卸売市場で卸売業者から直接仕入れるには、買参権と呼ばれる売買参加者の資格が要ります。手続きの相手は市場に入っている卸売業者ではなく、市場を開設している自治体です。ただし要件は全国共通ではありません。経験年数も資金の額も市場ごとに違い、承認ではなく届出で済む市場もあります。この記事では、申請先と流れ、市場ごとに違う要件の実際、費用、そして買参権を取るべきか仲卸で足りるかの判断材料を、市場から仕入れたい小売店・飲食店・納入業者の目線で整理します。
| 対象となる方 | 卸売市場の卸売業者から直接仕入れたい小売店・青果店・飲食店・外食チェーン、給食や外食への納入業者、加工業者、他市場の卸売業者 |
|---|---|
| 正式な名称 | 売買参加者の承認。「買参権」は通称で法令用語ではない。大阪市は「認定」、広島市・神戸市は「届出」 |
| 申請先 | 市場の開設者(自治体の長)。卸売業者ではない。市場と取扱品目の部類ごとに手続き。神戸市のみ卸売業者が市へ届け出る |
| 要件 | 市場ごとに異なる。経験年数・業務資金・年間買付金額・所在地などを各市場の業務条例と承認要綱が定める |
| 費用 | 保証金は国の標準ひな形に規定がなく市場ごと。保証金を取らない市場もある |
| 詳しくは | 仕入れたい市場の開設者(自治体の市場担当課)へ問い合わせる |
買参権は誰に申請するのか
申請先は開設者です。中央卸売市場なら、その市場を開設している都道府県や市の長にあたります。市場に入っている卸売業者に頼んでも承認は下りません。窓口は自治体の市場担当課で、たとえば横浜市中央卸売市場本場なら経済局中央卸売市場本場経営支援課が受け付けています。
承認は市場と取扱品目の部類ごとに行われます。同じ市場でも青果部と水産物部は別々の承認で、青果の買参権を持っていても水産では買えません。他の市場で買いたければ、その市場の開設者に改めて申請します。
誰が承認するかを整理すると次のようになります。仲卸業者は「許可」、売買参加者は「承認」で、仲卸のほうが重い扱いです。
買参権・買出人・仲卸はどう違うか
買参権を取るかどうかを決める前に、市場から仕入れる方法が3通りあることを押さえておきます。違いは「誰から買うか」と「せりに出られるか」です。
| 項目 | 買出人 | 売買参加者(買参権) |
|---|---|---|
| 買う相手 | 仲卸業者・関連事業者 | 卸売業者から直接(仲卸からも買える) |
| せり・入札 | 参加できない | 仲卸業者と同じ立場で参加できる |
| 開設者の関与 | 承認不要の市場が多い | 承認が必要 |
| 小分け・目利き | 仲卸がやってくれる | 自分でやる |
見落とされがちなのが最後の行です。東京都は売買参加者について「仲卸業者と同様の評価機能と分荷機能が求められている」と説明しています。卸売業者が扱うのは産地から届いた大きな単位なので、買参権を取るということは、目利きと小分けを自社で引き受けるということでもあります。実際、売買参加者であっても必要に応じて仲卸から仕入れているのが普通です。
要件は市場ごとに違う
買参権の要件に全国共通の基準はありません。同じ「中央卸売市場の売買参加者」でも、経験年数も、資金の下限があるかどうかも、承認に期限があるかどうかも市場ごとに違います。公表されている承認要綱・要領から拾うと、次のように開きがあります。
| 市場・部類 | 経験年数 | 資金・売上の要件 | 有効期間 |
|---|---|---|---|
| 横浜市本場 青果部 | 2年以上 | 業務資金50万円以上。市場関係事業者への借入金がないこと | 定めなし |
| 横浜市本場 水産物部 | 3年以上 | 資本金500万円以上、業務資金1,000万円以上、年間売上5億円以上、年間買受3億円以上 | 定めなし |
| 札幌市 青果部 | 販売業務3年以上に加え、市場での取引経験2年以上 | 金額の基準なし。指定の精算会社を通じた決済契約が必要 | 5年(5年ごとに更新) |
| 札幌市 水産物部 | 販売業務5年以上に加え、市場での取引経験3年以上 | 金額の基準なし。指定の精算会社との契約が必要 | 5年(5年ごとに更新) |
| 大阪市 青果部・水産物部 | 法人3年以上、個人5年以上 | 資本金・出資金または業務資金200万円以上 | 2年(更新制) |
| 名古屋市 青果物 | 3年以上 | 金額の基準なし。市場の代払制度またはこれと同程度の信用制度の利用 | 定めなし |
| 沖縄県 青果部 | 3年以上 | 年間買付金額800万円以上の見込み | 5年以内(更新制) |
| 沖縄県 花き部 | 3年以上 | 年間買付金額100万円以上の見込み | 5年以内(更新制) |
| 京都市第一市場 青果部・水産物部 | 営業3年以上に加え、販売・加工の経験5年以上 | 純資産100万円以上かつ純資産比率10%以上、年間売上3,000万円以上 | 5年(更新制) |
| 福岡市 全部類 | 条例・規則に定めなし | 金額の基準なし。資産調書・貸借対照表で個別に審査 | 5年以内で市長が定める期間(更新制) |
| 仙台市 全部類 | 条例・規則に定めなし | 金額の基準なし。「知識及び経験又は資力信用」の判断による | 定めなし |
| 広島市 全取扱品目 | 条例・規則に定めなし | 金額の基準なし。直近事業年度が債務超過でないこと | 定めなし(届出制) |
横浜市本場の青果部と水産物部を見比べると、同じ市場でも部類が違えば要件が桁違いだとわかります。青果部は業務資金50万円以上で個人でも届く水準ですが、水産物部は年間売上5億円以上を求めており、小規模な小売店では最初から対象になりません。札幌市も、青果部は販売経験3年に対し水産物部は5年と差をつけています。
金額の要件を置くかどうかも分かれます。沖縄県は年間の買付金額に下限(青果800万円・花き100万円)を設け、大阪市は資本金または業務資金200万円以上を求めます。一方、札幌市と名古屋市の要領には金額の基準がありません。代わりに、決済の仕組みに入れることを信用の裏づけとしています。札幌市は指定の精算会社を通じた決済契約、名古屋市は市場の代払制度またはこれと同程度の信用制度の利用が要件です。資力を金額で測る市場と、決済制度への加入で測る市場の2通りがあると考えると整理しやすくなります。
そもそも数値の要件を置いていない市場もあります。仙台市の条例・規則は「売買参加者として必要な知識及び経験又は資力信用を有しない」と認めるときは承認しない、と書くだけで、経験年数も資本金も定めていません。福岡市も同じ書きぶりで、資力は提出した資産調書や貸借対照表を見て個別に判断されます。広島市の財務要件は「直近事業年度が債務超過でないこと」だけです。「買参権を取るには何年の経験と何百万円の資本金が必要」という一律の答えはありません。まず自分が申請する市場の要綱を見るのが確実です。
逆に、要件が最も具体的なのが京都市第一市場です。営業3年以上・経験5年以上に加えて、純資産100万円以上かつ純資産比率10%以上、そして年間売上3,000万円以上を求めます。売上の下限を置く市場のなかでも高い水準です。
手続きの呼び方も市場によって違います。多くの市場は「承認」ですが、大阪市の条例は「売買参加の認定」と呼びます。そして承認そのものがない市場もあります。広島市は2020年6月から「届出」に変わり、要件に当たらなければ届け出るだけで売買参加者になれます。神戸市も2020年4月から市長の承認を廃止し、卸売業者が「この事業者を参加させます」と市に届け出る方式になりました。神戸市の場合、開設者が定める年齢や経験年数の基準は制度として存在せず、実際の判断は卸売業者に委ねられています。問い合わせ先も市ではなく卸売業者や組合です。
年齢も統一されていません。横浜市・沖縄県が満20歳以上であるのに対し、札幌市は満18歳以上です。成年年齢の引下げに合わせた市場とそうでない市場が混在しているため、「買参権は20歳から」と一律には言えません。
所在地の要件を置く市場もあり、沖縄県は県内に店舗と住所があること、札幌市は市内に店舗・事務所があることを求めます。札幌市の場合、市外の事業者でも指定の商業協同組合に所属していれば承認を受けられる特例があります。
法人の場合は、常時売買に参加する人がこれらの要件を満たしている必要があります。札幌市青果部では、代表者が経験年数を満たさないときは売買参加補助員を置かないと承認されません。
なぜ市場ごとに違うのか
理由は法律の側にあります。現行の卸売市場法には「売買参加者」という語が1回も出てきません。2020年6月施行の改正で、旧法にあった売買参加者の定義規定と承認の根拠規定が条文ごと削除され、現行法は「取引参加者」という包括的な語に置き換えられました。
その結果、買参権の要件も費用も、法律ではなく各市場の業務条例と、その下の承認要綱だけが決めている状態になっています。国が示している中央卸売市場業務規程例にも、営業年数・売上・店舗の所在地といった要件は一切ありません。規程例が書いているのは「卸売の相手方として必要な知識及び経験又は資力信用を有しない者」を除いて承認する、という抽象的な条文だけです。この抽象条項を各市場が具体化した結果として、経験年数や年間買付金額といったローカルな数値が生まれました。
なお改正前は「卸売業者は仲卸業者及び売買参加者以外の者に卸売してはならない」という条文(旧法第37条)があり、これが買参権の価値の源でした。この条文は2020年の改正で廃止され、第三者への販売を認めるかどうかは各市場の業務規程に委ねられています。改正で何が変わったかは卸売市場法改正の解説記事で整理しています。
申請の流れ
市場によって細部は違いますが、おおむね次の順に進みます。書類が多く、住民票や納税証明書など役所で取る書類も含まれるため、余裕をもって準備します。
- 仕入れたい市場と取扱品目の部類(青果・水産物・食肉・花き)を決めます。部類ごとに別の承認になります。
- その市場の開設者(自治体の市場担当課)に連絡し、承認要綱と申請書の様式、受付の時期を確認します。
- 要件を満たしているかを確かめます。経験年数・業務資金・年間買付金額・所在地・年齢が主な確認点です。
- 申請書と添付書類をそろえます。法人なら登記事項証明書・貸借対照表・損益計算書・代表者の履歴書と身分証明書、個人なら履歴書・住民票・身分証明書・資産調書が基本です。市場によっては確定申告書の写しや残高証明書、事業実績書・事業計画書も求められます。
- 開設者に提出し、審査を受けます。暴力団員等に該当しないことの誓約と、警察本部長への照会に同意する書面を求める市場もあります。
- 承認されると売買参加章などの証票が交付されます。市場でせりや取引に参加するときは着用し、資格を失ったときは返還します。
受付はいつでも開いているとは限りません。札幌市は青果部・水産物部とも承認を毎年4月に行うと要領で定めており、この時期を逃すと次の年まで待つことになります。京都市第一市場は、申請の受付を市場内の掲示などで公示して行います。一方で受付時期を要綱に書いていない市場も多く、その場合は随時と読めますが明記はされていません。
審査にかかる期間を公表している市場は多くありません。京都市第一市場は受付から60日以内に承認すると要綱で定めています。三重県の地方卸売市場は14日以内です。ほとんどの市場は公表していないため、申請から実際に買えるようになるまでには数週間から2か月程度を見ておくのが無難です。思い立ったら早めに市場担当課へ問い合わせてください。
承認に期限を設けている市場もあります。大阪市は2年で、満了の30日前までに更新を申請します。札幌市は5年ごとの更新、沖縄県も5年以内の更新制です。福岡市は「5年以内で市長が定める期間」とされ、更新の申請は満了日の90日前から30日前までの間に出します。一方、横浜市・名古屋市・仙台市・広島市は有効期間の定めがなく、取消し事由に当たらない限り続きます。更新制の市場では、更新のたびに資産調書や直近の買受代金の実績を出すことになるので、取ったあとも一定の取引を続けることが前提になります。
同じ制度でも市場によって参加者数がまったく違う
要件の差は、実際の売買参加者の数にも表れています。名古屋市は青果で919者(本場323・北部596)を抱える一方、大阪市は本場と東部市場を合わせて青果16者・水産5者の計21者にとどまります。同じ大都市の中央卸売市場で40倍以上の開きがあります。
両市の制度を比べると、名古屋市は金額の基準を置かず代払制度への加入を実質的な要件にしているのに対し、大阪市は資本金・業務資金200万円以上に加えて2年ごとの更新を求めています。どちらが良いというものではありませんが、近隣に複数の市場があるなら、要件と参加者数の両方を見比べてから申請先を決める価値はあります。
新規参入のルールは緩む方向で見直されている
農林水産省は全国の中央卸売市場について、売買参加者の新規参入ルールを調べて一覧にした資料を公表しています。買参権の要件を全国横断で確認できる数少ない公的資料で、市場ごとの規程名と見直しの状況が載っています。
この資料からは、参入しにくい条件を外す動きが進んでいることも読み取れます。仙台市は買参人組合への加入を必須とする規定をすでに削除し、広島市は卸売業者の確認を必須とする規定の改定を検討中とされています。数年前に断られた市場でも、いまは条件が変わっている可能性があります。古い情報で諦めず、最新の要綱を確認してください。
保証金と費用
まず押さえておきたいのは、売買参加者の保証金について国の標準ひな形には規定がないことです。中央卸売市場業務規程例は、仲卸業者と関連事業者には保証金を明記していますが、売買参加者には置いていません。保証金を求めるかどうかは市場ごとの判断で、横浜市中央卸売市場のように売買参加者に保証金の預託義務を課していない市場もあります。
市場に納める年会費や負担金についても、横浜市では売買参加者向けの市場使用料が規則の別表に存在しません。使用料が発生するのは駐車場や事務室など施設を借りた場合だけです。
申請そのものに手数料がかかる市場もあります。京都市は承認手数料を1件1,000円と条例で定めており、第二市場ではこれに売買参加者章の代金1,200円が加わります。一方、多くの市場は条例に手数料の規定を置いていません。金額は市場ごとに確認してください。
実際、札幌市・横浜市はいずれも売買参加者に保証金を求めていません。保証金が出てくるのはむしろ地方卸売市場です。三重県の地方卸売市場は、保証金を買受高の2日分または4日分(70,000円から)とし、ほかに契約証書に貼る収入印紙4,000円、車両入場許可証1,000円(1台・年)、帽子800円がかかると公表しています。同じ市場の買出人は市場運営協力会費15,000円(3年分一括)と車両入場許可証、帽子代だけで、保証金も保証人も要りません。参入の負担がはっきり違います。
この市場では、申請に既存の売買参加者に保証人になってもらうことも求めています。実質的に同業者の紹介が要るということで、これも市場ごとのローカルルールです。
保証金の代わりに決済の仕組みへの加入を求める市場もあります。札幌市は青果部・水産物部とも、買受代金の決済を市場ごとに指定された精算会社を通じて行う契約を結ぶことを承認の要件にしています。沖縄県の青果部も市場の代金決済制度への加入を求めています。保証金という形でお金を預けなくても、決済の履行を担保する枠組みには入る必要があると考えておくとよいでしょう。
組合への加入が要件になっている市場もあります。札幌市の水産物部は、市長が指定する商業協同組合に所属していることが承認の前提です。青果部は市内に店舗があれば組合加入は求められませんが、市外の事業者は指定組合に所属することが代替の要件になります。組合の加入条件や組合費は各組合が決めており公表されていないため、加入の要否とあわせて市場担当課か組合へ直接確認してください。
取る前に確認したい3つの数字
買参権は取れば得というものではありません。判断の材料になる公的な数字を3つ挙げます。
せりで買える量は思ったより少ない
「買参権=せりに参加できる権利」という印象が強いのですが、中央卸売市場でせり・入札によって取引されている割合は、金額ベースで青果7.1%、水産13.6%にとどまります(令和5年度)。平成17年度は青果24.9%だったので、20年で大きく減りました。いまの買参権の実質的な価値は、せりに出られることよりも卸売業者から直接買えることにあります。例外は食肉で、84.4%がせり・入札です。
半分近くはほとんど使っていない
青果の売買参加者のうち、年間の仕入金額が300万円未満(実績なしを含む)の事業者が48.2%を占めます。一方で最も多い事業者は174億円を超えており、差は極端です。承認を取ることと、それを使って安定して仕入れることは別だと考えたほうが現実的です。なおこの調査は令和元年度末を最後に更新されていません。
数のうえでは地方卸売市場のほうが多い
中央卸売市場は全国64市場で売買参加者は19,845ですが、地方卸売市場は909市場で78,634と、4倍近くいます。近くに中央卸売市場がない場合や、要件が厳しくて届かない場合は、地元の地方卸売市場から始めるのが現実的です。地方卸売市場の承認は、開設者が自治体ではなく民間法人や指定管理者のこともあります。
どの市場でどの品目の相場が動いているかは、農林水産省の統計で無料で調べられます。使い方は青果物の価格を調べる方法の解説記事にまとめています。
買参権を持っているのはどんな事業者か
中央卸売市場の売買参加者を業種別に見ると、青果では一般小売店が62.2%、給食・外食への納入業者が13.3%、スーパー業者が8.1%です(令和5年度末)。花きでは一般小売店が84.6%を占めます。八百屋や花屋、外食の仕入担当が買参権を持つのは、特別なことではなく標準的な姿だとわかります。
ただし部類によって事情は変わります。東京都は「青果や花きの小売業者の多くは売買参加者の資格を有している」一方、「水産で売買参加者の資格を有しているものは加工業者・量販店等であり、一般の小売商は仲卸業者から購入している」と明記しています。実際、東京都の売買参加者は青果2,973に対して水産は341しかいません。都はその理由を、青果・花きは取引単位と価格が比較的小さいため直接取引が可能だが、水産・食肉では買出人が扱える大きさまで小さくするのが難しいためだと説明しています。
つまり魚を小ロットで仕入れたい小規模事業者は、買参権を目指すより仲卸から買うほうが実務に合っているということです。市場を通さずに産地から直接仕入れる方法もあります。こちらは飲食店・スーパーとの直接取引の解説記事で整理しています。
承認が取り消される場合
承認は取ったら終わりではありません。国の業務規程例では、破産して復権を得ていないとき、その市場の卸売業者や仲卸業者(またはその役員・使用人)になったとき、そして卸売の相手方として必要な資力信用を有しなくなったと認めるときは、開設者は承認を取り消すものとされています。裁量ではなく取り消す建て付けです。
業務規程に違反した場合は、是正措置の命令、10万円以下の過料、承認の取消し、6か月以内の市場への入場停止といった処分の対象になります。取消しを受けると、その日から1年間は再申請できません。
代金の決済も要件のうちです。多くの市場は買い受けた物品の引渡しを受けた日に代金を支払うことを原則としており、支払いを猶予してもらう場合は卸売業者との特約が必要になります。
よくある質問
個人事業主でも買参権は取れますか
取れます。国の業務規程例にも各市場の要綱にも、法人に限る規定はありません。実際、横浜市も沖縄県も個人と法人の両方の基準を並べて定めています。ただし個人の場合は履歴書・住民票・市区町村長が発行する身分証明書・資産調書などの提出を求められ、市場によっては確定申告書の写しや納税証明書も必要です。
飲食店を経営していますが、買参権を取るべきでしょうか
仕入れる量と品目によります。青果や花きは取引単位が小さく、小売店が売買参加者になっているのが一般的なので、量がまとまるなら検討する価値があります。一方、水産物は東京都の資料でも「一般の小売商は仲卸業者から購入している」とされており、小ロットなら仲卸から買うほうが実務に合います。まずは買出人として市場に入り、必要な量が読めてから承認を申請する順序でも遅くありません。
どこに問い合わせればよいですか
仕入れたい市場を開設している自治体の市場担当課です。中央卸売市場なら都道府県または市の担当課、地方卸売市場なら開設者(自治体のほか民間法人や指定管理者の場合もあります)が窓口になります。承認要綱は自治体の例規集に載っていないことがあり、農林水産省の卸売市場情報のページで公開されている市場もあります。
買参権があれば全国どの市場でも買えますか
買えません。承認は市場ごと、さらに取扱品目の部類ごとです。別の市場で買いたい場合は、その市場の開設者に改めて申請します。青果の承認を持っていても、同じ市場の水産物部では買えません。
地方卸売市場でも買参権は必要ですか
必要な市場が多いですが、承認する主体も要件も中央卸売市場とは異なります。開設者が民間法人や指定管理者のこともあり、保証金や保証人を求める市場もあります。売買参加者の数は地方卸売市場のほうが78,634と多く、中央卸売市場の19,845を大きく上回ります。
キーワード解説
売買参加者
開設者の承認を受けて、卸売業者が行うせり売・入札・相対取引による卸売に参加できる事業者です。「買参権を持っている」というときの正式な立場がこれにあたります。小売商、加工業者、大口需要者、他市場の卸売業者などが該当します。
開設者
卸売市場を開設する者です。中央卸売市場は都道府県や市などの自治体が開設しているものが多く、売買参加者の承認や仲卸業者の許可を行います。中央卸売市場と名乗るには農林水産大臣の認定が、地方卸売市場には都道府県知事の認定が必要です。
仲卸業者
卸売市場において卸売を受けた生鮮食料品等を、市場内の店舗で販売する事業者です。開設者の許可が必要で、市場内に店舗を構えます。売買参加者の「承認」より重い扱いです。
買出人
市場内で仲卸業者から販売を受ける事業者です。せりには参加できませんが、開設者の承認が不要な市場が多く、小売店や飲食店が市場で仕入れるときの基本的な立場になります。
取扱品目の部類
青果・水産物・食肉・花きといった市場内の区分です。売買参加者の承認はこの部類ごとに行われ、部類が違えば要件も別に定められます。