産地から仕入れたい仲卸、市場外へ売り先を広げたい卸売業者、市場の取引先を見直したい小売・飲食、そして出荷先を考える生産者にとって、卸売市場のルールは経営を左右します。2020年6月の卸売市場法改正は、長く全国一律だった取引規制を各市場の判断に委ねる方向へ大きく舵を切りました。この記事では、卸売市場と卸売市場法の基本を押さえたうえで、改正で何が変わり、何が残ったのか、そして自分の取引にどう影響するのかを流通の現場目線で整理します。

まず押さえたい要点

卸売市場法の改正は、市場を「規制で縛る対象」から「公正な取引の場として国が認定するインフラ」へと位置づけ直したものです。第三者販売や直荷引きといった、これまで原則禁止だった取引が解禁され得る一方、生産者や中小事業者を守る土台のルールは共通事項として維持されました。下の表で全体像をつかんでください。

項目内容
誰が卸売市場で取引する卸売業者・仲卸業者・売買参加者、市場を開設する地方公共団体や民間事業者、そして出荷先や販路を考える生産者・小売・飲食
何を卸売市場法に基づく取引ルール。第三者販売・直荷引き・商物一致の規制緩和と、差別的取扱いの禁止・受託拒否の禁止など残った共通ルール
いつから改正卸売市場法は2020年(令和2年)6月21日に施行
どう変わったか全国一律の取引規制を各市場のルールに委ね、開設は認可・許可制から認定制へ。中央卸売市場は民間でも開設可能に
次の一歩自分が使う市場の取引ルール(第三者販売や直荷引きの可否、決済ルール)を市場の業務規程で確かめる

卸売市場とは|中央卸売市場と地方卸売市場

生鮮食料品等の主な流通経路。出荷先・輸入・商社から卸売市場(卸売業者→仲卸業者・売買参加者)を経て製造業者・小売業者・外食業者などを通り消費者に届く流れと、直売・宅配などの市場外流通。あわせて市場の主な機能、中央卸売市場と地方卸売市場の制度の比較。
農林水産省「第10次卸売市場整備基本方針」(PDF):生鮮食料品等の主な流通経路と、中央卸売市場・地方卸売市場の制度の比較。

卸売市場は、野菜・果実・水産物・食肉・花きといった生鮮食料品等を全国から集め、せりや相対取引で価格を決め、小売や外食へ送り出す流通の拠点です。多数の生産者からまとめて荷を集め、需要に応じて素早く分荷する役割を担い、価格形成と安定供給の要になっています。

卸売市場は規模と認定者によって2種類に分かれます。中央卸売市場は農林水産大臣の認定を受けた市場で、大都市圏の基幹的な市場が中心です。地方卸売市場は都道府県知事の認定を受けた市場で、地域に密着した中小規模の市場が多くを占めます。どちらも生鮮食料品等を扱う公共性の高い場として、共通の取引ルールのもとで運営されます。

市場で取引する人たち|卸売業者・仲卸業者・売買参加者

市場の取引は、役割の異なる事業者が組み合わさって成り立ちます。それぞれの立場を知ると、改正の影響がどこに及ぶかが見えてきます。

  • 卸売業者(荷受):生産者や出荷団体から生鮮食料品等の出荷を受け、市場内で仲卸業者や売買参加者に卸売します。集荷と価格形成の起点です。
  • 仲卸業者:市場内で卸売業者から仕入れ、小分けや品ぞろえをして小売店・飲食店などに販売します。実需者の細かなニーズに応える調整役です。
  • 売買参加者(買出人):市場の取引(せり等)に直接参加する資格を持つ小売業者や加工業者です。仲卸を介さず卸売業者から直接買うことができます。

卸売市場法とは

卸売市場法は、昭和46年(1971年)の法律第35号として制定され、農林水産省が所管します。生鮮食料品等の取引の適正化と、生産・流通の円滑化を図り、国民生活の安定に資することを目的に掲げています。誰もが公正な条件で売り買いでき、価格が透明に決まる場を法律で支える、という考え方が根底にあります。

この法律は、加工・業務用需要の拡大や流通経路の多様化が進むなかで段階的に見直されてきました。2020年6月に施行された改正は、その流れの集大成として、市場の創意工夫を後押しし、食品流通全体の合理化を促す内容になっています。改正の根拠は、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律(平成30年成立)です。

2020年改正で変わったこと

平成30年の卸売市場法改正における改正前と改正後の比較。基本方針、開設区域、認定要件、第三者販売・直荷引き・商物一致の取引ルール、差別的取扱いの禁止・受託拒否の禁止などの項目を改正前後で対比した体系図。
農林水産省「卸売市場をめぐる情勢」(PDF):平成30年の卸売市場法改正の改正前・改正後を項目ごとに比較した体系図。

改正のポイントを、改正前と改正後で一覧にすると次のとおりです。

項目 改正前(〜2020年6月) 改正後(2020年6月21日〜)
第三者販売 全国一律で原則禁止(卸売業者は市場内の仲卸・売買参加者にしか販売できない) 全国一律の禁止を撤廃。可否は各市場の業務規程に委ねる
直荷引き 全国一律で原則禁止(仲卸は市場内の卸売業者からしか仕入れられない) 全国一律の禁止を撤廃。可否は各市場の業務規程に委ねる
商物一致 取引する荷は一度市場内へ搬入してから売るのが原則 商物分離を許容。契約のみ市場で成立させ、現物は産地から直送できる(各市場の判断)
自己買受け 原則禁止(卸売業者は自ら受託した荷を自ら買い受けられない) 全国一律の禁止を撤廃。可否は各市場の業務規程(順守事項)に委ねる
中央卸売市場の開設 農林水産大臣の認可制。開設者は都道府県・人口20万人以上の市に限定 認定制へ。要件を満たせば民間事業者も開設可能
地方卸売市場の開設 都道府県知事の許可制 認定制へ
差別的取扱い・受託拒否の禁止 共通ルールとして規定 共通ルールとして維持(緩和されない)

改正の核心は、これまで全国の市場に一律で課していた取引規制を撤廃し、その可否を各市場の判断に委ねた点にあります。市場ごとに扱う品目も商圏も違うため、地域や品目の実情に合わせて取引ルールを設計できるようにしたものです。第三者販売・直荷引き・商物一致に加え、卸売業者が自ら受託した荷を自ら買い受ける自己買受けの全国一律の禁止もなくなりました。代表的な3つの規制緩和を順に見ていきます。

第三者販売の原則禁止がなくなった

改正前は、卸売業者が市場内の仲卸業者や売買参加者以外へ売ることを原則として禁じていました。改正でこの全国一律の禁止がなくなり、各市場のルール次第で、卸売業者が市場外の小売店や飲食店へ直接卸売できるようになりました。仲卸を必ず通す段階が省ける分、実需者は市場の品ぞろえに早く近づけます。

たとえば、卸売業者が量販店やネット通販事業者、加工・外食業者へ大口でまとめて直接卸すといった取引ができます。集めた荷を機動的にさばけて生産者の販路が広がる一方、市場内の仲卸業者を介さない取引が増えれば、仲卸の取扱量や市場の集散機能が細るという指摘もあります(後述)。

直荷引きの原則禁止がなくなった

改正前は、仲卸業者は市場内の卸売業者からしか仕入れられず、産地から直接仕入れる直荷引きを原則禁じていました。改正でこの禁止が外れ、各市場のルール次第で、仲卸業者が全国の産地やメーカーから直接小ロットで仕入れられるようになりました。市場に普段入らない特産品や、高級店が求める食材を機動的に集める道が開けます。

たとえば、特定の産地の希少な品種や、少量多品種の野菜を、仲卸業者が産地と直接やり取りして仕入れられます。独自の品ぞろえで小売・飲食の細かな需要に応えやすくなる半面、卸売業者(大卸)が担ってきた集荷と価格形成の機能が細るおそれや、産地と直接取引できる体力のある仲卸とそうでない仲卸との差が広がる懸念もあります。なお、仲卸が荷を集める行為全般を指す荷引きのうち、市場の卸売業者を通さずに直接仕入れる部分が直荷引きです。

商物一致規制が緩んだ

改正前は、市場で取引する荷を一度市場内に物理的に搬入してから売ることを求める商物一致が原則でした。改正でこれが緩み、各市場のルール次第で、契約だけを市場で成立させ、現物は産地から実需者へ直送する商物分離が可能になりました。鮮度の保持や物流コストの削減につながり、産地直送型の取引と相性のよい変更です。

この原則は、改正前の卸売市場法(旧法)に基づくもので、卸売業者は原則として市場に搬入した現物でなければ卸売できないと定められていました。価格形成や決済という商流と、集荷・分荷という物流を市場に集めて一致させることで、多数の買い手が現物を見ながら公正に価格を決められる、という考え方に基づきます。商物分離が認められると、たとえば契約は市場で結びつつ、現物は産地の集出荷施設から実需者の物流センターへ直送でき、当日配送や輸送距離の短縮につながります。反面、現物が市場に集まらない取引が増えると、市場のせり・相対を通じた価格形成の透明性が相対的に弱まるという懸念もあります。

開設は認定制へ|中央卸売市場は民間でも開設できる

取引ルールだけでなく、市場の開設の仕組みも変わりました。改正で、中央卸売市場は農林水産大臣の認可制から認定制へ、地方卸売市場は都道府県知事の許可制から認定制へ移りました。一定の要件を満たす市場を「公正な取引の場」として国や都道府県が認定する形です。施行初日の2020年6月21日には、全国40都市の65の中央卸売市場が認定されています。

あわせて、中央卸売市場を開設できるのは都道府県と人口20万人以上の市に限る、という従来の縛りが撤廃されました。要件を満たして認定を受ければ、民間事業者でも中央卸売市場を開設・運営できます。市場運営に新たな担い手が参入する余地が広がりました。

残った共通ルール|市場の公共性を支える土台

規制緩和が前面に出る改正ですが、市場が誰にとっても公正な取引の場であり続けるための土台は、全市場が守る共通の取引ルールとして残りました。中小の事業者や生産者の立場からは、ここがいちばんの安心材料になります。

  • 差別的取扱いの禁止:卸売業者は、出荷者・仲卸業者・売買参加者を不当に差別してはなりません。取引の規模にかかわらず、公正に扱われることが保障されます。
  • 受託拒否の禁止(中央卸売市場):卸売業者は、正当な理由なく出荷の引き受けを断ってはなりません。生産者が安定して出荷できる販路を確保し、恣意的な入荷制限による価格操作を防ぎます。
  • 取引条件・結果の公表:売買取引の方法や条件、取引の結果、決済のルールを定めて公表することが求められます。取引の透明性を保つ仕組みです。

第三者販売や直荷引きが解禁され得る市場でも、この共通ルールは外れません。市場の門戸を広げつつ、出荷者と買い手の信頼を支える最低限の規律は維持された、という構図です。

改正後、現場で何が変わったか

第三者販売等の取引状況。第三者販売・直荷引き・商物分離取引の規制について、改正前は原則禁止だったものが改正後は各市場のルールに委ねられたことを示す表と、中央卸売市場で規制を緩和した市場の割合を示すグラフ。
農林水産省「卸売市場をめぐる情勢」(PDF):第三者販売・直荷引き・商物分離取引の規制緩和の内容と、中央卸売市場での緩和状況。

改正の効果は市場ごとのルール設計しだいで、すべての市場で取引が一変したわけではありません。多くの市場は当面これまでの運用を保ちつつ、品目や取引先に応じて第三者販売や直荷引きを段階的に取り入れる対応をとっています。自分の取引にどう効くかは、立場によって異なります。

  • 生産者・出荷団体:直荷引きや商物分離を活用する市場では、産地から実需者へ近い形で届けやすくなり、鮮度を生かした販路や小ロット対応の選択肢が増えます。
  • 仲卸業者:産地直接仕入れで独自の品ぞろえを作れる一方、卸売業者の第三者販売が広がると競合面も生じます。自市場のルールを前提に仕入れ戦略を組み立てる必要があります。
  • 小売・飲食:市場のルール次第で、卸売業者からの直接調達や産地直送を組み合わせ、仕入れ経路を柔軟に設計できます。

食品流通全体の構造が変わるなかで、卸売市場は商慣習の見直しや物流効率化の流れとも連動しています。市場を起点とした取引のあり方は、これからも各市場の判断とともに動いていきます。関連する論点は食品流通の商慣習食品流通の構造再編物流の効率化の記事もあわせてご覧ください。

規制緩和された直荷引きを使って実際に飲食店・スーパーと取引を始める手順は直接取引の始め方の解説で扱っています。

改正のメリット・デメリットと問題視されている点

規制緩和は流通を柔軟にする一方で、市場の公共性を担ってきた仕組みを弱めるのではないか、という懸念も根強くあります。取引ルールごとに、期待される効果と、産地・仲卸・価格形成の面で心配される点を整理します。

緩和された項目 期待される効果(メリット) 懸念される点(デメリット)
第三者販売 卸売業者が集めた荷を市場外の小売・外食・加工業者へ直接さばける。生産者の販路が広がり、高く売れる機会が増える 仲卸業者を介さない取引が増え、仲卸の取扱量や市場の集散機能が細るおそれ
直荷引き 仲卸業者が産地・メーカーから直接、小ロットや希少品を仕入れられ、独自の品ぞろえを作れる 卸売業者の集荷・価格形成機能が弱まり、産地と直接取引できる仲卸とできない仲卸の差が広がる
商物分離(商物一致の緩和) 産地から実需者へ直送でき、鮮度保持・当日配送・物流コストの削減につながる 現物が市場に集まらず、せり・相対を通じた価格形成の透明性が相対的に低下
自己買受け 卸売業者が一定量の荷を確保でき、需給が急に変わったときも安定した供給につなげやすい 卸売業者が売り手と買い手を兼ねることで、価格形成の中立性が損なわれないか懸念される
開設の認定制・民間参入 要件を満たせば民間事業者も市場を開設でき、運営の担い手や創意工夫が広がる 大手企業が価格決定の要を握り、価格が操作されるのではないかとの指摘

問題視されているのは、規制緩和そのものよりも「市場の公共性がどこまで保たれるか」です。立場ごとに論点を整理すると次のとおりです。

  • 産地・出荷者:直荷引きや商物分離で販路は広がりますが、市場に集まる荷が減れば、多数の買い手による価格形成という後ろ盾が弱まりかねません。市場外の相対取引では、規格や数量の条件を出荷者が個別に負う場面も増えます。
  • 小規模な仲卸業者:卸売業者の第三者販売が広がると仕入れ先としての存在感が薄れ、産地と直接取引できる体力のある事業者との差が開きやすくなります。市場の再編や淘汰が進むとの見方もあります。
  • 公正な価格形成機能:商物分離や自己買受けが広がると、現物を市場に集めて公開・集中で値を決める力が弱まり、価格の透明性が下がるのではないか、という懸念が流通の現場から出ています。

こうした懸念に対しては、差別的取扱いの禁止・受託拒否の禁止・取引条件や結果の公表といった共通ルールが全市場で維持され、公正さの最低ラインを支えています。規制緩和を実際に使うかどうかは各市場の判断であり、メリットと懸念のどちらが表れるかは、自分が使う市場のルール設計しだいです。

キーワード解説

中央卸売市場

農林水産大臣の認定を受けた卸売市場です。大都市圏を中心に置かれる基幹的な市場で、受託拒否の禁止など中央卸売市場に固有のルールが課されます。

地方卸売市場

都道府県知事の認定を受けた卸売市場です。地域に密着した中小規模の市場が多く、地域の生鮮食料品流通を支えます。

卸売業者

生産者や出荷団体から生鮮食料品等の出荷を受け、市場内で仲卸業者や売買参加者に卸売する事業者です。荷受とも呼ばれ、集荷と価格形成の起点になります。

仲卸業者

市場内で卸売業者から仕入れ、小分けや品ぞろえをして小売店・飲食店などに販売する事業者です。実需者の細かなニーズに応える調整役を担います。

売買参加者

市場の取引(せり等)に直接参加する資格を持つ小売業者や加工業者です。買出人とも呼ばれ、仲卸を介さず卸売業者から直接買うことができます。

第三者販売

卸売業者が、市場内の仲卸業者や売買参加者以外(市場外の小売店・飲食店など)へ卸売することです。改正前は原則禁止でしたが、可否は各市場のルールに委ねられました。

直荷引き(じかにびき)

仲卸業者が、市場内の卸売業者(大卸)を通さず、産地やメーカーから直接仕入れることです。仲卸が荷を集める行為全般を指す「荷引き」のうち、市場の卸売業者を介さない直接仕入れの部分を指します。改正前は原則禁止でしたが、可否は各市場のルールに委ねられました。

荷引き(にびき)

仲卸業者が、販売する生鮮食料品等を集める行為全般を指します。出荷者からの販売委託を引き受けることや、市場の卸売業者以外から買い入れて販売すること(=直荷引き)を含みます。仲卸は市場内の卸売業者から仕入れるのが原則だったため、荷引きは改正前まで原則として制限されていました。

商物一致(しょうぶついっち)

市場で取引する荷を一度市場内に搬入してから売ることを求める原則です。改正前の卸売市場法(旧法)に基づき、価格形成・決済という商流と、集荷・分荷という物流を市場で一致させていました。改正で緩み、契約のみ市場で成立させ現物は産地から直送する商物分離が認められるようになりました。

自己買受け(じこかいうけ)

卸売業者が、出荷者から販売を委託されて自ら受託した荷を、自分で買い受けることです。売り手と買い手を兼ねると価格操作につながりかねないとして、市場取引の安定を守るため改正前は原則禁止でした。改正では、需給が急に変わったときに一定量の荷を確保して安定供給につなげられるよう、可否が各市場の業務規程(順守事項)に委ねられました。

差別的取扱いの禁止

卸売業者が出荷者・仲卸業者・売買参加者を不当に差別することを禁じる共通ルールです。取引規模を問わず公正に扱われることを保障します。

受託拒否の禁止

卸売業者が正当な理由なく出荷の引き受けを断ることを禁じる、中央卸売市場の共通ルールです。生産者の安定した販路を支え、恣意的な入荷制限を防ぎます。

よくある質問

卸売市場法改正のポイントは何ですか

2020年6月21日に施行された改正のポイントは大きく2つです。1つは取引規制の緩和で、これまで全国一律で原則禁止だった第三者販売・直荷引きと、商物一致(商物分離)の可否が、各市場の業務規程に委ねられました。もう1つは開設の仕組みで、中央卸売市場は認可制から、地方卸売市場は許可制から、いずれも認定制へ移り、要件を満たせば民間事業者も中央卸売市場を開設できるようになりました。一方で、差別的取扱いの禁止や受託拒否の禁止は全市場共通のルールとして残りました。

直荷引きとは何ですか

直荷引き(じかにびき)とは、仲卸業者が市場内の卸売業者(大卸)を通さず、産地やメーカーから直接商品を仕入れることです。仲卸が荷を集める「荷引き」のうち、市場の卸売業者を通さない直接仕入れを特に直荷引きといいます。改正前は原則禁止でしたが、改正で全国一律の禁止がなくなり、可否は各市場のルールに委ねられました。市場にあまり入らない特産品や高級店向けの食材を、小ロットで機動的に集めやすくなります。

商物一致の原則とは何ですか

商物一致の原則とは、市場で取引する荷を一度市場内へ搬入してから売ることを求めるルールです。改正で緩み、契約だけを市場で成立させ、現物は産地から実需者へ直送する「商物分離」が各市場の判断で可能になりました。鮮度の保持や物流コストの削減につながる変更です。

卸売市場法はいつ改正されましたか

改正の根拠となる「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律」は平成30年(2018年)に成立し、改正後の卸売市場法は2020年(令和2年)6月21日に施行されました。施行初日には、全国40都市の65の中央卸売市場が認定されています。

卸売市場法改正のメリットとデメリットは何ですか

メリットは、第三者販売・直荷引き・商物分離が使えるようになり、産地直送や当日配送で鮮度が保たれ、物流コストの削減や販路の拡大につながる点です。デメリットや懸念としては、仲卸業者を通さない取引が増えて市場の集散・価格形成の機能が弱まる、小規模な仲卸の経営が圧迫される、民間参入で価格が操作されかねない、といった指摘があります。どちらが表れるかは各市場のルール設計しだいで、差別的取扱いの禁止など公正さを支える共通ルールは全市場で維持されています。

自己買受けとは何ですか

自己買受け(じこかいうけ)とは、卸売業者が出荷者から販売を委託されて自ら受託した荷を、自分で買い受けることです。売り手と買い手を兼ねると価格操作につながりかねないとして改正前は原則禁止でしたが、需給が急に変わったときに一定量を確保して安定供給につなげられるよう、改正で可否が各市場の業務規程に委ねられました。

いま確認しておきたいこと

卸売市場のルールは、いまや「全国一律」ではなく「市場ごと」です。まず、自分が荷を出す、または仕入れる市場が中央卸売市場か地方卸売市場かを把握しましょう。そのうえで、その市場が第三者販売や直荷引き、商物分離を認めているかどうかを、市場の業務規程や取引ルールで確かめてください。市場を新たに使いたい流通・小売・飲食であれば、卸売業者や仲卸業者に直接、取引の条件や決済のルールを問い合わせるのが近道です。

生産者・出荷団体は、直荷引きや産地直送に対応する市場・卸売業者を選べば、鮮度を生かした販路を広げられます。改正の趣旨や法令の正確な内容は、農林水産省の卸売市場情報やe-Gov法令検索でご覧ください。市場ごとのルールは更新されることがあるため、取引を始める前に最新の業務規程を確認しておきましょう。