お米の袋に書かれた「一等」「二等」という等級は、農産物検査で付けられます。等級は米粒の見た目の品位で決まり、炊いたときの味の良し悪しは含みません。この記事では、一等米と二等米の違い、等級の決まり方、産地・品種・産年の表示との関係、そして任意になった検査の受け方までを、米を売る生産者と、米を仕入れる卸・小売・外食の視点で整理します。

項目内容
誰が米・麦・大豆などを出荷する生産者と、それを仕入れる卸・小売・外食などの実需者
何を検査品位(等級)・種類・銘柄(産地品種)・量目・包装と、たんぱく質などの成分
等級の決め方整粒の割合・被害粒・水分など見た目の品位で一〜三等と規格外に区分。食味は対象外
表示との関係検査証明があれば産地・品種・産年を表示。証明がなくても根拠資料の保管で表示可
受けるかどうか任意。民間の登録検査機関に請求して受検

一等米と二等米は何が違う?

一等・二等・三等という等級は、玄米に含まれる整った粒(整粒)の割合や、被害を受けた粒・着色した粒・水分などの品位で決まります。基準を満たす割合が高いほど上位の等級になり、どの等級にも届かない玄米は「規格外」となります。ここで判定されるのはあくまで見た目の品位です。炊いたときの味や香りは、等級の判定項目には入りません。

等級を決める品位の基準

水稲うるち玄米の場合、主な基準は次のとおりです。整粒の割合は最低限度、被害粒などの合計や水分は最高限度として定められています。

等級整粒(最低)被害粒・死米・着色粒などの合計(最高)水分(最高)
一等70%以上15%以下15.0%以下
二等60%以上20%以下15.0%以下
三等45%以上30%以下15.0%以下
規格外一〜三等に届かないもの異種穀粒・異物が50%未満

整った粒が多く、被害粒や着色粒が少ないほど上位になります。上の表は代表的な項目で、実際にはこのほかに死米や異種穀粒・異物などの細かな基準もあります。水分は当分の間、表の数値に1.0%を加えた値で運用されています。

等級は価格に影響、味とは別

等級は、生産者が米を売るときの取引価格の目安になります。上位の等級ほど価格は高くなる傾向があり、産地や品種の評価と合わせて手取りに影響します。一方で、等級は見た目の区分なので、二等だから味が劣るというわけではありません。食味は品種・産地・栽培方法・保管状態などで変わります。近年は登熟期の高温で整った粒が減り、一等の比率が下がる年もあります。直近の水稲うるち玄米の一等比率は、全国でおおむね7割台半ばで推移しています。

農産物検査とは

農産物検査を活用したコメ流通の例。農業者が登録検査機関に検査を請求し、検査・証明を受けた玄米を精米・卸事業者へ販売し、実需者・消費者へ届く流れと、検査証明書の記載例
農林水産省「コメの農産物検査」:農業者から登録検査機関、精米・卸事業者、実需者・消費者へと流れる取引と、検査証明書の記載例。

農産物検査は、農産物検査法に基づく検査です。民間の登録検査機関が実施し、農業者などが任意で受けられます。目的は、農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善を助けることにあります。買い手にとっては、産地・品種・品位が証明された米を安心して仕入れる手がかりになります。

検査には2種類あります。ひとつは品位等検査で、種類(もみ・玄米・精米)、銘柄(産地品種)、品位(等級)、量目、荷造り・包装を調べます。もうひとつは成分検査で、たんぱく質やアミロースなどの含有量を分析します。対象となるのは米・麦・大豆・小豆・いんげん・そば・でん粉など全部で10品目です。全国には登録検査機関が約1,700、農産物検査員が約2万人います。検査を受けた米の多くはJA系統を通りますが、卸・小売や農業法人が受ける分もあります。

検査の流れと産地品種銘柄

国内産水稲うるち玄米の農産物検査の流れ。包装検査、量目(重さ)検査、品位検査(穀粒判別器による機械鑑定を含む)、銘柄検査、検査証明発行の順に進む様子
農林水産省「コメの農産物検査」:包装・量目・品位・銘柄の検査を経て検査証明が発行される流れ。

米(水稲うるち玄米)の検査は、次の順で進みます。

  1. 包装検査。規程どおりの材料か、検査時の荷役に耐えられるかを確認します。
  2. 量目(重さ)検査。正味重量を計量します。
  3. 品位検査。被害粒の混入程度や水分などを確認します。穀粒判別器による機械鑑定も行われます。
  4. 銘柄検査。産地品種銘柄や品種銘柄を、種子の購入記録や栽培記録などの書類で審査します。
  5. 検査証明の発行。等級・銘柄・産年などを記した証明が交付されます。

産地品種銘柄と品種銘柄

産地品種銘柄は、都道府県からの申請を受けて農林水産省が農産物規格規程で設定する銘柄で、「都道府県名+品種名」で表します(例:●●県産コシヒカリ)。すべての登録検査機関で検査できる「必須銘柄」と、機関ごとに検査するかを選べる「選択銘柄」に分かれ、水稲うるち玄米では900を超える銘柄が設定されています。令和4年産からは、全国一本で品種を指定する「品種銘柄」も新たに設けられ、産地品種銘柄に指定されていない品種でも検査を受けられるようになりました。

検査を受けない米(未検査米)はどうなる?

農産物検査を要件とする玄米・精米の食品表示制度の改正。検査証明があるもの・ないもの・未検査米それぞれの産地品種産年の表示例と、根拠資料の保管要件
農林水産省「農産物検査について」:検査証明の有無による産地・品種・産年の表示例と、根拠資料の保管要件。

かつては、米袋に産地・品種・産年を表示するには農産物検査の証明が必要でした。令和3年2月の食品表示基準の改正により、検査証明を受けていない場合でも、産地・品種・産年の根拠を示す資料を保管していれば、これらを表示できるようになりました。根拠資料には、米トレーサビリティ法に基づく取引の伝票、種子の購入記録、栽培記録(品種・産年がわかるもの)などが使えます。

表示では、検査証明による場合は「農産物検査証明による」、根拠資料による場合は「○○(生産者名)確認による」と、確認方法もあわせて示せます(この確認方法の表示は任意です)。根拠資料もない米は未検査米となり、「国内産・10割」のように、産地や品種、産年を書くことはできません。米を直接販売する生産者が、米袋に産地や品種を表示したい場合は、検査証明か根拠資料の保管を準備しておくとよいでしょう。ネットでお米を直販する際の産地表示でも、同じ考え方が当てはまります。

機械鑑定など近年の見直し

農産物検査の見直しの前後比較。目視中心の検査から、機械測定の数値で示す検査やサンプリング簡素化、検査できる品種の拡大などへ合理化した内容
農林水産省「農産物検査の見直しについて」:目視中心の検査から、機械鑑定や手続の簡素化へ見直した内容の比較。

目視の検査は熟練を要し、地域や検査員によってばらつきが出やすい面がありました。流通や消費の多様化に対応するため、近年は次のような見直しが進みました。

  • 機械鑑定を前提とした規格を令和4年産米から追加。穀粒判別器などで容積重・白未熟粒・水分・死米・胴割粒・砕粒・着色粒を数値で示せるようになりました。
  • 銘柄の検査を、目視の鑑定から書類による審査へ見直し。
  • 量目検査で「皆掛重量」の証明を廃止し、正味重量のみの証明に。検査員の押印も省略できるようになりました。
  • QRコードなどの照会コードによる検査証明で、記載の一部を省略可能に。

従来の等級検査も引き続き受けられます。どちらの検査を希望するかは、事前に登録検査機関へ伝えておきましょう。

よくある質問

一等米は二等米よりおいしいですか

等級は玄米の見た目の品位を表す区分で、味や香りは判定項目に含まれません。二等だから味が劣るとは限らず、食味は品種・産地・栽培方法・保管状態などで変わります。等級は仕入れや取引価格の目安として使い、味の評価は別に確かめるのがよいでしょう。

農産物検査は義務ですか

任意です。かつて米や麦は義務検査でしたが、平成13年から検査の実施が民間に移り、現在は農業者などが任意で登録検査機関に請求して受ける仕組みです。

検査を受けていない米でも産地や品種を表示できますか

表示できます。令和3年2月の食品表示基準の改正で、産地・品種・産年の根拠資料を保管していれば、検査証明がなくてもこれらを表示できるようになりました。根拠資料には取引の伝票や種子購入記録、栽培記録などが使えます。

等級検査はどこで受けられますか

全国の登録検査機関で受けられます。JAのほか、卸・小売や農業法人などが登録している場合もあります。希望する検査の種類(従来の等級検査か、機械鑑定を前提とした検査か)を事前に伝えておきましょう。

キーワード解説

農産物検査法

農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善を助け、あわせて農家経済の発展と消費の合理化に寄与することを目的に、検査の制度を定めた法律です(昭和26年法律第144号)。

品位等検査

種類・銘柄・品位(等級)・量目・荷造り・包装を調べる検査です。たんぱく質やアミロースなどを分析する成分検査と合わせて、農産物検査を構成します。

産地品種銘柄

農産物規格規程に基づき、都道府県の申請を受けて農林水産省が設定する「都道府県名+品種名」の銘柄です。すべての機関で検査できる必須銘柄と、機関が選べる選択銘柄に分かれます。

登録検査機関

農産物検査を実施する民間の機関です。国が登録・監督し、実際の検査と証明を担います。

未検査米

農産物検査の証明を受けていない米です。産地・品種・産年の根拠資料を保管していれば、これらを表示できます。

いま確認しておきたいこと

米を売る生産者は、出荷先が等級や産地品種銘柄の証明を求めるかを確認しましょう。求められる場合は、登録検査機関に検査を請求します。直販で産地・品種・産年を表示するなら、検査証明を受けるか、根拠資料の保管を準備します。ゲタ・ナラシ対策など一部の交付金では、農産物検査に代わる方法で対象数量を確認できる仕組みも設けられています。

米を仕入れる卸・小売・外食などの実需者(加工・外食・中食などの買い手)は、その米が検査証明品か、根拠資料による表示かを確かめ、表示の裏づけを取引先に確認しましょう。等級は見た目の品位である点を踏まえ、用途に合う品位や品種で選ぶことが、仕入れの納得につながります。

出典:農林水産省「農産物検査について」「コメの農産物検査」「農産物検査の見直しについて」(https://www.maff.go.jp/j/seisan/syoryu/kensa/)。産地・品種・産年の食品表示は消費者庁の食品表示基準に基づきます。制度の対象範囲・規格・基準は改正されることがあります。最新の内容は一次情報をご覧ください。