概要
農業生産で使うマルチ・ビニール・コンテナなどのプラスチックについて、使わない・減らす・替える・回すを産地単位で組み立てる交付金事業です。国際条約の動向を前提に、分野全体の行動計画を整理し、代替資材の実証と、回収・再資源化と排出抑制がつながるモデル地域づくりまでを一連で支援します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が | ①②は民間団体等が国から委託・定額で実施します。③は都道府県協議会・市町村協議会等が交付金の主体となり、農業者・関係団体と連携してモデル地域をつくります。 |
| 何を | ①排出抑制・循環利用に向けた農業分野の対策の推進(検討会・調査で中長期の行動計画を整理)、②プラスチック代替資材実用化推進(現場実証・情報発信)、③農業由来廃プラ対策モデル地域形成(リサイクル技術・回収システムの実証と普及啓発・資材転換)です。 |
| いくら | 令和8年度当初予算の内数は574百万円(前年度612百万円)、令和7年度補正の内数は4,000百万円(前年度3,828百万円)です。①②は国の定額委託、③は国→都道府県→協議会等の定額です(総合対策全体の枠の目安)。 |
| 次の一歩 | 産地ではマルチ等の使用実態を棚卸しし、①全体計画の整理か②代替資材の実証か③回収・再資源化のモデルかを切り分けます。③を狙う場合は、都道府県・市町村協議会への参画と、交付要綱・公募案内に沿った事業計画の作成から始めます。 |
制度のねらいと目標
プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の動向を踏まえ、農業分野でも更なる排出抑制、適正回収、リサイクルを進めます。
具体的には、農業分野の中長期的な行動計画を整理する検討会の開催、プラスチック代替資材の実用化、農業由来の廃プラスチック対策のモデル地域の形成を支援します。事業目標はプラスチック廃棄物の排出の抑制です。
3つの事業内容
1.排出抑制・循環利用に向けた農業分野の対策の推進
国は、条約動向を踏まえ、民間団体等に委託して次を行います。
- プラスチックの排出抑制・適正回収・リサイクルに係る、農業分野の中長期的な行動計画を整理するための検討会の開催
- 上記に必要な調査
産地単位の取組の前に、分野全体で「何をいつまでにどう進めるか」の地図を共有する枠です。都道府県や協議会が③のモデル地域を組むときの前提情報にもなります。
2.プラスチック代替資材実用化推進事業
民間団体等が行う、紙・生分解性プラスチック等を使ったプラスチック代替資材の取組を支援します。排出抑制に直結する現場の実証と、普及のための情報発信の2段階です。
① プラスチック代替資材の実用化
- 生分解性の分析
- 実用化に向けた農業生産現場での実証
- 有識者等の意見を踏まえた検討
② プラスチック代替資材の普及のための情報発信
- マルチ等の農業資材に関する情報の収集
- プラスチック代替資材の利点等の情報発信
マルチを紙や生分解性マルチに替えるかどうかは、収量・病害・作業性・コストのバランスが課題になります。現場実証と分析結果をセットで公開する流れが、整理図の「代替資材の実用化」に対応します。
3.農業由来の廃プラスチック対策モデル地域形成事業(交付金)
都道府県協議会・市町村協議会等が主体となり、農業由来の廃プラスチックについて、資源循環と排出抑制の好循環が生まれるモデル地域づくりを支援します(交付金)。
資源循環の柱では、次を支援します。
- 農業由来廃プラスチックの新たなリサイクル技術の実証
- 回収システムの実証
併せて排出抑制として、次も支援の対象です。
- 排出抑制のための普及啓発
- 紙・生分解性マルチ等、排出抑制に資する資材への転換
回収・再資源化だけでなく、使う資材そのものを減らす・替える取組を同じ地域で進める設計です。協議会が農業者・処理業者・自治体をつなぐイメージが、整理図の「廃プラ対策モデル地域形成」に対応します。
現場で押さえる優先順位(5R)
整理図では、FAOの農業分野プラスチック関連資料を踏まえ、対策の優先順位が逆ピラミッド型で整理されています。上から順に取り組むほど、環境負荷の抑制効果が大きい考え方です。
- Refuse(不使用)——そもそも使わない
- Re-design(再設計)——代替素材への切替、製品設計の変更
- Reduce(使用低減)——使用量を減らす
- Reuse(再使用)——耐久性を高め、繰り返し使う
- Recycle(リサイクル)——廃棄物を再生処理して使う
- Recover(熱回収)——エネルギーを回収する
素材が混合している、製品が劣化している、土壌で汚染している場合などは、単純な焼却・埋め立てに流れやすく、整理図では下位の扱いとされています。モデル地域では、代替・低減と回収・リサイクルを組み合わせ、最終処分に頼りすぎない流れをつくることがねらいです。
資金の流れと事業イメージ
①②は国→民間団体等へ、定額委託で交付します。③は国→都道府県→都道府県協議会・市町村協議会等へ、定額で配分されます。
③のモデル地域では、整理図のとおり資源循環(新たなリサイクル技術・回収システムの実証→負担軽減)と排出抑制(普及啓発・紙・生分解性マルチ等への転換)を並行して進め、地域内で循環させるイメージです。
予算の規模(内数)
- 令和8年度当初予算の内数:574百万円(前年度612百万円)
- 令和7年度補正予算の内数:4,000百万円(前年度3,828百万円)
上記はみどりの食料システム戦略推進交付金(総合対策)全体の枠のうち、本事業に配分される内数です。
キーワード解説
みどりの食料システム戦略推進交付金
食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を目指す「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、環境負荷低減などの取組を支援する交付金の総称です。本事業はそのうち、農業生産におけるプラスチック排出抑制に関する枠です。
中長期的な行動計画(農業分野)
プラスチックの排出抑制・適正回収・リサイクルに関し、農業分野全体で取り組む内容と時期を整理した計画です。国際条約の動向を踏まえ、民間団体等が担う検討会・調査を通じて整備します。
プラスチック代替資材
紙、生分解性プラスチックなど、従来の石油系プラスチックに代わる農業資材です。生分解性の分析、生産現場での実証、有識者検討と、マルチ等の情報発信をセットで支援します。
農業由来廃プラ対策モデル地域
都道府県・市町村の協議会等が、回収・リサイクル技術の実証と、普及啓発・代替資材への転換を一体で進める地域です。資源循環と排出抑制の好循環を地域で実証し、他地域への展開を目指します。
5R(不使用〜熱回収)
不使用(Refuse)、再設計(Re-design)、使用低減(Reduce)、再使用(Reuse)、リサイクル(Recycle)、熱回収(Recover)の順で優先度を付ける考え方です。埋め立て・単純焼却は最終手段と位置づけ、代替・低減・回収を先に設計します。