概要

項目 内容
誰が 農林水産省JAグループ(全農・経済連・全共連・農林中金など)、都道府県・市町村、JA(営農指導員)、輸出商社・JETRO等の地域関係者が連携します。
何を モデル輸出産地の形成、フラッグシップ輸出産地の選定と横展開、輸出人材の育成・確保、輸出関係連絡協議会による定期協議を整理します。
予算の例 GFP大規模輸出産地生産基盤強化プロジェクトは令和5年度補正で10億円大規模輸出産地モデル形成等支援事業は令和6年度当初で4億円が措置例として示されています。
詳細はどこで 農林水産省「国とJAグループと連携した取組」、同省「農林水産物・食品の輸出拡大に向けた国とJAグループとの連携について(PDF)」、フラッグシップ輸出産地の案内をご覧ください。

輸出先の規制・ニーズに対応したモデル輸出産地

海外市場をさらに獲得するには、輸出先国の規制ニーズに対応できる産地を増やす必要があります。国はJAグループ等と連携し、次の支援を活用しながら、地域ぐるみで生産・流通を転換するモデル輸出産地の形成を推進します。

  • 推進体制の組織化:輸出産地・事業者、都道府県、JA系統、輸出商社など地域の関係者が参画する輸出推進体制を、産地から現地販売まで一気通貫したサプライチェーンの確立に向けて組織化します。
  • 大規模輸出産地のモデル構築:上記体制の下で、海外の規制・ニーズに合わせて生産・流通を転換し、農林水産物・食品を安定的に供給する大規模輸出産地を育成し、国内生産基盤の維持・強化につなげるモデル的な取組を支援します。

予算措置の例として、GFP大規模輸出産地生産基盤強化プロジェクト10億円(令和5年度補正)、大規模輸出産地モデル形成等支援事業4億円(令和6年度当初)が示されています。

生産面では、遊休農地等の活用による輸出向け生産の拡大、産地リレーや地域内生産者との連携によるロット確保、有機農産物など付加価値の高い品目の生産・輸出拡大が挙げられます。流通面では、コールドチェーンを確保した産地直送型の集荷体制や、混載を前提とした集荷から船積みまでの流通体系の構築などが想定されています。

規制対応の具体例として、りんごでは輸出先ごとに植物検疫や残留農薬基準が大きく異なります。香港では残留農薬基準が比較的緩やかで輸出実績も大きい一方、タイでは園地・選果場の登録と厳しい残留基準、米国では登録に加えくん蒸や日米合同輸出検査など、産地側の対応負荷が段階的に高まります。こうした差を踏まえ、輸出支援プラットフォームでは経済連・全農県本部、都道府県(普及指導員)、コンサル・地域商社、JA(営農指導員)、市町村が、コーディネート・技術指導・販路開拓を担う体制で連携します。

モデル輸出産地の形成。GFP予算10億円・4億円、推進体制の組織化と大規模輸出産地のモデル構築、りんごの輸出先別規制例、生産・流通転換の取組、輸出支援プラットフォームの関係者図。
モデル輸出産地の形成と輸出支援プラットフォーム(出典:農林水産省・農林水産物・食品の輸出拡大に向けた国とJAグループとの連携について

フラッグシップ輸出産地の選定と段階的支援

国は、海外の規制・ニーズに対応した農林水産物を、求められる量で継続的に輸出するフラッグシップ輸出産地(仮称)を選定・公表し、輸出産地のさらなる拡大・発展を後押しします。

対象となる産地と選定要件

対象は、一次産業を主体としてまとまりをもって輸出に取り組む次の類型です。

  • 農協・漁協
  • 集落営農
  • 複数の生産者と連携する農業法人等

選定要件の例として、輸出先国・地域のニーズや動植物検疫等の規制に対応した農林水産物を、求められる量で継続的に輸出していることなどが挙げられます。農産物・畜産物・水産物・林産物別に要件を検討する旨も示されています。

横展開と切れ目ない支援

フラッグシップ輸出産地を手本として輸出産地の横展開を図るとともに、生産者の輸出への意識向上を図ります。選定産地に対しては、海外バイヤーの招へい、みどり施策等の他施策の活用、GFPによる輸出人材育成や人材マッチングの強化など、切れ目ない支援を行い、芽出し段階から更なる拡大・発展まで段階的に後押しします。大規模輸出産地のモデル形成支援や地域ぐるみの生産・流通転換、GFPセミナー等も支援メニューに含まれます。

フラッグシップ輸出産地の選定・公表、対象産地と選定要件、横展開と海外バイヤー招へい・みどり施策・GFP人材支援、輸出産地の芽出しから拡大・発展までの支援の流れ。
フラッグシップ輸出産地の選定と段階的支援(出典:農林水産省・農林水産物・食品の輸出拡大に向けた国とJAグループとの連携について

輸出人材の育成・確保

農林水産事業者等が、輸出先国の規制・ニーズ等の知識や情報を収集し、新たな商流を開拓することは容易ではありません。輸出の拡大に向け、輸出人材の育成・確保の取組を推進します。

実践的な講座の開設

令和6年2月、AFJ日本農業経営大学校と連携し、輸出に意欲的な農業者やJAグループ職員等を対象に、輸出人材育成に関する実践的な講座を開設しました。経験豊富な講師陣がアドバイスする参加型ワークショップ中心で、分野を問わず広く活用でき、全国どこからでも参加できるオンライン講座です。

専門人材とのマッチング

輸出人材を求める農業者と、貿易実務等に豊富な知見を有する専門人材とのマッチングが円滑に行われるよう、今年度からGFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)とプロフェッショナル人材戦略拠点が連携した人材マッチングの取組をモデル的に実施します。静岡県・鹿児島県では実証的に進められ、2事業者でマッチングが成立した例も示されています。今年度の成果を検証し、来年度以降の取組を充実させる方針です。

輸出人材の育成と確保。AFJ日本農業経営大学校のオンライン講座、GFPとプロフェッショナル人材戦略拠点の人材マッチング、静岡・鹿児島の実証事例。
輸出人材の育成・確保の取組(出典:農林水産省・農林水産物・食品の輸出拡大に向けた国とJAグループとの連携について

輸出促進に関する国とJAグループの連携体制

大規模輸出産地の形成では、国内流通の大宗を占めるJAグループの取組が必要不可欠です。JAグループが総力を挙げ、輸出産地の課題を踏まえた効果的な指導ができるよう、農林水産省とJAグループが協議する場を設け、連携して輸出産地を育成します。

輸出関係連絡協議会

輸出関係連絡協議会の構成員は、(一社)全国農業協同組合中央会代表理事会長、全国農業協同組合連合会経営管理委員会会長、農林中央金庫代表理事理事長、農林水産大臣、農林水産省輸出・国際局長などです。年1回程度、定期的に意見交換を行います。

輸出関係連絡協議会WG

現行のJAグループと農林水産省の輸出関係連絡協議会を改組した輸出関係連絡協議会WGでは、全農・全共連・農林中金の部長級、農林水産省輸出促進審議官・各課長、JETRO農林水産食品部長などが構成員となり、次の課題の具体化に向けた協議を定期的に実施します。

  1. モデル輸出産地の形成:輸出に意欲のある農協を対象に、重点的なサポートを実施します。
  2. 効率的な輸出物流体制の構築:国内コールドチェーンの構築等を通じ、ロス率の小さい効率的な輸出物流を確立します。
  3. 輸出人材の育成:農業者、JA職員等を対象とした研修等を充実し、輸出を担う人材を育成します。
輸出関係連絡協議会とWGの構成員、年1回の意見交換、モデル輸出産地・輸出物流・輸出人材育成の3つの検討課題。
輸出関係連絡協議会とWGの体制・検討課題(出典:農林水産省・農林水産物・食品の輸出拡大に向けた国とJAグループとの連携について

キーワード解説

GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)

輸出産地の形成支援や輸出人材育成・マッチングなど、輸出拡大に向けた国のプロジェクトです。大規模輸出産地の生産基盤強化やモデル形成支援事業と連動して活用されます。

モデル輸出産地

輸出先の規制・ニーズに対応し、地域ぐるみで生産・流通を転換する輸出産地です。関係者による推進体制の組織化と、大規模輸出産地のモデル構築が柱となります。

フラッグシップ輸出産地

継続的・安定的な輸出実績と規制対応力を備えた産地を選定・公表し、他産地への横展開と段階的な支援の手本とする制度です(仮称)。詳細な募集要件・認定手続は農林水産省の専用ページで公表されます。

輸出人材

輸出先の規制・ニーズを踏まえ商流を開拓できる人材です。農業者・JA職員向けの講座と、貿易実務に詳しい専門人材とのマッチングの両面で確保を進めます。

輸出関係連絡協議会

農林水産省とJAグループが輸出産地育成について協議する場です。下部のWGで産地形成・物流・人材の具体策を詰めます。