対象になる施設と支援の早見

共同利用施設の整備に使える補助金は、集出荷や加工、保管、物流の拠点を整えるための施設・設備が幅広く対象になります。まず、誰が・何の整備に・どれくらいの補助率で使えるのかを表にまとめました。

対象になる人農業法人、農業者、農業者の組織する団体、JAなどの農業団体、輸出事業者、拠点事業者と連携する食品企業、都道府県、市町村、卸売市場の開設者などです。事業のタイプごとに対象は異なります。
対象になる施設集出荷貯蔵施設、冷凍野菜などの加工貯蔵施設、農業倉庫や乾燥調製施設、共同選果場、カントリーエレベーター、ストックポイント(荷物を一時集約する物流拠点)などです。複数施設を一つに集約する再編もあわせて支援します。
補助率タイプによって異なり、おおむね定額または費用の2分の1以内です。卸売市場等の整備は10分の4以内とされています。
上限額整備事業で年間およそ20億円、計画づくりなどのソフト支援で5,000万円程度です。再編集約・合理化は20億円/年×3年が上限です。
申込み・期限公募は年度ごとに行われます。申請を検討するときは、まず都道府県や市町村の窓口に相談し、農林水産省の公募要領で対象要件・補助率・期限をご覧ください。

共同利用施設の整備に使える補助金とは

共同利用施設とは、地域の農業者やJAなどがまとまって利用する集出荷貯蔵施設、加工貯蔵施設、農業倉庫、乾燥調製施設、共同選果場、カントリーエレベーターなどの施設です。これらの整備は、主に二つの予算で支援します。一つは産地の収益力を高める強い農業づくり総合支援交付金、もう一つは老朽化した施設の再編集約・合理化を後押しする新基本計画実装・農業構造転換支援事業です。いずれも、施設の整備とあわせて産地の生産・流通の効率化を進める点が特徴です。

地域の共同利用施設の多くは建設から30〜40年が経過し、老朽化が進んでいます。一方で担い手の減少や作付の変化により、施設が分散したままでは維持コストが重く、「拠点に集約して効率化したい」という声が産地から上がっています。国は、共同利用施設の再編集約・合理化と、食料システム構築に必要な施設整備を一体的に支援しています。

自社が対象になるか確認する

次のいずれかに当てはまる場合、共同利用施設の整備に使える補助金の対象になりやすいです。

  • 農業法人や農業者団体、JAなどとして、集出荷貯蔵施設や加工貯蔵施設、農業倉庫を新たに整備したい。
  • 老朽化した複数の施設を一つの拠点に統合し、維持コストや人手を削減したい。
  • 産地と卸・加工・小売などの実需者が連携し、生産から流通までの課題を一体的に解決したい。
  • 地域計画で産地の将来像が描かれており、その実現に必要な施設整備に取り組みたい。

機械や施設を担い手単位で導入したい場合は、担い手への農業用機械・施設の導入支援もあわせて検討すると、自分に合う制度を選びやすくなります。

国が押し出す二つの柱

事業の全体像・事業イメージ
【図】共同利用施設の整備支援・事業の全体像

① 強い農業づくり総合支援交付金

農業の高齢化や人手不足、国際競争への対応を背景に、産地の収益力を高め、持続可能な農業をつくるための交付金です。令和8年度は約120億円が計上され、次の三つのタイプで支援が行われています。

食料システム構築支援タイプは、産地と実需(卸・加工・小売など)を「つなぐ」取り組みを後押しするタイプです。食料システム構築計画(3年計画)を立て、拠点となる事業者(農業法人や食品企業など)と、農業者・産地が連携して、生産から出荷・流通まで一貫して課題を解決するソフト(実証や研修、計画策定など)とハード(施設・設備)の両方を支援します。産地基幹施設や卸売市場・共同物流拠点の整備もこの中に含まれます。

産地基幹施設等支援タイプは、産地の「要」となる施設の整備に特化したタイプです。農業法人や農業者団体などがつくる、集出荷貯蔵施設(産地で野菜や果物を集め、選別・出荷する施設)や、冷凍野菜の加工・貯蔵施設などが対象です。産地がまとまって出荷・加工する拠点を整えることで、効率と競争力を高めることがねらいです。

卸売市場等支援タイプは、物流の効率化と品質・衛生管理の強化、産地と消費地をつなぐ共同配送などに必要なストックポイント(荷物を一時集約する拠点)などの整備を支援するタイプです。卸売市場や共同物流拠点の施設が主な対象で、食品の流れをスムーズにし、経費を抑えることが目的です。

補助率はタイプによって異なりますが、おおむね定額または費用の2分の1以内、卸売市場等は10分の4以内などです。1事業あたりの上限額は、整備事業で年間おおむね20億円、ソフト支援で5,000万円程度です。公募は年度ごとに行われるため、申請を検討するときは農林水産省の公募要領で対象要件・補助率・期限をご覧ください。なお、産地の機械・施設整備を計画的に支援する産地生産基盤パワーアップ事業とも目的が重なる部分があり、いわゆる「産地パワーアップ」の取り組みとあわせて検討すると、産地全体の競争力を高めやすくなります。

② 新基本計画実装・農業構造転換支援事業

地域の農業を支えてきた共同利用施設(カントリーエレベーター、共同選果場、乾燥調製施設、倉庫など)の多くは、建設から30〜40年が経過し、老朽化が進んでいます。一方で、担い手の減少や作付の変化により、施設が分散したままでは維持コストが重く、「まとめて効率化したい」という声が産地から上がっています。

この事業は、そうした共同利用施設の再編集約・合理化に取り組む産地を支援するものです。「再編集約」とは、複数の施設の機能を一つの拠点に統合する取り組みです。例えば、複数の集出荷施設を廃止し、一つの大規模な施設に集約してコストと人手を削減します。「合理化」とは、老朽化した一つの施設を改修・増強し、性能を高めて再び活用する取り組みです。既存施設の撤去費用も補助対象に含まれます。

さらに、こうした再編集約・合理化に取り組む産地に対して、都道府県などが「加速化」のための支援(計画づくりや技術指導など)を行う場合、その費用の一部も国が補助します(再編集約・合理化に対する国庫補助額の6分の1以内)。補助率は費用の2分の1以内など、上限額は20億円/年×3年です。この事業の令和8年度予算は約217億円です。地域計画で将来像を描いている産地が対象になるため、まずは都道府県や市町村の窓口に相談すると確実です。

キーワード解説

  • 食料システム構築計画:新たな食料システムを実践・実装するため、生産から流通に至るまでの課題を一体的に解決するための3年計画です。
  • 共同利用施設の再編集約・合理化:地域計画に基づく老朽化した共同利用施設について、複数施設の廃止・合理化・新規設置や既存施設の設備増強による合理的活用を行う取組です。既存施設の撤去費用を含みます。

申請の進め方

共同利用施設の整備に使える補助金は、おおむね次の流れで進みます。①整備したい施設と取り組みが、どの事業のどのタイプに当たるかを見極めます。②都道府県や市町村の窓口に相談し、地域計画や産地の方向性とのつながりを確認します。③年度ごとに告示される公募要領で、対象要件・補助率・上限額・期限を確認します。④事業計画や食料システム構築計画などの必要書類をそろえて申請します。再編集約・合理化に取り組む場合は、撤去する施設や統合後の拠点をどう描くかを早めに整理しておくと申請がスムーズです。

事業全体の予算規模

共同利用施設の整備支援は、二つの予算を合わせた施策です。令和8年度予算の概算決定額は約338億円(前年度は約200億円)で、内訳は強い農業づくり総合支援交付金が約120億円、新基本計画実装・農業構造転換支援事業が約217億円です。あわせて令和7年度補正予算として約617億円が措置されています。背景には、共同利用施設の再編集約・合理化と、食料システム構築に必要な施設整備を一体で進めるねらいがあります。

よくある質問

対象になるのはどんな事業者ですか

農業法人、農業者、農業者の組織する団体、JAなどの農業団体、輸出事業者、拠点事業者と連携する食品企業のほか、都道府県、市町村、卸売市場の開設者などが対象です。事業のタイプによって対象は異なるため、自分の取り組みがどのタイプに当たるかを最初に見極めると整理しやすくなります。

どんな施設の整備に使えますか

集出荷貯蔵施設、冷凍野菜などの加工貯蔵施設、農業倉庫や乾燥調製施設、共同選果場、カントリーエレベーター、物流のストックポイントなどが対象になります。新しく整備するだけでなく、複数の施設を一つの拠点に集約する再編や、老朽化した施設の改修・増強もあわせて支援します。

補助率はどれくらいですか

タイプによって異なり、おおむね定額または費用の2分の1以内です。卸売市場等の整備は10分の4以内です。上限額は整備事業で年間およそ20億円、計画づくりなどのソフト支援で5,000万円程度、再編集約・合理化は20億円/年×3年です。

農業倉庫の整備にも使えますか

地域でまとまって利用する農業倉庫や乾燥調製施設は、共同利用施設として整備の対象になります。個々の経営体が単独で導入する機械・施設を検討している場合は、担い手への農業用機械・施設の導入支援もあわせて確認すると、目的に合う制度を選びやすくなります。

どこに申し込みますか

公募は年度ごとに行われ、まずは都道府県や市町村の農政担当窓口に相談するのが近道です。具体的な対象要件や提出書類は農林水産省の公募要領で確認します。制度全体の探し方は農業の補助金一覧もご覧ください。

補助金のほかに融資はありますか

あります。補助金の自己負担分などをまかなう資金として、日本政策金融公庫の農林漁業施設資金(共同利用施設)が利用できます。融資限度額は負担額の80%、返済期間は20年以内(うち据置3年以内、機械器具は15年以内)が目安です。補助金と融資は併用できる場合が多いため、事業費の組み立てを都道府県・市町村の窓口や公庫の支店に相談すると計画を立てやすくなります。

災害で壊れた施設の復旧にも使えますか

災害で被災した施設の復旧は、この整備補助金とは別の農林水産業共同利用施設災害復旧事業で支援します。JAなどが所有する共同利用施設が地震・台風・豪雨などで被害を受けた場合に、国が復旧費用の一部を補助する制度です。新しく整備・再編する場合は本記事の補助金、被災設備を元に戻す場合は災害復旧事業、と目的で使い分けてください。

次の一歩

まずは整備したい施設が、どの事業のどのタイプに当たるかを整理し、都道府県や市町村の農政担当窓口に相談してください。そのうえで、年度ごとの公募要領で対象要件・補助率・上限額・期限をご覧ください。産地全体の競争力を高める観点では、産地生産基盤パワーアップ事業など関連する制度もあわせて検討すると選びやすくなります。