農業の担い手不足と福祉の就労支援は、現場では同じ「人と場」の課題として交わります。農福連携は、その接点を制度として広げる政策です。2024年改訂ビジョンの目標数値、3つの広げ方、主体数の伸びを、福祉×農業の事業を始めたい・拡げたい方向けに整理します。

概要

項目 内容
誰に 障害者就労・福祉サービスを提供する事業所農業法人・農家、地域推進の自治体、学校・企業などです。
何を 農福連携の定義、2024改訂ビジョン、12,000件目標、3つの広げ方、主体数の推移です。
目標 2030年度末までに取組主体12,000件以上(2024年度末8,277件)。
詳細はどこで 農林水産省「農福連携の推進」、農福連携等応援コンソーシアムをご覧ください。
農福連携等推進ビジョン2024改訂版。地域で広げる・未来に広げる・絆を広げる、主体数8277件から12000件目標、2019年度4117件からの推移グラフ。
農福連携等推進ビジョンの概要(出典:農林水産省「令和6年度 食料・農業・農村白書」

農福連携とは

農福連携は、農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組です。

単に「農作業の手伝いを受け入れる」だけでなく、農業経営福祉の就労支援が相互に機能する関係づくりが前提です。林福・水福連携へ広がる動きも含め、農業分野にとどまりません。

2024改訂ビジョンと4省庁連携

農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)(令和6年6月5日農福連携等推進会議決定)に基づき、法務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省が連携し、「農福連携等を通じた地域共生社会の実現」を目指します。

2030年度までに、4省庁連携で農福連携等の取組主体数12,000件以上が目標です。

主体数の推移

年度 主体数(件)
2019年度4,117
2021年度5,509
2023年度7,179
2024年度8,277
2030年度(目標)12,000以上

旧ビジョン(令和元年6月決定)の「2024年度末までに新規3,000件創出」は前倒しで達成済みです。改訂版では2030年度末12,000件へ目標が引き上げられました。

3つの広げ方

地域で広げる

  • 地域協議会・伴走型コーディネーターによる推進体制づくり
  • 生産施設整備、スマート農業技術の活用
  • 多様な連携、ノウフク商品のブランド化
  • 農業と福祉をつなぐ専門人材の育成
  • 特別支援学校の実技・実習への農業者による協力
  • ノウフクの日(11月29日)等の国民的運動

未来に広げる

  • 農業担い手・農業高校生への普及
  • 企業・消費者を巻き込んだ啓発

絆を広げる

  • 社会的支援が必要な人々の農業就労
  • 世代・障害の有無を超えた交流の場としてのユニバーサル農園
  • 林福・水福連携の推進

自治体が推進主体になる場合は地域協議会、農家・法人が入口になる場合は就労受け入れと施設整備、福祉事業所主導なら伴走型コーディネーターの活用——開始パターンごとに、上記3方向のどこから着手するかを決めると計画が立てやすくなります。

取組を始める・広げるとき

  1. 農業側・福祉側の担当課と事業所を特定し、地域協議会の有無を確認する
  2. 就労内容(軽作業・畜産・加工等)と福祉サービス類型の適合を整理する
  3. ノウフク商品化やユニバーサル農園化など、収益と参加の両方を見据えた中長期像を描く
  4. 農林水産省・厚生労働省の農福連携ポータルと応援コンソーシアムで支援情報を確認する

キーワード解説

農福連携

農業と福祉の連携による就労・社会参画と農業経営発展の両立です。

伴走型コーディネーター

地域で農福連携を推進する専門的支援役。体制づくりを後押しします。

ユニバーサル農園

世代・障害の有無を超えて多様な人が交流・参画できる農園です。

ノウフク商品

農福連携の現場で生産・加工された商品。ブランド化により販路拡大を図ります。