「いきなり就職するのは不安だけれど、農業の仕事を一度試してみたい」。そんな人のために、就農前にお試しで農業法人等で働けるのがトライアル雇用就農促進事業です。都道府県や民間団体等が求人とのマッチングや期間中のフォローアップを担い、受け入れる農業法人等には人を雇い入れる初期経費への支援があります。この記事では、どんな支援が受けられるのか、誰が対象なのか、申し込みまでの流れを、就農を試したい人と受け入れる産地・法人の両方の目線でわかりやすく整理します。

概要

項目 内容
どんな事業 就農を試したい人が、正規雇用への移行を前提に、農業法人等でおおよそ3か月のトライアル雇用就農を体験できる事業です。合わなければ別の経営体・産地での就農につなぎ、農業界での定着を後押しします。
誰が使える 就農に関心がある求職者と、人材を正規雇用で確保したい農業法人等です。マッチングや支援の窓口は、事業に取り組む都道府県・民間団体等が担います。
どんな支援 都道府県等による求人調査・募集とマッチング、期間中のフォローアップ、農業法人等への初期経費支援(就農希望者1人当たり月2万円以内・最長3か月)です。
相談・申込み先 事業に取り組む都道府県や民間団体等の募集窓口です。最新の募集状況は農林水産省「雇用就農者の確保」からたどれます。
トライアル雇用就農促進事業の事業内容、支援される取組、事業目標、関係者の流れ、予算の内数を示す説明図。
農林水産省「雇用就農者の確保」

トライアル雇用就農促進事業とは

トライアル雇用就農促進事業は、就農を試したい人が農業法人等でおおよそ3か月の有期雇用として働き、その後の正規雇用への移行につなげる仕組みです。「農業に関心はあるけれど、自分に向いているか分からない」という求職者が、まず現場で働きながら見極められます。受け入れる農業法人等にとっても、いきなり正規雇用に踏み切る前に、相性を確かめながら人材を確保できる入口になります。

試したうえで、その経営体での正規雇用を希望しない場合でも、そこで終わりにはしません。別の経営体・産地での就農につなぎ、農業界で働き続けられるよう後押しする設計です。お試しの体験を、農業界全体への定着へとつなげることを狙っています。

支援される取組

都道府県・民間団体等が次のような取組を行い、就農を試したい人と農業法人等をつなぎます。これらの取組は、1県あたり上限1,000万円の範囲で支援されます。

  1. 求人状況の調査・就農希望者の募集。農業法人等の求人状況を調べ、チラシやイベント等で就農希望者へ広く呼びかけます。
  2. 農業法人等と就農希望者のマッチング。双方の希望を踏まえてトライアル雇用契約の締結につなげます。
  3. トライアル雇用就農期間中のフォローアップ。就労状況を確認し、正規雇用への移行を後押しします。希望に合わなければ、他の経営体・産地での就農の斡旋も行います。
  4. 農業法人等への初期経費支援。人を雇い入れる初期経費相当として、就農希望者1人当たり月2万円以内、最長3か月を農業法人等に支援します。
  5. その他。雇用環境の実態調査や、雇用環境を改善するための研修会の開催などです。

つまり、就農を試したい人にとっては「求人を探す・つないでもらう・働く間も相談できる」という一連の支援が、受け入れる農業法人等にとっては「人を募ってもらい、雇い入れの初期経費の一部を支援してもらえる」という形になります。マッチングや募集を担う都道府県等を、国が定額で支援する仕立てです。

対象・要件

この事業の登場人物は大きく3者です。それぞれの立場で、関わり方が変わります。

  • 就農を試したい人(就農希望者)。就農に関心がある求職者です。トライアル雇用就農で農業の仕事を体験し、正規雇用や農業界への定着を目指します。
  • 受け入れる農業法人等。正規雇用の拡大に向けて人材を確保したい経営体です。トライアル雇用を実施すると、雇い入れの初期経費への支援を受けられます。
  • 都道府県・民間団体等。求人調査・募集、マッチング、期間中のフォローアップ、農業法人等への支援を担う実施主体です。

就農を試したい人や農業法人等が直接この事業に応募するのではなく、まずは事業に取り組む都道府県・民間団体等の募集に応じて参加する形になります。地域によって募集の有無や時期、要件が異なるため、自分の地域で事業が動いているかを確認することが出発点です。

なお、就農して農業法人等で働き続ける段階で活用できる資金として、別に雇用就農資金があります。お試しの入口がトライアル雇用就農促進事業、その後の定着・育成を支える資金が雇用就農資金、と整理すると分かりやすくなります。新規就農全体で使えるお金については新規就農の資金もあわせてご覧ください。

関係者の流れ

就農を試したい人が現場で働き始めるまでの流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 国が、全国農業委員会ネットワーク機構や都道府県、民間団体等を定額で支援します。
  2. 都道府県・民間団体等が農業法人等の求人を調べ、就農希望者を募集します。
  3. 農業法人等の受入希望と就農希望者をマッチングし、トライアル雇用契約を結びます。
  4. トライアル雇用就農の期間中、就労状況や正規雇用への意向をフォローアップします。あわせて農業法人等へ初期経費を支援します。
  5. 正規雇用へ移行するか、合わない場合は他の経営体・産地での就農につなぎ、農業界への定着を図ります。

マッチングや募集の取組には、職業紹介事業に該当するものが含まれる場合があります。そのときは、職業紹介事業の許可を受けた機関と協力し、職業安定法等の関係法令を守って実施します。トライアル雇用就農を終えた人を、必要に応じて他の経営体へ紹介することもできます。

よくある質問

トライアル雇用就農促進事業とは何ですか

就農を試したい人が、正規雇用への移行を前提に、農業法人等でおおよそ3か月の有期雇用として働けるようにする事業です。都道府県・民間団体等がマッチングや期間中のフォローアップを担い、受け入れる農業法人等には雇い入れの初期経費への支援があります。合わなければ別の経営体・産地での就農につなぎます。

どんな支援がありますか

就農を試したい人には、求人の調査・募集、農業法人等とのマッチング、トライアル雇用就農期間中のフォローアップがあります。受け入れる農業法人等には、雇い入れの初期経費相当として就農希望者1人当たり月2万円以内・最長3か月の支援があります。これらを担う都道府県等の取組は、1県あたり上限1,000万円の範囲で支援されます。

誰が対象ですか

就農に関心がある求職者と、人材を正規雇用で確保したい農業法人等が対象です。マッチングや支援は、事業に取り組む都道府県・民間団体等が担います。地域によって募集の有無や時期が異なるため、自分の地域で事業が動いているかをまず確認します。

雇用就農資金とどう違いますか

トライアル雇用就農促進事業は、就農前にお試しで農業法人等で働く「入口」を支える仕組みで、おおよそ3か月のトライアル雇用就農が前提です。一方の雇用就農資金は、就農して働き続ける人材の育成・定着を後押しする資金です。お試しで始め、その後の定着を資金で支える、という役割の違いがあります。

次の一歩

就農を試してみたい人は、まず自分の地域でこの事業が動いているかを調べましょう。事業に取り組む都道府県や民間団体等の募集窓口が相談先になります。受け入れを考える農業法人等も、同じ窓口で取組の参加方法を確認できます。最新の募集状況は農林水産省「雇用就農者の確保」からたどれます。

就農後に活用できる資金もあわせて検討すると、お試しから定着までの道筋を描きやすくなります。雇用就農資金新規就農の資金もご覧ください。

キーワード解説

トライアル雇用就農

正規雇用への移行を前提に、おおよそ3か月の有期雇用として農業法人等で働く仕組みです。就農を試したい人が現場で適性を見極め、受け入れる側も相性を確かめながら人材を確保できる入口になります。

農業法人等

農業を営む法人や経営体です。トライアル雇用就農で人を受け入れ、正規雇用の拡大を目指す側で、雇い入れの初期経費への支援を受けられます。

全国農業委員会ネットワーク機構

全国の農業委員会をつなぐ組織です。この事業では、国からの定額支援を受けて都道府県等の取組を支える関係者の一つです。

事業目標と予算

この事業は、農業分野における生産年齢人口のうち49歳以下のシェアを全産業並みに引き上げることを目標に掲げます。若い世代が農業の仕事に入りやすい入口を増やし、農業界で働き続けられるようにする狙いです。

令和8年度の予算は2,816百万円(前年度3,038百万円)の内数です。最新の予算・募集状況は一次情報でご確認ください。