日本食は海外で人気が高まり、日本食レストランの数は増え続けています。一方で、日本食の魅力を理解して伝えられる調理技能を持つ料理人は不足しています。国はこの課題に対し、日本食・食文化の魅力発信による日本産品海外需要拡大事業で外国人日本食料理人の育成と海外での食文化発信を支援し、日本産品の輸出拡大につなげます。本記事では、事業の目的・予算、人材育成の7施策、海外イベント連携、参加の流れを解説します。

概要

項目 内容
誰が 海外で日本食を担う外国人料理人海外料理学校、日本食普及に取り組む民間団体等、日本産食材の輸出事業者が主な関係者です。国は農林水産省が中心に支援します。
何を 外国人向けの招聘研修・日本料理技能試験の普及、料理コンテスト、海外講座開設・講師派遣、卒業生ネットワーク、表彰、コンテンツを活用した食品ブランディング人材育成、海外イベントでの発信を支援します。
予算 令和8年度概算要求額1,750百万円(前年度1,810百万円)。2030年までに農林水産物・食品の輸出額5兆円、訪日外国人の食関連消費4.5兆円を目標とします。
詳細はどこで 農林水産省「日本食・食文化の海外発信」、同ページ掲載の「令和8年度事業概要(PDF)」、人材育成支援事業実施要領(PDF)をご覧ください。

日本食・食文化の魅力発信による日本産品海外需要拡大事業とは

日本食・食文化の魅力発信による日本産品海外需要拡大事業は、新市場開拓推進事業の一環として、日本食・食文化の魅力を海外に発信し、日本産農林水産物・食品の海外需要拡大を図る農林水産省の事業です。外国人日本食料理人を育成し、日本食文化や食材の魅力を伝えることで輸出を後押しします。

事業目標は、2030年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円に拡大すること、訪日外国人の食関連消費を4.5兆円に拡大することです。海外の日本食レストラン数は増加傾向にある一方、日本食の魅力を理解し伝えられる調理技能を持つ料理人が不足しているという課題認識のもと、人材育成と発信の両面から取り組みます。輸出5兆円目標の全体像や輸出の始め方は、農産物・食品の輸出の始め方・支援・5兆円目標の解説で詳しく整理しています。

新市場開拓推進事業のうち日本食・食文化の魅力発信による日本産品海外需要拡大事業。令和8年度概算要求額1,750百万円、事業目標、人材育成7施策と海外イベント連携、事業の流れ(委託・定額)、事業イメージ図。
令和8年度の事業概要・予算・施策一覧(出典:農林水産省「日本食・食文化の魅力発信による日本産品海外需要拡大事業の概要」

事業内容の二本柱

① 日本食・食文化普及の人材育成事業

外国人日本食料理人の育成と、日本食・食文化の担い手づくりを中心に、次の7つの取組で構成します。

  1. 外国人日本食料理人の招聘・研修支援:日本の日本食レストラン等での研修を支援します。
  2. 日本料理技能試験の普及促進:現地で日本食を提供する料理人の技能水準向上を図ります(認定制度「Taste of Japan」等)。
  3. 外国人向け日本料理コンテストの開催:本格的な日本料理や外国人に親しまれる寿司などについて、調理技術等を競う場を支援します。
  4. 海外料理学校への日本食講座開設・講師派遣支援:海外の料理学校で日本食を学べる環境づくりを支援します。
  5. 日本料理技能プログラム卒業生の海外ネットワーク強化:育成した人材の継続的なつながりづくりを支援します。
  6. 日本食・食文化普及への貢献者表彰:普及に貢献した者への表彰を行います。
  7. コンテンツを活用した食品ブランディングに取り組む食品事業者の人材育成:表彰制度の創設、セミナー開催などを支援します。

② 海外の日本文化関連イベントとの連携発信

世界各地で開催される日本文化関連のイベントの場で、日本食・食文化・食材の魅力を発信します。事業イメージは、都道府県連の出展ブースや、ブラジルでの日本食専門家によるセミナーなどです。地域の食と農泊を組み合わせた海外発信としては、農泊と食文化の海外発信に取り組むSAVOR JAPANも並行して進んでいます。

自社・自分は対象になるか

本事業は国が資金を措置し、民間団体等が実施する枠組みです。次のいずれかに当てはまれば、関わる余地があります。

  • 日本食普及に取り組む民間団体等:事業の実施主体の候補です。年度ごとの公募案内・実施要領の対象者要件を確認します。
  • 輸出・食品事業者:海外で日本食の担い手が増えると、日本産食材の需要拡大につながります。⑦のブランディング人材育成(表彰・セミナー)は、コンテンツ活用型の販促を進める食品事業者が対象です。
  • 料理学校・研修受入先:④の講座開設・講師派遣は海外の料理学校、①の招聘研修は国内の日本食レストラン等の受入先が連携候補です。
  • 外国人料理人・技能認定の受験者:②の日本料理技能試験や③のコンテストは、現地での技能向上とキャリア形成の機会です。
  • 都道府県・業界団体:②のイベント連携発信では、地域の食材・食文化を海外イベントで紹介する場面があります。

参加・申請の流れ

国(政府)が資金を措置し、民間団体等が事業を実施する流れです。実施形態は施策ごとに次のとおり分かれます。

  • 委託:人材育成事業の⑥貢献者表彰、および②海外イベント連携発信全体。
  • 定額:人材育成事業の①②③④⑤⑦(招聘研修、技能試験普及、コンテスト、海外料理学校支援、ネットワーク強化、ブランディング人材育成)。

委託・定額の区分は、年度ごとの実施要領・公募条件で具体化されます。参加を検討する団体は、①実施要領で対象者・対象施策を確認する、②公募案内で申請期限・提出書類を確認する、③必要に応じて農林水産省輸出・国際局に問い合わせる、という順で進めると確実です。

よくある質問

日本食は海外でどれくらい広がっていますか

海外における日本食レストランの数は増加傾向にあります。一方で、日本食の魅力を理解し伝えられる調理技能を持つ料理人は不足しています。本事業はこのギャップを埋めるため、外国人日本食料理人の育成と食文化の発信を支援します。

対象になるのはどんな事業者・団体ですか

事業の実施主体は民間団体等です。そのほか、招聘研修を受ける外国人料理人、日本食講座を開設する海外料理学校、研修を受け入れる国内の日本食レストラン、ブランディング人材育成の対象となる食品事業者などが関係します。具体的な対象者要件は年度ごとの実施要領と公募案内で確認します。

予算規模はどれくらいですか

令和8年度の概算要求額は1,750百万円で、前年度は1,810百万円です。支援の実施形態は施策ごとに委託と定額に分かれます。

日本料理技能試験とは何ですか

海外で日本食を提供する料理人の技能水準を示す認定の枠組みです。認定の呼称例は「Taste of Japan」です。普及が進むと、現地レストランでの品質向上と日本産食材の利用拡大が期待できます。

あります。輸出全体の支援策は農産物・食品の輸出支援の全体像で整理しています。訪日外国人の食体験を輸出につなげる施策としては、インバウンド起点による日本産食品の輸出拡大緊急支援モデル事業があります。

次の一歩

実施主体としての参加や連携を検討する団体・事業者は、まず農林水産省「日本食・食文化の海外発信」ページで最新の実施要領と公募案内をご覧ください。あわせて、自社が関わる施策(招聘研修・技能試験・料理学校支援・ブランディング人材育成など)を絞り込み、申請期限と提出書類を早めに押さえます。判断に迷う場合は、農林水産省輸出・国際局に直接問い合わせるのが確実です。

キーワード解説

新市場開拓推進事業

農林水産物・食品の新たな需要開拓を目的とする国の事業群です。本事業はそのうち、日本食・食文化を通じた海外需要拡大に位置づけられます。

日本食・食文化の魅力発信による日本産品海外需要拡大事業

外国人日本食料理人の育成と、海外イベントでの食文化発信により、日本産品の輸出拡大を図る令和8年度の中核事業です。

日本料理技能試験

海外で日本食を提供する料理人の技能水準を示す認定の枠組みです。普及促進により、現地レストランでの品質向上と日本産食材の利用拡大が期待されます(認定の呼称例は「Taste of Japan」です)。