トラクターや乾燥調製施設、ハウスなどを融資で導入する担い手に、設備費の一部を上乗せで補助するのが農地利用効率化等支援事業融資主体支援タイプです。地域計画目標地図に位置付けられた認定農業者などが対象で、補助率は事業費の3/10、上限は原則300万円です。この記事では、対象者・主な要件・補助率と上限額・成果目標・申請の流れまでを、設備を導入したい立場で順に整理します。要望調査の日程や申請様式は市町村が定めるため、最終的な手続きはお住まいの市町村と農林水産省の最新案内をご覧ください。

概要

項目 内容
誰が 地域計画が策定された地域で、目標地図に位置付けられた担い手です。認定農業者・認定就農者・集落営農組織、目標所得水準を達成している農業者、市町村が認める者などが含まれます。新規就農者は認定農業者又は認定就農者に限ります。
何を 融資を受けて導入する農業用機械・施設の取得農地等の造成・改良です。トラクター、乾燥調製施設、ビニールハウス、畦畔除去・排水整備などが対象になります。経営改善の成果目標に直結し、既存機械の単なる更新ではないことが要件です。
いつまでに 個々の事業は単年度で完了します。成果目標の目標年度は、令和8年度事業の場合令和10年度です。要望調査の日程・市町村への申請期限はお住まいの市町村が定めます。
補助額 助成金は事業費×3/10融資額事業費-融資額-他助成の最小額です。上限は法人・個人を問わず300万円で、目標地図の担い手で目標年度の経営面積が一定以上なら600万円です。担保が難しい場合は追加的信用供与補助事業で機関保証を利用できます。
農地利用効率化等支援事業の位置づけ。地域計画の早期実現に向け担い手の経営改善に必要な農業用機械・施設の導入を支援し、集約化に重点を置いた農地利用の姿と目標地図の関係を示す図。
農林水産省「農地利用効率化等支援事業 要望調査用資料(令和8年4月版)」(PDF):事業のねらいと目標地図

農地利用効率化等支援事業とは

農地利用効率化等支援事業は、地域の中核となる担い手が経営改善に取り組むとき、トラクターや調製施設、ハウス、農地改良などに要する資金負担を下げる事業です。集約化に重点を置いた農地利用の姿を地域計画で示し、目標地図に位置付けられた担い手が機械・施設を整える流れに乗せます。

本事業には複数のタイプがありますが、この記事で扱うのは融資主体支援タイプです。融資を受けて機械・施設を導入する農業経営体を支援し、経営改善の実績・目標や地域の農地集積の実績などを地区ごとにポイント化して、上位の地区から採択します。設備の全額を補助で賄うのではなく、自己資金や融資で導入する設備に補助を上乗せする設計です。機械・施設の導入に使える融資には、スーパーL資金農業近代化資金などがあり、これらの借入と本事業の補助を組み合わせて資金計画を立てます。

3つの優先枠

次の取組には優先枠が設けられ、採択で有利になりやすい設計です。詳しい要件は後半の見出しで整理します。

対象となる地区と担い手

事業を実施できる地区

実施地区は「地域計画」が策定されている地域です。自分の農地・経営体が対象地区に含まれるかは、まず市町村の農政担当へ確認します。地域計画が定まっていない地域では、この事業は使えません。

助成対象となる経営体

支援の対象となるのは、地域計画の目標地図に位置付けられた者です。具体的には次の経営体が含まれます。

  • 認定農業者、認定就農者、集落営農組織
  • 市町村基本構想に示す目標所得水準を達成している農業者
  • 市町村が認める者、および目標地図への位置付けが確実であると事業実施主体(市町村)が認める者

新規に就農した方は、認定農業者又は認定就農者に限ります。目標地図に載っていない、または市町村の認定が得られない場合は、別枠(例:地域農業構造転換支援の新規就農者向けメニュー)の検討が先になります。新規就農時の少額の機械・施設には、無利子の農業改良資金を組み合わせる選択肢もあります。

補助の対象になる機械・施設と主な要件

補助の対象は大きく次の2類型です。

  1. 農産物の生産・加工・流通その他、農業経営の開始又は改善に必要な機械等の取得・改良・補強
  2. 農地等の造成・改良・復旧

例として、トラクター・田植機・コンバイン、乾燥調製施設(乾燥機)、集出荷施設(選果機)、ビニールハウス整備、畦畔除去・明きょ・暗きょ排水の整備などが対象になります。

導入前に押さえる主な要件

採択を狙うなら、設備選びの段階で次の要件を満たしているかを確認します。

  • 融資を受けて機械等を導入すること(対象融資は農協・信金・公庫・銀行・都道府県など、資料に列挙された機関の貸付)
  • 個々の事業は単年度で完了すること
  • 事業費は整備内容ごとに50万円以上であること
  • 対象機械等の耐用年数はおおむね5年以上20年以下であること(中古は使用可能年数2年以上が追加要件)
  • 運搬用トラック・パソコン・汎用倉庫など、農業以外に容易に転用できるものは原則対象外(フォークリフト・ショベル・GPSガイダンス等は、農業専用利用・必要性・導入後の適正利用が確認できる場合に限り例外)
  • 成果目標の達成に直結し、既存機械の単なる更新ではないこと
  • 園芸施設共済・農機具共済等、自然災害への備えを講じること

見積だけでなく、「なぜ今その設備が必要か」「更新ではなく何が変わるか」を、成果目標とセットで市町村に説明できるよう整理しておきます。これが固まっていると、要望調査・採択の段階でぶれにくくなります。

優先枠の中身

通常の採択に加えて、計画と機械の一致が求められる優先枠があります。導入予定のすべての機械が、認定を受けた計画の記載内容と一致している必要がある点が共通のハードルです。

スマート農業優先枠

スマート農業技術活用促進法の生産方式革新実施計画に基づく機械導入が対象です。導入機械は、計画の別記様式第2号4(4)Bのスマート農業技術、又はCの新たな生産方式と一致させます。

みどり農業推進優先枠

「みどりの食料システム戦略」に沿い、環境負荷を下げ持続可能性を高める取組が対象です。みどりの食料システム法の環境負荷低減事業活動実施計画又は特定環境負荷低減事業活動実施計画に基づく機械で、計画の別記様式第7号3(5)又は第8号3(5)の実施内容と一致させます。

集約型農業経営優先枠

土地利用の制約などで規模拡大が難しい地域等において、集約型農業で収益を上げる取組が対象です。要件は次のとおりです。

  • 耕種農家であること
  • 目標年度の1ヘクタール当たり付加価値額が50万円以上であること
  • 目標年度に経営面積が現状より縮小しないこと

補助率と上限額

整備内容ごとに、次の①〜③のうち最も低い額が助成金額になります。算定額が上限を超える場合は上限が適用されます。

  • = 事業費 × 3/10
  • = 融資額
  • = 事業費 - 融資額 - 地方公共団体等による助成額

補助率は事業費の3/10が基本です。上限額は、法人・個人を問わず300万円です。目標地図に位置付けられた者で、目標年度の経営面積が次の基準以上の場合は600万円になります。

  • 水田作等:20ヘクタール
  • 露地作:5ヘクタール
  • 果樹作:3ヘクタール
  • 施設園芸作:1ヘクタール

融資額・他助成・自己負担の組み合わせによっては①が効きにくいケースもあります。金融機関との融資計画と、市町村への要望内容を同時に組み立てると、受け取れる補助額の見通しが立てやすくなります。

設定する成果目標

支援を受ける方は、①必須目標と、②〜④から1つ以上の選択目標について、目標年度(令和8年度事業は令和10年度)の具体的な数値目標を設定し、達成する必要があります。

  • 【必須】①付加価値額(収入総額-費用総額+人件費)の拡大
  • 【選択】②農産物の価値向上 単位面積当たり収量の増加 経営コストの縮減

今後の取組をポイント化する場合は、⑤経営面積の拡大、⑥労働時間の縮減、⑦経営管理の高度化についても目標設定が必要です。設備導入の理由は、この数値目標にどう結びつくかで説明すると実務的にまとまります。

追加的信用供与補助事業

融資機関からの融資にあたり、原則として融資物件以外の担保や同一経営外の保証人の確保が難しい場合でも、適切な融資計画を策定した経営体には、農業信用基金協会による機関保証が措置されます。保証には別途の審査と保証料が必要です。

保証上限の目安は、認定農業者が個人3,600万円・法人7,200万円、それ以外の者が個人3,000万円・法人6,000万円(任意団体も同額)です。機械導入の融資とセットで、保証枠まで含めて資金計画を組む場面が多い制度です。

追加的信用供与補助事業の機関保証、保証上限額の表(認定農業者とそれ以外の個人・法人)、支援は市町村等を通じて実施、問い合わせ先は地方農政局等。
農林水産省「農地利用効率化等支援事業 要望調査用資料(令和8年4月版)」(PDF):信用保証と実施体制

申請の流れ

本事業による農業者への支援は市町村等を通じて行われます。農業者から国へ直接申請する形ではなく、市町村が国へ要望し、地区のポイント採択を経て助成が決まる流れです。設備を導入したい担い手は、次の順で動きます。

  1. 自分が目標地図に位置付けられているか、実施地区に含まれるかを市町村農政担当で確認する
  2. 導入したい機械・施設と融資計画、成果目標(令和10年度)を整理する
  3. 優先枠を狙う場合は、認定済みの各種実施計画と機械リストの一致を確認する
  4. 市町村の要望調査・申請期限に合わせて書類を提出する(期限は市町村が設定

よくある質問

農地利用効率化等支援事業とは何ですか

地域計画の早期実現に向け、担い手の経営改善に必要な農業用機械・施設の導入を支援する事業です。融資主体支援タイプのほか、地域の状況に応じたメニューがあります。トラクターや乾燥施設、ハウス、農地改良などを融資で導入する担い手に、設備費の一部を補助します。

融資主体支援タイプとは何ですか

融資を受けて機械・施設を導入する農業経営体を支援するタイプです。経営改善の実績・目標や地域の農地集積の実績を地区ごとにポイント化し、上位の地区から採択します。設備を全額補助するのではなく、融資で導入する設備に補助を上乗せする仕組みです。

補助率はどのくらいですか

補助率は事業費の3/10が基本です。実際の助成金は「事業費×3/10」「融資額」「事業費-融資額-他助成」の3通りのうち最も低い額になります。上限は法人・個人を問わず原則300万円で、目標地図の担い手で目標年度の経営面積が一定以上なら600万円です。

誰が対象ですか

地域計画が策定された地域で、目標地図に位置付けられた担い手です。認定農業者・認定就農者・集落営農組織、目標所得水準を達成している農業者、市町村が認める者などが含まれます。新規に就農した方は認定農業者又は認定就農者に限ります。

次の一歩

まずは、お住まいの市町村の農政担当に連絡し、自分が目標地図に位置付けられているか、実施地区かを確認しましょう。あわせて、導入したい機械・施設の見積と、スーパーL資金農業近代化資金など利用する融資の見通しを早めに金融機関と相談すると、補助と融資を組み合わせた資金計画が立てやすくなります。実施要綱・交付要綱・要望調査の日程は、農林水産省の令和8年度案内ページに掲載されます。細目・採択可否は市町村・都道府県・地方農政局の案内に沿って進めてください。

キーワード解説

農地利用効率化等支援事業

地域計画の早期実現に向け、担い手の経営改善に必要な農業用機械・施設の導入を支援する事業です。融資主体支援タイプのほか、地域の状況に応じたメニューがあります。

融資主体支援タイプ

融資を受けて機械・施設を導入する農業経営体を支援するタイプです。補助率は事業費の3/10を基本とする算定方式で、補助上限は300万円(条件により600万円)です。

地域計画

地域で将来の農地利用の姿と担い手の役割を整理する計画です。本事業の実施地区は、この計画が策定された地域に限られます。

目標地図

地域計画のうち、どの担い手に農地を集約していくかを示す地図です。目標地図に位置付けられた経営体が、融資主体支援タイプの主な助成対象です。

スマート農業優先枠

生産方式革新実施計画に基づくスマート農業技術の機械導入を優先的に支援する枠です。計画記載と導入機械の一致が必要です。

みどり農業推進優先枠

環境負荷低減事業活動実施計画等に基づく、環境配慮型営農への転換を支援する枠です。計画の実施内容と機械が一致している必要があります。

集約型農業経営優先枠

規模拡大が難しい地域で、施設園芸など集約型農業により収益を高める取組を支援する枠です。付加価値・経営面積などの数値要件があります。

追加的信用供与補助事業

担保・保証人の確保が難しい場合に、農業信用基金協会の機関保証を利用しやすくする制度です。融資主体支援タイプと併せて検討されることが多いです。