概要

農村・農山漁村で再生可能エネルギーを導入したいとき、入口になる国の支援が、みどりの食料システム戦略推進交付金の「地域循環型エネルギーシステム構築」です。営農と両立する太陽光、施設向けの次世代太陽電池、稲わら・もみ殻・竹・廃菌床などの地産地消を、地域の関係者が集まる協議会等が地域循環型エネルギーシステムとして、モデル策定から現場実証まで一体で進めるための交付金です。

項目 内容
誰が 国→都道府県→協議会等の流れで、地方公共団体民間団体等が連携して実施します。①②は協議会等がモデル策定・導入実証を行い、③は資源作物の栽培や既存ボイラー・木質バイオマス施設での実証が中心です。
何を ①営農型太陽光発電の地域モデル策定と導入実証、②ペロブスカイト等と蓄電池の導入実証、③資源作物の栽培・燃焼実証未利用資源の混焼実証です。ソルガム・ヤナギ等の栽培と、稲わら・もみ殻・竹・廃菌床などの利活用が対象です。
補助額・補助率 ①②③とも定額交付で、国費の1/2以内が目安です。令和8年度当初予算の内数は574百万円(前年度612百万円)、令和7年度補正の内数は4,000百万円(前年度3,828百万円)です(総合対策全体の枠の内数)。
次の一歩 産地では、太陽光・ペロブスカイト・バイオマス化のどれを軸にするかを切り分け、未利用資源と資源作物の棚卸しを行います。みどり認定特定区域農林漁業循環経済先導計画との接続を整理したうえで、都道府県の協議会・交付要綱・公募案内をご覧ください。
地域循環型エネルギーシステム構築の対策のポイント、3つの事業内容、事業目標、事業の流れ、事業イメージ、優先採択、予算内数。
農林水産省「令和8年度みどりの食料システム戦略推進総合対策(当初予算)」資料(PDF):地域循環型エネルギーシステム構築

地域循環型エネルギーシステム構築とは

地域循環型エネルギーシステム構築は、みどりの食料システム戦略推進交付金(総合対策)のうち、農山漁村のエネルギーを地域内で循環させる取組を支援する枠です。地域の関係者が集まった協議会等が、地域の再生可能エネルギー資源を活用して地域循環型エネルギーシステムを構築します。再生可能エネルギー利用のモデル的取組と、資源作物(ソルガム、ヤナギ等)や未利用資源(稲わら、もみ殻、竹、廃菌床等)のエネルギー利用に向けた実証を支援します。

事業目標は次の2点です。

  • 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、農林漁業の健全な発展に資する形で、我が国の再生可能エネルギー導入拡大に歩調を合わせた、農山漁村における再生可能エネルギーの導入令和12年
  • エネルギー利用におけるバイオマス利用率80%令和12年

太陽光・次世代電池・バイオマスを単体で入れるのではなく、地域の電力・熱・燃料の供給を一体的に設計し、化石燃料への依存を減らす流れです。

自分の地域は対象かを確認する

申請を検討する前に、次の3点を確認します。いずれも本事業の組み立ての前提です。

  • 主体——取組の中心になるのは、地域の関係者が集まる協議会等です。都道府県・市町村などの地方公共団体や民間団体が連携して実施します。個々の農業者・農業法人は、単独ではなく協議会等の構成員として参加する形です。
  • 取組内容——営農型太陽光発電のモデル策定・導入実証、ペロブスカイトと蓄電池の導入実証、資源作物・未利用資源のエネルギー化実証のいずれかに当てはまることが必要です。
  • 地域の計画との接続——みどりの食料システム法の特定区域、構成員のみどり認定農林漁業循環経済先導計画に該当すれば、優先採択の材料になります。

3つの事業内容

1.営農型太陽光発電のモデル的取組支援

地域ぐるみの話合いにより、適切な営農と発電を両立する営農型太陽光発電のモデルを策定し、導入実証を行う取組を支援します。

具体的には、地域で最適な作物設備設計電力供給等について検討し、モデルを策定します。策定したモデルに基づき、地域に最適な営農型太陽光発電設備を導入します。農地を止めずに発電収入と生産を両立させる設計が、本事業の柱です。営農型太陽光発電そのものの仕組みや農地の一時転用許可、収入の考え方は営農型太陽光発電の始め方で詳しく解説しています。

2.次世代型太陽電池(ペロブスカイト)のモデル的取組支援

既存のシリコン系太陽光パネルの導入が難しい農林漁業関連施設等に、次世代型太陽電池(ペロブスカイト)蓄電池を導入し、導入実証を支援します。

導入手法、導入効果、経済性・安全性・耐久性等の課題を検証し、検証結果をとりまとめることが含まれます。屋根形状や設置面積の制約がある施設・畜舎・倉庫等で、従来パネルに代わる選択肢を地域で試す枠です。

3.未利用資源等のエネルギー利用促進への実証支援

国産バイオマスの活用と、地域に残る未利用資源のエネルギー化を、栽培実証既存施設での燃焼・混焼実証の2段階で進めます。バイオマスを地域内で集めて使い切る考え方はバイオマスの地産地消の解説もあわせてご覧ください。

① バイオ燃料等製造に係る資源作物の栽培実証

国産バイオマスの一層の活用に向け、荒廃農地等を活用した資源作物由来のバイオ燃料等製造に係る検討、栽培実証既存ボイラーにおける燃焼実証を支援します。

  • 栽培体系の分析
  • 検討会の開催
  • ソルガム・ヤナギ等の栽培実証と、木質チップ等へのエネルギー化

資源作物を地域で育て、燃料化までつなぐ「地産地消」の上流から下流までを一連で試すイメージです。

② 未利用資源の混合利用促進

木質バイオマス施設等における未利用資源の混合利用を促進するため、次を支援します。

  • 既存ボイラー形式等の仕様・運用実態の調査
  • 炉への影響や混合利用による効果の検証

稲わら・もみ殻・竹・廃菌床など、単独では処理しきれない未利用資源を、既存の木質バイオマス発電所・ボイラーに混ぜて使えるかを地域で実証します。稲わら・もみ殻の混焼など、地域で課題となっている資源の利活用が③の②の対象です。

手続き・事業の流れ

資金は国→都道府県→協議会等定額で配分され、①②③の事業はいずれも国費の1/2以内が交付の目安です。協議会等が地方公共団体・民間団体と連携し、モデル策定から現場実証までを担います。

読者の動きとしては、まず都道府県の交付要綱・公募案内で募集時期と要件を確認し、地域の協議会等に参加するか、地方公共団体・民間団体と協議会を組成して申請する流れです。

3つの事業は、おおむね次の流れでつながります。

  • 営農型太陽光——地域最適の作物・設備・電力供給を検討し、モデルに基づいて設備を導入
  • ペロブスカイト——農林漁業関連施設等へ次世代電池と蓄電池を導入し、効果・課題を検証
  • 資源作物・未利用資源——荒廃農地等での栽培実証、既存ボイラーでの燃焼実証、木質バイオマス施設での混焼実証

発電(電力)と熱・燃料(バイオマス)を並行して進め、木質バイオマス発電所等への投入と、農地・施設での再生可能エネルギー導入をつなげる設計です。

優先採択

次の場合は、優先採択の対象です。

  • みどりの食料システム法に基づく特定区域で取組を行う場合
  • 事業実施主体の構成員(農業者、民間団体等)がみどり認定等を受けている場合
  • 農林漁業循環経済先導計画に基づく取組を行う場合 等

エネルギー単体の申請ではなく、食料システム・循環経済の地域計画と接続した設計が、採択の材料になります。

予算の規模

  • 令和8年度当初予算の内数:574百万円(前年度612百万円)
  • 令和7年度補正予算の内数:4,000百万円(前年度3,828百万円)

上記はみどりの食料システム戦略推進交付金(総合対策)全体の枠のうち、本事業に配分される内数です。

よくある質問

対象になるのはどんな主体ですか

地域の関係者が集まる協議会等が中心で、地方公共団体・民間団体等が連携して実施します。資金は国→都道府県→協議会等の流れで配分されます。個々の農家・農業法人は、協議会等の構成員として参加する形です。

補助率はどれくらいですか

①営農型太陽光、②ペロブスカイト、③資源作物・未利用資源のいずれも定額交付で、国費の1/2以内が目安です。予算はみどりの食料システム戦略推進総合対策全体の枠の内数で、令和8年度当初予算では574百万円です。

営農型太陽光発電ではどんな支援を受けられますか

地域ぐるみの話合いで、最適な作物・設備設計・電力供給を検討してモデルを策定し、そのモデルに基づく発電設備の導入実証までを支援します。農地を止めずに、営農と発電収入を両立させる設計が柱です。

農業用水を使った小水力発電は対象ですか

本事業の支援内容は、営農型太陽光発電、ペロブスカイト太陽電池、資源作物・未利用資源のエネルギー化の3本柱で、農業用水路を活用した小水力発電は事業内容に含まれません。農山漁村の地域資源を活用する施設整備には別の支援策があり、たとえば地域資源活用価値創出整備事業が該当します。

優先的に採択されるのはどんな場合ですか

みどりの食料システム法に基づく特定区域での取組、構成員がみどり認定等を受けている場合、農林漁業循環経済先導計画に基づく取組などです。地域の計画と接続した設計にすることが、採択の近道になります。

どこに申し込みますか

申請の入口は都道府県です。都道府県の交付要綱・公募案内で募集時期と要件を確認し、地域の協議会等を通じて申請します。協議会がまだ無い地域では、地方公共団体・民間団体との連携体制づくりから始めます。

次の一歩

まず、地域にある未利用資源(稲わら・もみ殻・竹・廃菌床など)と荒廃農地を棚卸しし、太陽光・ペロブスカイト・バイオマス化のどれを軸にするかを決めます。そのうえで、都道府県の農政担当窓口に協議会の有無と公募時期を相談し、交付要綱・公募案内をご覧ください。再生可能エネルギーの導入と並行して、環境負荷低減の取組を収入につなげたい場合は農業でカーボンクレジットを売る方法も確認すると、地域の脱炭素設計に厚みが出ます。

キーワード解説

みどりの食料システム戦略推進交付金

食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を目指す「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、環境負荷低減などの取組を支援する交付金の総称です。本事業はそのうち、農山漁村の地域循環型エネルギー構築に関する枠です。

地域循環型エネルギーシステム

地域内で生産・消費されるエネルギーを循環させ、太陽光・蓄電・バイオマス・未利用資源を組み合わせる仕組みです。協議会等が主体となり、モデル策定から実証まで進めます。

営農型太陽光発電

農地を活用し、営農と発電を両立させる太陽光発電です。地域の話合いで作物・設備・電力供給を決め、モデルに基づいて導入実証します。農業ソーラーと同系の取組で、本事業では「モデル策定+導入実証」が支援の柱です。

ペロブスカイト太陽電池(次世代型太陽電池)

シリコン系パネルの導入が難しい農林漁業関連施設等向けの次世代太陽電池です。蓄電池とセットで導入し、経済性・安全性・耐久性等を含めて検証します。

資源作物

バイオ燃料等の原料となる作物です。荒廃農地等での栽培実証、栽培体系の分析、既存ボイラーでの燃焼実証が支援対象です。

未利用資源

稲わら、もみ殻、竹、廃菌床など、まだエネルギーに十分活かされていない農林水産由来の資源です。木質バイオマス施設等での混焼実証により、地域の再生可能エネルギー供給に組み込みます。

みどり認定

環境負荷低減に取り組む農業者等の認定制度です。事業実施主体の構成員がみどり認定等を受けている場合、優先採択の材料になります。

農林漁業循環経済先導計画

市町村等が策定する循環経済の先導計画です。エネルギー・資源循環を一体的に設計した取組は、優先採択の材料になります。