農福連携とは、農業と福祉が手を組み、障害のある方が農業の現場で活躍することで、農業経営の発展と、本人の自信・生きがい・社会参画を同時に実現する取組です。「言葉は聞くけれど、何から始めればいいのか」「どんな支援が使えるのか」と迷う方に向けて、農福連携とは何か、始め方、使える支援、広がりの現状までをわかりやすく解説します。
概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 農福連携とは | 農業と福祉が連携し、障害のある方の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展と、本人の自信・生きがい・社会参画を両立する取組です。 |
| 誰に向くか | 障害者就労・福祉サービスを提供する事業所、人手や新事業を求める農業法人・農家、地域で推進する自治体、学校・企業などです。 |
| 始め方の入口 | 地域協議会・伴走型コーディネーター・ユニバーサル農園・ノウフク商品のブランド化のうち、自地域に合う入口から着手します。 |
| 使える支援 | 法務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省の4省庁連携でメニューが用意されています。具体の補助額・要件は窓口でご確認ください。 |
| 広がりの目標 | 2030年度末までに取組主体12,000件以上(2024年度末は8,277件)。 |
| 相談・詳細はどこで | 農林水産省「農福連携の推進」、農福連携等応援コンソーシアムをご覧ください。 |
農福連携とは
農福連携とは、農業と福祉が連携し、障害のある方の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、本人の自信や生きがいを生み出し、社会参画を実現する取組です。「ノウフク」とも呼ばれます。
単に「農作業の手伝いを受け入れる」だけでなく、農業経営と福祉の就労支援の双方にメリットが生まれる関係づくりが前提です。農業側は人手の確保や新たな品目・加工への展開につながり、福祉側は工賃の向上や、土に触れる作業を通じた利用者の心身の安定・成長につながります。屋外で体を動かす作業は、達成感や役割を実感しやすく、生きがいや社会参画の入口になります。
対象は農業にとどまりません。林業と福祉の林福連携、水産業と福祉の水福連携へと広がる動きも進んでいます。地域で安心して暮らし、働ける場をつくる「地域共生社会」づくりの一翼を担う取組として位置づけられています。
農福連携の始め方
農福連携に決まった「一つの正解」はありません。誰が音頭を取るか、何を入口にするかで進め方が変わります。代表的な入口は次の4つです。自分の立場や地域の事情に近いものから検討すると、最初の一歩を踏み出しやすくなります。
地域協議会から始める
自治体が推進役になる場合は、農業側・福祉側の関係者が集まる地域協議会づくりが土台になります。農政担当課と福祉担当課、福祉事業所、農業法人・農家、農業委員会、JA、特別支援学校などが顔を合わせ、「誰が何を担うか」「どの農地・作業からマッチングするか」を話し合う場です。点と点だった取組を地域全体でつなぎ、継続的に回す仕組みになります。中山間地域など条件不利地域の農村振興とあわせて検討すると、地域の担い手づくりとしての効果も高まります。
伴走型コーディネーターを活用する
福祉事業所が主導する場合は、農業と福祉の橋渡しをする伴走型コーディネーターの活用が近道です。どの農家とどう組むか、どの作業が利用者に向くか、工賃をどう設計するかといった実務を、専門の支援役が継続的に後押しします。マッチングから定着までを一人で抱え込まず、相談しながら進められる点が利点です。
ユニバーサル農園として整える
農業法人・農家が入口になる場合は、就労の受け入れと施設整備から始めます。世代や障害の有無を超えて多様な人が参加できる農園をユニバーサル農園といい、作業の切り分けや動線・休憩スペースの工夫で、誰もが働きやすい現場に整えます。スマート農業技術を組み合わせれば、力仕事や負担の大きい作業を減らし、参加できる人の幅を広げられます。
ノウフク商品としてブランド化する
収益と参加の両立をめざすなら、現場で生産・加工したノウフク商品のブランド化が有効です。「農福連携でつくられた」という価値を打ち出し、直売所・スーパー・企業の購買につなげることで、農業経営の収益と利用者の工賃の両方を底上げできます。販路づくりを起点に、産地全体で取り組む形にも発展します。
農福連携の3つの広げ方と具体策
農福連携等推進ビジョンは、取組を「地域で広げる」「未来に広げる」「絆を広げる」の3つの方向で広げていく道筋を示しています。自分の取組がどの方向を強められるかを意識すると、次の打ち手が描きやすくなります。
地域で広げる
- 地域協議会・伴走型コーディネーターによる推進体制づくり
- 生産施設の整備、スマート農業技術の活用
- 多様な連携、ノウフク商品のブランド化
- 農業と福祉をつなぐ専門人材の育成
- 特別支援学校の実技・実習への農業者による協力
- ノウフクの日(11月29日)などの国民的運動
未来に広げる
- 農業の担い手や農業高校生への普及
- 企業・消費者を巻き込んだ啓発
絆を広げる
- 社会的な支援が必要な方々の農業就労
- 世代・障害の有無を超えた交流の場としてのユニバーサル農園
- 林福連携・水福連携の推進
農福連携に使える支援
農福連携は、1つの省庁だけでなく、法務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省の4省庁が連携して支援しています。それぞれが福祉・教育・農業などの強みを持ち寄り、就労支援、施設整備、人材育成、特別支援学校との連携、啓発といったメニューが用意されています。
これらは農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)(令和6年6月5日農福連携等推進会議決定)に基づき、「農福連携等を通じた地域共生社会の実現」を共通の目標として進められています。
具体的な補助額・補助率・対象要件は、年度や事業ごとに異なります。自地域で使える支援を確かめるには、都道府県・市町村の農政担当課や福祉担当課、農福連携の地域協議会に相談するのが確実です。制度の全体像は、農林水産省・厚生労働省の農福連携ポータルや農福連携等応援コンソーシアムでご覧いただけます。多様な担い手による農村振興の取組ともあわせて、自分の地域に合うメニューを探してみてください。
農福連携の広がりの現状と目標
農福連携の取組主体は、年々着実に増えています。2030年度末までに12,000件以上とする目標に向けて、ここ数年で大きく伸びてきました。
| 年度 | 取組主体数(件) |
|---|---|
| 2019年度 | 4,117 |
| 2021年度 | 5,509 |
| 2023年度 | 7,179 |
| 2024年度 | 8,277 |
| 2030年度(目標) | 12,000以上 |
旧ビジョン(令和元年6月決定)が掲げた「2024年度末までに新規3,000件創出」は前倒しで達成済みです。2024改訂版では、目標を2030年度末12,000件以上へ引き上げ、4省庁連携でさらに広げていく方針を示しています。これから始める取組も、この大きな流れの中で支援を受けながら進められます。
よくある質問
農福連携とは何ですか
農業と福祉が連携し、障害のある方が農業の現場で活躍することで、農業経営の発展と、本人の自信・生きがい・社会参画を同時に実現する取組です。「ノウフク」とも呼ばれ、農業側は人手の確保や事業の広がり、福祉側は工賃の向上や利用者の心身の安定につながります。
農福連携を始めるには何から手をつけますか
立場によって入口が変わります。自治体・関係者なら地域協議会づくり、福祉事業所なら伴走型コーディネーターの活用、農業法人・農家なら就労の受け入れとユニバーサル農園づくり、販路から入るならノウフク商品のブランド化が入口になります。まずは都道府県・市町村の窓口や地域協議会に相談するのが第一歩です。
農福連携に補助金はありますか
法務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省の4省庁が連携し、就労支援・施設整備・人材育成などのメニューを用意しています。補助額や対象要件は年度・事業によって異なるため、自地域で使える支援は都道府県・市町村の担当課や農福連携の窓口でご確認ください。
ノウフク商品とは何ですか
農福連携の現場で生産・加工された農産物や加工品です。「農福連携でつくられた」という価値を打ち出してブランド化し、直売所・スーパー・企業の購買などへ販路を広げることで、農業経営の収益と利用者の工賃の両方を高めることをめざします。
どんな人・組織が農福連携に取り組めますか
障害者就労・福祉サービスを提供する事業所、人手や新事業を求める農業法人・農家、地域で推進する自治体が中心です。特別支援学校や企業も、実習への協力や商品の購買などの形で関わることができます。
次の一歩
農福連携を始めたい・広げたいと考えたら、まずは都道府県・市町村の農政担当課や福祉担当課、地域の農福連携の窓口・地域協議会に相談してみてください。自地域に農福連携のコーディネーターや協議会があるかを尋ね、使える支援や、組める農家・福祉事業所を一緒に探すところから始めると、最初の一歩を踏み出しやすくなります。制度や事例の全体像は、農林水産省・厚生労働省の農福連携ポータルや農福連携等応援コンソーシアムをご覧ください。
キーワード解説
農福連携(ノウフク)
農業と福祉の連携により、障害のある方の就労・社会参画と、農業経営の発展を両立する取組です。
伴走型コーディネーター
地域で農福連携を推進する専門の支援役です。農家と福祉事業所のマッチングから定着までを継続的に後押しします。
ユニバーサル農園
世代や障害の有無を超えて、多様な人が交流・参画できる農園です。誰もが働きやすいよう作業や動線を工夫します。
ノウフク商品
農福連携の現場で生産・加工された商品です。ブランド化により販路を広げ、収益と工賃の向上をめざします。