交付金は制度ごとに入金の時期が違います。早いものは生産年の7月に入り、遅いものは翌年の6月です。ゲタ対策の面積払は8月から10月頃、数量払は7月から翌年5月頃、水田活用の直接支払交付金は8月から翌年3月頃、ナラシ対策の補てん金は翌年5月から6月頃です。肥料や農薬の支払い、借入の返済月とぶつからないかを確かめられるよう、制度ごとの入金時期と、落とすと交付が飛ぶ申請期限を1枚に整理しました。
| 対象となる方 | ゲタ・ナラシは認定農業者、集落営農、認定新規就農者。水田活用の直接支払交付金は水田で対象作物を作付けした販売農家等 |
|---|---|
| いちばん早い入金 | ゲタ対策の数量払(麦・なたね・てん菜・でん粉原料用ばれいしょ)で生産年の7月頃 |
| いちばん遅い入金 | ナラシ対策の補てん金で生産年の翌年5月から6月頃 |
| 絶対に落とせない期限 | 交付申請書・営農計画書は6月30日、ナラシの積立金は8月31日 |
| 時期がずれる理由 | 交付は地域農業再生協議会と国の確認作業を経るため、地域・年によって前後 |
| 詳しくは | 地域農業再生協議会、または地方農政局の県域拠点 |
交付金ごとの入金時期
交付時期は制度ごとに決まっています。どれも目安で、地域や年によって前後します。
| 交付金 | 入金の時期 | 生産年のうちに入るか |
|---|---|---|
| ゲタ対策の面積払 | 生産年の8月〜10月頃 | 入る |
| ゲタ対策の数量払(麦・なたね・てん菜・でん粉原料用ばれいしょ) | 生産年の7月〜翌年3月頃 | 年内に始まる |
| ゲタ対策の数量払(大豆・そば) | 生産年の8月〜翌年5月頃 | 多くは年明け |
| 水田活用の直接支払交付金 | 生産年の8月〜翌年3月頃 | 年内に始まる |
| ナラシ対策の補てん金 | 生産年の翌年5月〜6月頃 | 入らない |
麦と大豆では数か月ずれます
同じ数量払でも、入金の時期は作物によって別々です。麦・なたね・てん菜・でん粉原料用ばれいしょは生産年の7月頃から交付が始まります。麦は6月に収穫が終わるため、数量と品質の確認が早く済むからです。
大豆とそばは収穫が秋になるので、確認作業もそのぶん後ろにずれます。交付が本格化するのは年が明けてから。翌年5月頃まで続きます。麦と大豆を両方作っている経営なら、同じ「数量払」でも入金の間隔は半年以上です。
面積払は、申請の段階で後ろ倒しにもできます。交付申請書(様式第1号)の裏面に「面積払の収穫後交付を希望」という欄があり、作物ごとにチェックを入れると、数量払の交付申請のあと、収穫量が確定してからの支払いに変わります。単収が地域の基準を大きく下回りそうな年に、先払いを受けてから返還する事態を避けたい場合の選択肢です。
単価そのものは等級とランクで決まります。作物別の金額はゲタ対策の交付単価一覧でご覧ください。
入金が翌年度になるのはナラシだけです
ナラシ対策の補てん金は、生産年の翌年5月から6月頃に交付されます。その年の販売収入が確定してからでないと、減収額を計算できないためです。加入申請は生産年の4月から6月30日まで、積立金の納付は8月31日まで、補てん金の交付申請は翌年の4月1日から4月30日まで。最初の手続きから入金まで、丸1年以上かかります。
収入が落ちた年の資金繰りをナラシの補てん金で埋めるつもりなら、1年待ちが前提です。制度の仕組みとメリットはゲタ・ナラシとはで解説しています。
水田活用の交付金は幅が広く、産地交付金は別枠です
水田活用の直接支払交付金は生産年の8月から翌年3月頃までと、交付の幅がいちばん広い交付金です。作物ごとに作付確認と出荷・販売の確認が要るため、確認が済んだものから順に交付されます。
同じ水田活用の枠内でも、産地交付金は地域の裁量で使途と単価が決まるため、交付の時期も地域ごとに違います。畑地化促進事業、畑作物産地形成促進事業、コメ新市場開拓等促進事業、小麦・大豆の国産化の推進については、申請期間そのものが都道府県や地域農業再生協議会ごとの設定です。単価や対象は水田活用の直接支払交付金でご覧ください。
期限を1つ落とすと交付が飛びます
交付時期より先に押さえるべきなのが申請の期限です。次の日付を過ぎると、作付けをしていても交付を受けられなくなります。
| 期限 | 何の期限か | 落とすとどうなるか |
|---|---|---|
| 6月30日 | 交付申請書・営農計画書の提出(ナラシの加入申請も同じ日まで) | その年産の交付対象から外れる |
| 8月20日 | 加工用米・新規需要米の取組計画を変更する場合の営農計画書の再提出 | 変更が反映されない |
| 8月31日 | ナラシ対策の積立金の納付 | ナラシの補てんを受けられない |
| 翌年3月5日 | 大豆・そば以外の数量払の交付申請(麦・なたね・てん菜・でん粉原料用ばれいしょ) | 数量払を受けられない |
| 翌年4月30日 | 大豆・そばの数量払の交付申請 | 数量払を受けられない |
| 翌年4月30日 | ナラシ対策の補てん金の交付申請 | 補てん金を受けられない |
数量払の交付申請は、作物によって期限が分かれます。大豆・そば以外は翌年3月5日、大豆・そばは翌年4月30日です。ただし大豆・そばも特段の遅延理由がない場合は3月5日までに申請するよう求められています。4月末まで引っ張れば、そのぶん入金も後ろ倒しです。
確定しているのは申請の期限だけで、交付の月は地域で前後します
ここまでの月は、国が示す全国共通の目安です。実際の交付の月は地方農政局ごとに違います。
令和8年度のパンフレットを局ごとに比べると、北海道・東北・北陸・東海は国の資料をそのまま案内しており、関東農政局が独自に作っている予定表も国の資料と同じ月です。近畿農政局の予定表だけは、面積払を8月から翌年1月頃、数量払を11月から翌年5月頃、水田活用の直接支払交付金を10月から翌年4月頃としています。面積払で3か月、数量払の開始では4か月の開きです。
国の実施要綱で支払時期が定められているのは、水田活用の直接支払交付金だけです。「交付金の支払時期は、生産年の8月から翌年3月ごろになります」と明記されています。ゲタ対策には「交付金額の確認が終わり次第、交付金計算書を作成する」とあるだけで、月の定めがありません。近畿の帯が遅いのはルール違反ではなく、確認事務の実態がそのまま予定表に出ている、と読めます。
国の資料にも「上記は目安であり、交付時期が異なる場合があります」と注記があります。交付の月を1つに決め打ちして資金計画を立てず、幅で見ておくのが安全です。日付まで全国共通で決まっているのは、交付する側ではなく申請する側の期限(6月30日・8月31日・翌年3月5日・翌年4月30日)だけです。
自分の地域の入金日を確かめる手順
ここまでの月はすべて全国共通の目安で、実際の振込日は地域ごとに決まります。自分の入金予定を知る順番は次のとおりです。
- 地域農業再生協議会(市町村やJAに事務局があります)に、今年産の交付予定月を聞きます。交付事務を直接扱っているのはここで、いちばん確度の高い答えが返る窓口です。
- 協議会で分からない場合は、地方農政局の県域拠点に問い合わせます。ゲタ・ナラシと水田活用では担当窓口が別です。
- 提出した書類に不足がないかを確認します。出荷・販売伝票の写しや農産物検査の結果がわかる書類が揃っていないと、確認が終わらず交付は止まったままです。
- 入金があったら、交付決定通知の金額と口座の入金額を突き合わせます。面積払と数量払は別々の振込です。通帳では同じ交付金が2回に分かれて見えます。
中山間・多面的・環境保全型は市町村が振込月を決めます
ここまでの3つは国から農業者の口座へ直接入ります。これに対して中山間地域等直接支払・多面的機能支払・環境保全型農業直接支払の届き先は、国から都道府県、都道府県から市町村を経た先の集落協定や活動組織です。
国の交付要綱は、都道府県が概算払で受けた額を市町村へ「遅滞なく」交付するところまでを定めています。定めがないのは最後の1区間、市町村から受け手への交付月です。農林水産省の様式をもとにした市町村向けの手引きでは、この期日が「市町村で定める期日を記入して下さい」と空欄になっています。
その結果、同じ制度でも振込月の開きは半年以上です。
| 自治体 | 制度 | 公表されている振込の時期 |
|---|---|---|
| 新潟県十日町市 | 多面的機能支払 | 6月に第1回を振込。追加交付は決まり次第 |
| 兵庫県姫路市 | 多面的機能支払 | 市から広域協定へ7月〜8月頃。活動組織へはその後 |
| 京都府宮津市 | 中山間地域等直接支払 | 例年8月頃。年によって前後、複数回のことも |
| 兵庫県南あわじ市 | 中山間地域等直接支払 | 11月〜12月に申請書提出、提出後に振込 |
| 広島県安芸高田市 | 中山間地域等直接支払 | 8月に第1次払、翌年1月に第2次払 |
| 岡山県真庭市 | 中山間地域等直接支払 | 翌年1月下旬 |
並べると、山は夏(6月から8月)と年明け(1月前後)の2つです。安芸高田市のように同じ協定へ8月と翌年1月の2回に分けて払う市もあるので、年明けの自治体は「遅い」のではなく2回目だけを公表しているという読み方も成り立ちます。前払いにするか後払いにするかも市町村の要綱で分かれており、交付金を概算払とする市もあれば、金額が確定してから交付すると定める市もあります。姫路市は「参加初年度は、交付金の交付までは全く活動資金がない状態です」と書き、自治会から活動資金を借りている組織がある実態まで案内しました。
環境保全型農業直接支払だけは、国が年度を縛っています。実施要領に「国の交付金は、対象活動が終了した年度に交付を行うものとする」とあり、市町村が確認結果を通知する期限も交付を受ける年度の3月5日まで。年度をまたぐ取組では、活動が終わった年度の交付になります。
交付月を公表している市町村はむしろ少数です。今回20を超える自治体の公式ページを当たりましたが、月まで書いているのは事務担当者向けの手引きか、産地交付金など市町村の裁量が大きいものに限られました。月を出している市町村も「国や県からの交付決定等の状況によって前後する場合があります」「年によって前後したり複数回にわたることがあります」と但し書きを付けています。自分の地域の月は、協定の代表者か市町村の担当課へ聞くのが確実です。
よくある質問
面積払と数量払は別々に振り込まれますか
別々に振り込まれます。面積払は数量払の先払いです。生産年の8月から10月頃に先に入ります。その後、収穫した数量と品質が確定してから、数量払の総額から面積払で受け取った分を差し引いた額が追加で交付される仕組みです。通帳では同じ交付金が2回に分かれて見えます。
交付予定の月になっても入金がありません
まず提出書類の不足を疑います。出荷・販売伝票の写しや農産物検査の結果がわかる書類が揃っていないと、確認作業が終わらず、交付はそこで止まったままです。書類に問題がなければ地域農業再生協議会へ問い合わせます。表の月はいずれも目安です。地域や年によって前後します。
ナラシの補てん金が2回に分かれて入りました
正常です。ナラシの支払いは2か所から届きます。交付金は国から、積立金は各都道府県の積立金管理者から、それぞれ振り込まれる仕組みです。金額を確かめるときは、2つを合わせて交付決定の通知と突き合わせてください。
中山間地域等直接支払や多面的機能支払はいつ入りますか
市町村ごとに決まります。国の要綱は都道府県から市町村までの流れを定めていますが、市町村から集落協定・活動組織への交付月には定めがありません。実際に6月の自治体もあれば翌年1月の自治体もあるという状態です。市町村が振込月を決めますで実例を挙げています。
交付金に税金はかかりますか
交付金は農業所得の収入金額に算入されます。入金が翌年になる交付金は、どの年の収入として計上するかで所得が変わるため、確定申告の前に計上時期を確かめてください。
キーワード解説
面積払
ゲタ対策のうち、当年産の作付面積に応じて10アール当たり2万円が交付される支払です。数量払の先払いにあたり、生産年の8月から10月頃に交付されます。
数量払
ゲタ対策の基本の支払方法です。出荷・販売した数量と品質に応じて交付されます。数量と等級が確定してから交付されるため、作物によって時期が分かれます。
ナラシ対策
米・畑作物の収入減少影響緩和交付金のことです。当年産の収入が過去の平均を下回ったとき、その差額の9割を国と加入者の積立金で補てんします。補てんの財源は加入者と国が1対3の割合で負担します。
水田活用の直接支払交付金
水田で麦、大豆、飼料用米などの戦略作物を作付けした場合に交付される交付金です。全国一律の戦略作物助成と、地域の裁量で使途を決める産地交付金があります。
地域農業再生協議会
市町村やJA等を事務局として、地域の水田農業の方針や交付金の事務を担う組織です。交付申請書と営農計画書の提出先であり、交付事務の窓口にもなります。