SAVOR JAPANは、地域の郷土料理とそれを支える農林水産業・伝統文化を核に、海外の旅行者を農山漁村へ呼び込む取組を、農林水産大臣が認定する制度です。正式名称は農泊 食文化海外発信地域といいます。「本場の日本食を産地で味わいたい」という訪日需要を、都市のレストランではなく地域の食卓へ向ける狙いがあります。認定された地域は「SAVOR JAPAN」ブランドとして一体的に海外発信され、専門家派遣や旅行商品づくり、海外プロモーションなどの後押しを受けられます。この記事では、SAVOR JAPANとは何か、認定された地域に何が期待され、どんなメリットがあるのか、農泊やインバウンドとどうつながるのかを、産地や自治体の目線で整理します。

概要

項目 内容
どんな制度か 食と食文化の魅力で訪日外国人を呼び込む優れた農山漁村を、農林水産大臣が「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」として認定する制度です。
誰に向くか 食文化や農泊でインバウンドを呼び込みたい産地・自治体・DMO・地域の実行組織、農林漁業者の方に向きます。
認定で得られること 「SAVOR JAPAN」ブランドでの一体的な海外発信に加え、専門家派遣、体験コンテンツ・旅行商品づくり、海外プロモーションへの出展などの支援を受けられます。
認定の期間 制度創設は平成28年度です。認定は原則5年間で、期間中に中間評価も行われます。全国の認定数は46地域です。
申し込む人 飲食店・農林漁業者・観光協会などで構成し、法人格を持つ実行組織が応募します。地方自治体の参画が望まれます。
詳しく知るには 農林水産省「SAVOR JAPAN」、旅行者向けサイト「savorjp.info」をご覧ください。

SAVOR JAPANとは

SAVOR JAPANの正式名称は農泊 食文化海外発信地域です。SAVORは英語で「味わう、楽しむ」を意味します。農林水産省は、農泊を推進する地域のうち、特に食と食文化の魅力で訪日外国人の誘客に取り組む優れた地域を、農林水産大臣が認定します。

認定地域は、地域ならではの郷土料理や食材、それを生み出す農林水産業、景観・歴史・伝統文化などを一体として海外へ発信します。都会のレストランでは得られない「産地で食を味わう」体験を訴求し、インバウンド需要を農山漁村へ誘導することが目的です。

2013年の和食ユネスコ無形文化遺産登録や2015年のミラノ国際博覧会などを契機に、海外の日本食への関心は高まりました。こうした背景のもと、平成28年度に制度が創設され、以降、全国の農山漁村で食文化を軸にした観光づくりが広がっています。令和7年度(2025年度)には山梨県笛吹市、兵庫県宝塚市、奈良県明日香村の3地域が新たに認定され、全国の認定数は46地域になりました。

認定地域に何が期待されるか

SAVOR JAPANは「観光地の称号」ではありません。認定地域には、食と食文化を入口に海外の旅行者を呼び込み、地域に滞在してもらう取組が期待されます。具体的には次のような姿です。

  • 地域の郷土料理や食材を、それを支える農林水産業や伝統文化と結び付けて発信すること。
  • 料理を出すだけでなく、収穫・調理・食事・農山漁村での暮らしまで、訪日外国人が体験できる旅にすること。
  • 飲食店・農林漁業者・観光協会・自治体などが実行組織として連携し、地域ぐるみで受け入れを進めること。
  • 「SAVOR JAPAN」ブランドの一員として、他の認定地域と歩調を合わせて一体的に海外発信すること。

認定地域および認定を目指す地域は、SAVOR JAPAN推進協議会のネットワークに加わり、研修会や交流会を通じて地域の磨き上げを進めます。

認定のメリットと受けられる取組

認定の最大の価値は、国が束ねる「SAVOR JAPAN」ブランドの一員として、一地域だけでは届きにくい海外へ一体的に発信できることです。あわせて、地域の魅力づくりを後押しする支援も用意されています。

農林水産省を中心に、国の複数機関が連携して支援と海外発信を行います。支援は大きく次の3方向に分かれます。

  • 農林水産省による情報発信。公式サイト、ガイドブック、紹介動画、Google Arts&Cultureなどを通じ、認定地域の魅力を国内外へ発信します。
  • 関係省庁の海外発信事業との連携。内閣官房、総務省、文化庁、経済産業省、観光庁・JNTOなどが担う、海外での和食普及イベント、政府系サイトでの情報発信、海外での映像・番組放映などと連携します。
  • SAVOR JAPAN推進協議会との連携。認定地域および認定を目指す地域のネットワークづくり、研修・交流会、ブランドの一体的な情報発信を担います。
SAVOR JAPANの支援の仕組み。認定地域を中心に、農林水産省の情報発信、SAVOR JAPAN推進協議会、内閣官房・総務省・文化庁・経産省・観光庁・JNTOの省庁連携が示されている。
SAVOR JAPANの支援・省庁連携の全体像(出典:農林水産省「SAVOR JAPAN」

認定地域が活用できる主な支援は次のとおりです。

支援の種類 内容
専門家・アドバイザー 地域開発のための有識者・アドバイザーの派遣・紹介
コンテンツづくり 食・農業を中心としたストーリー・体験コンテンツの造成
旅行商品 インバウンド来訪に資する旅行商品づくりの支援
海外プロモーション 海外旅行博覧会・商談会等への出展支援
情報発信 ホームページ、各種SNSとの連携による情報発信
地域間連携 認定地域間のネットワーク構築、推進協議会による研修・交流

このほか農林水産省は、上質な食体験コンテンツ造成のための調査や専門家派遣を通じ、食資源の調査やモデル地域への専門家派遣も行います。認定期間中には中間評価も実施され、取組の改善につなげます。

海外への発信には、次のようなツールも整備されています。

  • 公式ポータル。農林水産省「SAVOR JAPAN」に認定地域一覧、制度説明、応募案内があります。
  • 旅行者向けサイト。「savorjp.info」で各地域の食体験・農山漁村の暮らしを多言語で紹介します(名称は同じですが、株式会社USENが運営するグルメサイトとは別物です)。
  • ガイドブック。日本語・英語・フランス語・中国語(繁体字)などの版が公開されています。
  • ガストロノミーツーリズム紹介動画。和牛、寿司、麺、鍋もの、海の幸などテーマ別に、認定地域の郷土料理を紹介する動画シリーズがあります。
  • Google Arts&Culture。写真・動画で認定団体を紹介するコンテンツが掲載されています。

認定ロゴマークは、山・海・田・畑・川と箸をモチーフに、各地の食文化と日本の自然を体感してほしいという意図が込められています。

農泊・インバウンドとのつながり

SAVOR JAPANは、農泊とインバウンド政策が交わる場所にある制度です。農泊は、農山漁村に滞在して農林漁業体験や地域の食文化、住民との交流を楽しむ滞在型観光を指します。SAVOR JAPANは、その農泊を推進する地域のうち、特に食文化を軸に訪日外国人の誘致へ力を入れる取組を選んで認定します。

つまり農泊が「農山漁村に泊まって過ごす」土台をつくり、SAVOR JAPANが「その魅力を食文化で海外へ売り出す」役割を担う関係です。農泊の体制づくりから始めたい地域は、まず農泊の進め方を押さえると流れがつかみやすくなります。農山漁村への来訪・滞在を地域ぐるみで支える仕組みは農山漁村振興のプラットフォームでも整理しています。

海外では、その土地の食を旅の目的にする「ガストロノミーツーリズム」への関心が高まっています。SAVOR JAPANは、増える訪日需要のうち「本場の日本食・郷土料理を産地で体験したい」というニーズを、農山漁村の観光資源として取り込む制度だといえます。

認定の流れと応募

認定は毎年度、取組計画の募集を経て行われます。応募は実施要綱で定める実行組織が単体で行い、法人格を有することが基本です。飲食店、農林漁業者、観光協会などで構成される実行組織を通じて申し込み、地方自治体の参画が望まれます。

応募された取組計画は、SAVOR JAPAN有識者会議での助言を経て、国土交通大臣への意見照会のうえ、特に優れた取組として認定されます。認定後は認定証が授与され、農林水産省の公式サイトや旅行者向けブランドサイトで広く紹介されます。応募資格・必要書類・様式は、その年度の実施要綱・応募要領に定められます。

よくある質問

SAVOR JAPANとは何ですか

農林水産大臣が認定する「農泊 食文化海外発信地域」のブランド名称です。地域の郷土料理や食材、それを支える農林水産業・伝統文化を一体として海外へ発信し、訪日外国人を農山漁村へ呼び込むことを目的とします。SAVORは「味わう、楽しむ」を意味します。

認定されると何がありますか

「SAVOR JAPAN」ブランドの一員として一体的に海外発信されるほか、専門家・アドバイザーの派遣、食・農業を軸にした体験コンテンツや旅行商品づくりの支援、海外旅行博・商談会への出展支援、SNS連携による情報発信などの後押しを受けられます。

どんな地域が対象ですか

農泊を推進する地域のうち、食と食文化の魅力でインバウンド誘致に特に力を入れる取組が対象です。応募は、飲食店・農林漁業者・観光協会などで構成し、法人格を持つ実行組織が行い、地方自治体の参画が望まれます。

農泊とどう関係しますか

農泊が農山漁村に滞在して過ごす土台をつくり、SAVOR JAPANがその魅力を食文化で海外へ売り出す関係です。SAVOR JAPANは、農泊を推進する地域の中から、食文化でインバウンドを呼び込む優れた取組を選んで認定します。

次の一歩

食文化でインバウンドを呼び込みたい地域は、まず農泊の進め方で受け入れの土台を確認し、地域の郷土料理・食材・伝統文化を一つのストーリーとして整理しましょう。飲食店・農林漁業者・観光協会・自治体に声をかけ、応募の主体となる実行組織づくりに着手しましょう。制度の詳細や認定地域の事例、その年度の募集要件は、農林水産省「SAVOR JAPAN」と旅行者向けサイト「savorjp.info」でご覧ください。

キーワード解説

SAVOR JAPAN

農林水産大臣が認定する「農泊 食文化海外発信地域」のブランド名称です。地域の食・食文化と農山漁村の魅力を海外へ一体的に発信し、インバウンド需要を地域に呼び込むことを目的とします。

農泊

農山漁村に滞在し、農業・漁業・林業体験や地域の食文化、住民との交流を楽しむ滞在型観光です。SAVOR JAPANは、農泊を推進する地域のうち、食文化を軸にインバウンド誘致に特に力を入れる取組を認定します。

インバウンド

外国人旅行者の来日・国内消費を指します。SAVOR JAPANは、増える訪日需要のうち「本場の日本食・郷土料理を体験したい」ニーズを、農山漁村の観光資源として取り込む制度です。

SAVOR JAPAN推進協議会

認定地域および認定を目指す地域が連携する民間団体です。研修会や交流会を通じた地域の磨き上げと、ブランドを活用した海外向け情報発信の強化を担い、訪日外国人に認定地域を訪れてもらうことを目指します。Facebook(英語版)などでも情報発信を行っています。