お米の袋に書かれた「一等」「二等」という等級は、農産物検査で付けられます。等級は米粒の見た目の品位で決まり、炊いたときの味の良し悪しは含みません。この記事では、一等米と二等米の違い、等級の決まり方、産地・品種・産年の表示との関係、そして任意になった検査の受け方までを、米を売る生産者と、米を仕入れる卸・小売・外食の視点で整理します。

項目内容
誰が米・麦・大豆などを出荷する生産者と、それを仕入れる卸・小売・外食などの実需者
何を検査品位(等級)・種類・銘柄(産地品種)・量目・包装と、たんぱく質などの成分
等級の決め方整粒の割合・被害粒・水分など見た目の品位で一〜三等と規格外に区分。食味は対象外
実際の分布令和7年産は一等75.7%・二等19.4%。猛暑の令和5年産は一等60.9%・二等30.4%
表示との関係検査証明があれば産地・品種・産年を表示。証明がなくても根拠資料の保管で表示可
受けるかどうか任意。民間の登録検査機関に請求して受検

一等米と二等米は何が違う?

一等・二等・三等という等級は、玄米に含まれる整った粒(整粒)の割合や、被害を受けた粒・着色した粒・水分などの品位で決まります。基準を満たす割合が高いほど上位の等級になり、どの等級にも届かない玄米は「規格外」となります。ここで判定されるのはあくまで見た目の品位です。炊いたときの味や香りは、等級の判定項目には入りません。

等級を決める品位の基準

水稲うるち玄米の場合、主な基準は次のとおりです。整粒の割合は最低限度、被害粒などの合計や水分は最高限度として定められています。

等級整粒(最低)被害粒・死米・着色粒などの合計(最高)水分(最高)
一等70%以上15%以下15.0%以下
二等60%以上20%以下15.0%以下
三等45%以上30%以下15.0%以下
規格外一〜三等に届かないもの異種穀粒・異物が50%未満

整った粒が多く、被害粒や着色粒が少ないほど上位になります。上の表は代表的な項目で、実際にはこのほかに死米や異種穀粒・異物などの細かな基準もあります。水分は当分の間、表の数値に1.0%を加えた値で運用されています。

実際は何割が一等米・二等米か

基準を読むだけでは、自分の米がどのあたりに位置するのかは掴みにくいものです。農林水産省は毎年、検査を受けた米の等級別比率を公表しています。水稲うるち玄米の内訳は次のとおりです。

産年一等二等三等規格外
令和7年産(令和8年3月31日現在・速報値)75.7%19.4%3.6%1.3%
令和6年産(最終)76.3%18.9%3.2%1.6%
令和5年産(最終)60.9%30.4%7.0%1.7%

直近では、検査を受けた米のおよそ4分の3が一等、二等が約5分の1という構成です。二等米は「珍しい格下げ」ではなく、毎年およそ5袋に1袋の割合で出ています。

注目したいのは令和5年産です。この年は一等が60.9%まで落ち込み、二等が30.4%まで増えました。令和7年産と比べると一等は14.8ポイント低い水準です。猛暑の年には、等級の分布そのものが大きく動きます。一等比率の年産ごとの推移(最終値)は、令和3年産83.1%、令和4年産78.6%、令和5年産60.9%、令和6年産76.3%で、令和7年産は速報値で75.7%です。

二等に落ちる原因は高温と着色粒

格下げの主な原因は、整粒の割合を下げる粒と、被害粒に数えられる粒の増加です。登熟期に高温が続くと、でんぷんの詰まりが悪い白未熟粒(乳白粒・基部未熟粒など)が増え、急な乾湿の変化では胴割粒が発生します。カメムシ類が籾を吸うと、玄米に黒い斑点が残る着色粒になります。着色粒はごく少量でも等級に響くため、防除の時期が等級を左右します。

令和5年産で一等比率が6割台に沈んだのも、登熟期の高温による白未熟粒の増加が大きな要因でした。高温下でも整った粒を確保する栽培管理は、水稲の高温対策で詳しく整理しています。

等級は価格に影響、味とは別

等級は、生産者が米を売るときの取引価格の目安になります。上位の等級ほど価格は高くなる傾向があり、産地や品種の評価と合わせて手取りに影響します。JAが出荷時に前払いする概算金も、銘柄・等級ごとに金額が設定されます。等級間の差額はJAと年産によって異なり、たとえばJA秋田なまはげの令和7年産あきたこまち(紙袋・JA米)は一等28,500円に対して二等27,900円、三等26,900円で、一等から二等で玄米60kg当たり600円、三等では1,600円下がる設定でした。米価が安かった令和3年産のJAはれおかのコシヒカリでは、一等10,500円・二等10,200円・三等9,200円と、一等から二等の差は300円です。米価の水準が高い年ほど等級間の差額も広がる傾向があり、二等から三等の落差は一等から二等より大きくなりやすい点も共通しています。

一方で、等級は見た目の区分なので、二等だから味が劣るというわけではありません。食味は品種・産地・栽培方法・保管状態などで変わります。

等級と食味ランキングは別の制度

「一等米」と混同されやすいのが、米の食味ランキングです。この2つは実施主体も評価するものも異なります。

項目等級(一等・二等…)米の食味ランキング
実施登録検査機関による農産物検査(農産物検査法)一般財団法人日本穀物検定協会(昭和46年産米から毎年)
評価するもの玄米の見た目の品位(整粒・被害粒・水分など)炊いたご飯の食味
評価の単位出荷される米のロットごと産地品種ごと(例:○○県産コシヒカリ)
区分一等・二等・三等・規格外特A・A・A'・B・B'の5段階
基準農産物規格規程に定める数値基準複数産地のコシヒカリをブレンドした基準米との比較

食味ランキングは、香り・外観・味・粘り・硬さ・総合評価の6項目を専門の評価員が試食して判定し、基準米より特に良好なものが特Aになります。令和7年産では144産地品種について実施され、特Aは43点、Aは71点、A'は30点で、BとB'は該当がありませんでした。

つまり、一等米かどうかは「その米袋の見た目の品位」、特Aかどうかは「その産地品種の食味の評価」です。一等米だから特A、というつながりはありません。買い手に品質を説明するときは、この2つを分けて示すと誤解が生まれにくくなります。

農産物検査とは

農産物検査を活用したコメ流通の例。農業者が登録検査機関に検査を請求し、検査・証明を受けた玄米を精米・卸事業者へ販売し、実需者・消費者へ届く流れと、検査証明書の記載例
農林水産省「コメの農産物検査」:農業者から登録検査機関、精米・卸事業者、実需者・消費者へと流れる取引と、検査証明書の記載例。

農産物検査は、農産物検査法に基づく検査です。民間の登録検査機関が実施し、農業者などが任意で受けられます。目的は、農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善を助けることにあります。買い手にとっては、産地・品種・品位が証明された米を安心して仕入れる手がかりになります。

検査には2種類あります。ひとつは品位等検査で、種類(もみ・玄米・精米)、銘柄(産地品種)、品位(等級)、量目、荷造り・包装を調べます。もうひとつは成分検査で、たんぱく質やアミロースなどの含有量を分析します。対象となるのは米・麦・大豆・小豆・いんげん・そば・でん粉など全部で10品目です。全国には登録検査機関が約1,700、農産物検査員が約2万人います。検査を受けた米の多くはJA系統を通りますが、卸・小売や農業法人が受ける分もあります。

検査の流れと産地品種銘柄

国内産水稲うるち玄米の農産物検査の流れ。包装検査、量目(重さ)検査、品位検査(穀粒判別器による機械鑑定を含む)、銘柄検査、検査証明発行の順に進む様子
農林水産省「コメの農産物検査」:包装・量目・品位・銘柄の検査を経て検査証明が発行される流れ。

米(水稲うるち玄米)の検査は、次の順で進みます。

  1. 包装検査。規程どおりの材料か、検査時の荷役に耐えられるかを確認します。
  2. 量目(重さ)検査。正味重量を計量します。
  3. 品位検査。被害粒の混入程度や水分などを確認します。穀粒判別器による機械鑑定も行われます。
  4. 銘柄検査。産地品種銘柄や品種銘柄を、種子の購入記録や栽培記録などの書類で審査します。
  5. 検査証明の発行。等級・銘柄・産年などを記した証明が交付されます。

産地品種銘柄と品種銘柄

産地品種銘柄は、都道府県からの申請を受けて農林水産省が農産物規格規程で設定する銘柄で、「都道府県名+品種名」で表します(例:●●県産コシヒカリ)。すべての登録検査機関で検査できる「必須銘柄」と、機関ごとに検査するかを選べる「選択銘柄」に分かれ、水稲うるち玄米では900を超える銘柄が設定されています。令和4年産からは、全国一本で品種を指定する「品種銘柄」も新たに設けられ、産地品種銘柄に指定されていない品種でも検査を受けられるようになりました。

検査を受けない米(未検査米)はどうなる?

農産物検査を要件とする玄米・精米の食品表示制度の改正。検査証明があるもの・ないもの・未検査米それぞれの産地品種産年の表示例と、根拠資料の保管要件
農林水産省「農産物検査について」:検査証明の有無による産地・品種・産年の表示例と、根拠資料の保管要件。

かつては、米袋に産地・品種・産年を表示するには農産物検査の証明が必要でした。令和3年2月の食品表示基準の改正により、検査証明を受けていない場合でも、産地・品種・産年の根拠を示す資料を保管していれば、これらを表示できるようになりました。根拠資料には、米トレーサビリティ法に基づく取引の伝票、種子の購入記録、栽培記録(品種・産年がわかるもの)などが使えます。

表示では、検査証明による場合は「農産物検査証明による」、根拠資料による場合は「○○(生産者名)確認による」と、確認方法もあわせて示せます(この確認方法の表示は任意です)。根拠資料もない米は未検査米となり、「国内産・10割」のように、産地や品種、産年を書くことはできません。米を直接販売する生産者が、米袋に産地や品種を表示したい場合は、検査証明か根拠資料の保管を準備しておくとよいでしょう。ネットでお米を直販する際の産地表示でも、同じ考え方が当てはまります。

機械鑑定など近年の見直し

農産物検査の見直しの前後比較。目視中心の検査から、機械測定の数値で示す検査やサンプリング簡素化、検査できる品種の拡大などへ合理化した内容
農林水産省「農産物検査の見直しについて」:目視中心の検査から、機械鑑定や手続の簡素化へ見直した内容の比較。

目視の検査は熟練を要し、地域や検査員によってばらつきが出やすい面がありました。流通や消費の多様化に対応するため、近年は次のような見直しが進みました。

  • 機械鑑定を前提とした規格を令和4年産米から追加。穀粒判別器などで容積重・白未熟粒・水分・死米・胴割粒・砕粒・着色粒を数値で示せるようになりました。
  • 銘柄の検査を、目視の鑑定から書類による審査へ見直し。
  • 量目検査で「皆掛重量」の証明を廃止し、正味重量のみの証明に。検査員の押印も省略できるようになりました。
  • QRコードなどの照会コードによる検査証明で、記載の一部を省略可能に。

従来の等級検査も引き続き受けられます。どちらの検査を希望するかは、事前に登録検査機関へ伝えておきましょう。

ただし、機械鑑定への移行は現時点ではごく限られています。令和7年産の水稲うるち玄米の検査数量4,379.3千トンのうち、機械鑑定によるものは0.1千トンでした(令和8年3月31日現在)。制度としては選べるようになったものの、実務の大半はいまも従来の等級検査で行われている状況です。

よくある質問

二等米はどのくらいの割合で出ますか

直近では検査を受けた水稲うるち玄米の約2割が二等です。令和7年産は二等19.4%、令和6年産は18.9%でした(一等はそれぞれ75.7%・76.3%)。ただし年によって大きく動き、猛暑だった令和5年産は二等が30.4%、一等が60.9%でした。二等は例外的な等級ではなく、毎年一定の割合で出ています。

一等米と二等米で手取りはいくら違いますか

JAと年産によって異なります。JA秋田なまはげの令和7年産あきたこまち(紙袋・JA米)では一等28,500円に対し二等27,900円で、玄米60kg当たり600円の差でした。米価が安かった令和3年産のJAはれおかのコシヒカリでは一等10,500円・二等10,200円で300円差です。米価の水準が高い年ほど差額は広がりやすく、二等から三等の落差はさらに大きくなります。自身の金額は出荷先のJAが示す概算金の等級別単価で確認しましょう。

一等米は二等米よりおいしいですか

等級は玄米の見た目の品位を表す区分で、味や香りは判定項目に含まれません。二等だから味が劣るとは限らず、食味は品種・産地・栽培方法・保管状態などで変わります。等級は仕入れや取引価格の目安として使い、味の評価は別に確かめるのがよいでしょう。

一等米と「特A」は同じ意味ですか

別の制度です。一等・二等は農産物検査で玄米の見た目の品位を判定した等級で、出荷される米のロットごとに付きます。特A・A・A'・B・B'は日本穀物検定協会の米の食味ランキングで、産地品種ごとに炊いたご飯の食味を基準米と比べた評価です。一等米だから特A、という対応関係はありません。

農産物検査は義務ですか

任意です。かつて米や麦は義務検査でしたが、平成13年から検査の実施が民間に移り、現在は農業者などが任意で登録検査機関に請求して受ける仕組みです。

検査を受けていない米でも産地や品種を表示できますか

表示できます。令和3年2月の食品表示基準の改正で、産地・品種・産年の根拠資料を保管していれば、検査証明がなくてもこれらを表示できるようになりました。根拠資料には取引の伝票や種子購入記録、栽培記録などが使えます。

等級検査はどこで受けられますか

全国の登録検査機関で受けられます。JAのほか、卸・小売や農業法人などが登録している場合もあります。希望する検査の種類(従来の等級検査か、機械鑑定を前提とした検査か)を事前に伝えておきましょう。

キーワード解説

農産物検査法

農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善を助け、あわせて農家経済の発展と消費の合理化に寄与することを目的に、検査の制度を定めた法律です(昭和26年法律第144号)。

品位等検査

種類・銘柄・品位(等級)・量目・荷造り・包装を調べる検査です。たんぱく質やアミロースなどを分析する成分検査と合わせて、農産物検査を構成します。

産地品種銘柄

農産物規格規程に基づき、都道府県の申請を受けて農林水産省が設定する「都道府県名+品種名」の銘柄です。すべての機関で検査できる必須銘柄と、機関が選べる選択銘柄に分かれます。

登録検査機関

農産物検査を実施する民間の機関です。国が登録・監督し、実際の検査と証明を担います。

未検査米

農産物検査の証明を受けていない米です。産地・品種・産年の根拠資料を保管していれば、これらを表示できます。

いま確認しておきたいこと

米を売る生産者は、出荷先が等級や産地品種銘柄の証明を求めるかを確認しましょう。求められる場合は、登録検査機関に検査を請求します。直販で産地・品種・産年を表示するなら、検査証明を受けるか、根拠資料の保管を準備します。ゲタ・ナラシ対策など一部の交付金では、農産物検査に代わる方法で対象数量を確認できる仕組みも設けられています。

米を仕入れる卸・小売・外食などの実需者(加工・外食・中食などの買い手)は、その米が検査証明品か、根拠資料による表示かを確かめ、表示の裏づけを取引先に確認しましょう。等級は見た目の品位である点を踏まえ、用途に合う品位や品種で選ぶことが、仕入れの納得につながります。