できます。
  2. 卸売市場を選択します。例では「東京都中央市場計」を選びます。
  3. コード区分で「市場品目」を選択します。
  4. 品目分類に「葉茎菜類」、品目に「キャベツ」を選択します。
  5. 産地を絞る場合は都道府県を選択し、「検索」ボタンをクリックします。

消費動向・輸出入・気象・生産動向の帳票も、同じように条件を選んで検索する操作です。輸入先国を調べる例やだいこんの生産量ベスト5を出す例など、帳票ごとの操作例は公式マニュアルに画面つきで載っているので、初めて使うときはあわせてご覧ください。

経営にどう活かすか

ベジ探のデータは、日々の出荷から年単位の計画まで、次のような判断材料に使えます。

出荷判断と市況の確認

直近1か月の中央卸売市場の入荷量・価格グラフと、主要都市(10都市)の日別卸売価格を見れば、いまの市況と入荷の込み具合を確認できます。産地・作柄情報で他県の同じ品目・作型の状況もあわせて把握すれば、出荷のタイミングや出荷先の判断に役立てられます。

値付けと相場の確認

野菜小売価格動向調査では、全国主要9都市の店頭価格が毎月わかります。直売所や直販の値付けをするとき、店頭の実勢価格と自分の販売価格を比べる物差しにできます。

契約取引・価格交渉の根拠資料

実需者との契約取引では、価格の根拠を示せるかが交渉の土台になります。帳票「入荷量・単価(年推移)」や過去5カ年の旬別平均価格で平年並みの水準を確認し、Excelでダウンロードした数字を提案資料に使えます。なお、価格低落時に補給金を受けられる野菜価格安定制度も、過去の卸売価格を基礎に保証基準額が決まる仕組みで、ベジ探の市況把握はその理解にも直結します。

作付計画と競合の把握

生産動向のDB検索では、品目別・都道府県別の作付面積・出荷量や生産量の都道府県ベスト5を確認できます。競合産地の規模と自産地の位置づけを踏まえて、作付品目や作型の計画を立てられます。輸入品と競合しやすい品目では、月次の輸入動向レポートで輸入量・輸入価格の水準も押さえられます。

キーワード解説

卸売価格

卸売市場で野菜が取引されるときの価格です。産地の販売価格や店頭の小売価格のもとになる代表的な指標で、ベジ探では消費税および地方消費税込みの価格で掲載されます。

旬別

1か月を上旬・中旬・下旬の3つに区切った集計単位です。野菜は月の中でも価格が動くため、ベジ探の卸売市場データでは日別・旬別・月別・年別といった単位を選んで検索できます。

帳票

ベジ探データベースの検索メニューの単位です。「入荷量・単価(年推移)」「品目別輸入先国・数量・単価」のように、検索条件と表の形があらかじめ決まっており、目的に合う帳票を選んでから条件を指定します。

よくある質問

ベジ探は無料で使えますか

無料です。運営する農畜産業振興機構(alic)は、情報の閲覧・検索はすべて無料と明示しています。

どの品目の価格を調べられますか

中央卸売市場の入荷量・価格の推移は、キャベツ・ねぎ・はくさい・ほうれんそう・レタス・たまねぎ・ブロッコリー・きゅうり・トマト・なす・ピーマン・だいこん・にんじん・さといも・ばれいしょの15品目です。小売価格動向調査は袋入り千切りキャベツや白ねぎ・青ねぎを含む16品目が対象で、DB検索では品目分類から品目を選んで検索できます。

データはいつ更新されますか

データにより異なります。野菜小売価格動向調査は毎月第2金曜日に調査され月別報告書が公表されるほか、気象情報は気象庁の公表に合わせてリアルタイムで更新され、産地・作柄情報や輸入動向レポートも随時追加されます。トップページに統計資料公表予定表が掲載されているので、更新時期の確認に使えます。

データはダウンロードできますか

卸売価格・輸出入・生産動向・消費動向など主要なデータはExcelファイルで提供され、小売価格動向調査は月別報告書のPDFとExcelを取得できます。ダウンロードした数字は、経営計画や提案資料に加工して使えます。

過去のデータはどこまで遡れますか

帳票によって収録期間が異なります。例えば野菜小売価格動向調査は平成21年度以降のデータを参照でき、卸売市場のDB検索には長期の年次系列を持つ帳票もあります。収録期間は各帳票の検索画面でご覧ください。