みどりの食料システム戦略推進交付金の省エネルギー型ハウス転換事業は、施設園芸の産地で協議会を組み、再生可能エネルギーの活用と省エネ・低投入栽培への転換を進める枠です。本記事では、賦存量調査・マップ作成と栽培実証の2本柱、優先採択の条件、国→都道府県→協議会等の資金の流れ、令和8年度当初・令和7年度補正の予算内数を、施設園芸の関係者向けに整理します。

概要

項目 内容
誰が 地域の関係者が集まった協議会等が実施主体です。施設園芸農家・自治体・関連団体が、産地単位で検討会・調査・実証を組み立てます。
何を ①再生可能エネルギーの活用推進(賦存量調査・マップ作成、先進事例調査)と、エネルギー投入量の少ない栽培への転換実証(栽培体系の検討・実証・横展開)。実証では局所加温や既存ハウスの改良、生産性維持の技術を組み合わせます。
いくら 整理図に示す令和8年度当初予算の内数は574百万円(前年度612百万円)、令和7年度補正の内数は4,000百万円(前年度3,828百万円)です。国・都道府県の負担は定額・1/2以内です(総合対策全体の枠の目安)。
次の一歩 産地で①賦存量調査か②低投入栽培の実証かを切り分け、構成員のみどり認定・特定区域の有無を整理したうえで、都道府県の交付要綱・公募案内に沿って事業化します。
省エネルギー型ハウス転換事業の対策のポイント、事業目標、再生可能エネルギー活用と低投入栽培実証の2事業内容、優先採択、事業の流れ、事業イメージ図、予算内数。
農林水産省「令和8年度みどりの食料システム戦略推進総合対策(当初予算)」資料(PDF):省エネルギー型ハウス転換事業

制度のねらいと目標

協議会等が、再生可能エネルギーの活用促進のための賦存量調査や、省エネルギーと生産性を両立する持続的な栽培体系への転換に向けた実証、産地内への普及を進めます。

環境制御(温度・CO2濃度等)のためにエネルギーを投入する施設園芸で、収量・品質を大きく落とさず投入量を減らす栽培体系へ移行することが柱です。事業目標は、加温面積に占めるハイブリッド型園芸施設等の割合50%(令和12年[2030年])——化石燃料を使用しない園芸施設への移行です。

2つの事業内容

1.再生可能エネルギーの活用推進

地域の地中熱・地下水熱工場廃熱温泉熱など、活用可能な再生可能エネルギーに向けて、次を支援します。

  • 検討会の開催
  • 先進事例等の調査
  • 活用可能なエネルギーの賦存量調査、賦存量を把握するための情報収集
  • 賦存量マップの作成

地中熱・地下水熱・廃熱・温泉熱などを把握し、化石燃料のみに依存しない施設園芸の選択肢を広げる流れが、整理図の左側に示されています。

2.エネルギー投入量の少ない栽培への転換に向けた実証

エネルギー投入量の少ない栽培への転換は、次の3段階で設計します。

  1. 地域に適した持続的な栽培体系の検討——実証する栽培管理方法や資機材の検討
  2. エネルギー投入量の低減に向けた栽培体系の実証——投入エネルギーを減らす栽培管理・資機材の導入、エネルギーロス抑制、既存ハウスの改良(リノベーション)など。併せて収量・品質の維持・向上の実証
  3. 新たな栽培体系の横展開——マニュアル作成、セミナー等の情報発信

実証の選択肢として、局所加温技術(投入エネルギー低減)と高温対策(生産性の維持・向上)を組み合わせるイメージが示されています。環境負荷低減を行っている農産物への消費者理解を促進する取組も、選択メニューに含まれます。

優先採択になりやすい条件

次の場合は優先的に採択されます。

  • みどりの食料システム法に基づく特定区域での取組
  • 構成員(農業者、民間団体等)のみどり認定

資金の流れと事業イメージ

交付の筋道は国→都道府県→協議会等で、負担は定額・1/2以内です。検討会と賦存量調査・マップ作成、栽培体系の実証(局所加温・高温対策・リノベーション等)、実証知見のマニュアル化・公表へつなげる流れが、整理図の「事業イメージ」に示されています。

予算の規模(内数)

  • 令和8年度当初予算の内数:574百万円(前年度612百万円)
  • 令和7年度補正予算の内数:4,000百万円(前年度3,828百万円)

上記はみどりの食料システム戦略推進交付金(総合対策)全体の枠のうち、整理図に併記される内数の目安です。

キーワード解説

みどりの食料システム戦略推進交付金

食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を目指す「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、環境負荷低減や有機・省エネなどの取組を支援する交付金の総称です。本事業はそのうち、施設園芸の省エネルギー化・再生可能エネルギー活用に関する枠です。

みどり認定

環境負荷の低減に取り組む農業者等に対する国の認定制度です。構成員のみどり認定の有無が、優先採択の材料の一つになります。

再生可能エネルギー(賦存量調査・マップ)

地中熱・地下水熱・工場廃熱・温泉熱など、地域で活用しうるエネルギーを賦存量調査で把握し、賦存量マップとして整理します。化石燃料のみに依存しない加温・環境制御の選択肢を広げるための前提情報です。

エネルギー投入量の少ない栽培

温度・CO2濃度等の環境制御に要するエネルギーを、収量・品質を維持しながら減らす栽培体系です。栽培管理・資機材の実証、既存ハウスの改良、マニュアル化・セミナーによる横展開までが支援の流れです。

ハイブリッド型園芸施設等

化石燃料を使用しない、または大幅に削減した加温・環境制御を行う施設園芸の類型です。令和12年(2030年)までに、加温面積の50%をこの類型へ移行することが事業目標に掲げられています。

局所加温技術

ハウス全体ではなく、作物や区画に必要な範囲だけを加温するなど、投入エネルギーを抑える技術です。低投入栽培の実証では、高温対策(生産性維持)と組み合わせて検証するイメージが示されています。